日本時間11日(火)夜に発生した米国連続テロ事件後の、現地の緊迫した様子が、編集部にも続々と伝わってきた。

WTC、一度は「安全」のアナウンスも

事件当時ニューヨークに滞在していた、現在総合政策学部3年でニューヨーク学院のある卒業生は、現地の様子を次のように伝えている。
 <<ニューヨーク学院のある卒業生の文章(原文はローマ字)>>
 本当に今、ニューヨークはカオス状態です。私の父も無事でした。父は世界貿易センタービル2の84階にいました。(助かって)本当にラッキーでした。ただ、同僚の方々が未だに行方不明で本当に大変です。父と同じ階にいた同僚が未だに行方不明だと思うと本当に震えが止まりません。どうやら、一度「安全だ」という誤ったアナウンスがあって上に戻ったそうです。本当に紙一重でした。
 事件直後は、みんなが北にむかって歩いていました。本当に怖かったです。とにかくマンハッタンから脱出しようと橋を徒歩で渡ったり、フェリーに乗ったりでした。上空は飛行機が飛んでいて、はじめはハイジャックされた飛行機かと不安でした。公衆電話から泣いて電話している人、"WORLD WAR III!!!"、"Pearl Harbor, Kamikaze Attack!"と叫んでいる人や…。本当に信じられない光景でした。今はすこし落ち着きましたが、まだ不安です。今度何が起こるか、本当に恐ろしいです。
 町はせめて輸血でもしようと、ボランティアの人々でいっぱいでした。でも、あまりにも人が多いので、帰されてました。今日は現場の近くまで行って来ましたが、灰が凄いです。消防車やパトカーが通るのをみんなで拍手することしかできませんでした。

懸念される、イスラム教徒への憎悪

塾大学文学部卒業で、世界貿易センターから5km程度離れたマンハッタン21丁目在住の大学院生、中島由貴さんも、現地の様子を伝えてきた。中島さんにはイスラム教徒(インドネシア人)の友人がおり、アラブへの憎悪がイスラム教徒全体に及ぶのではないかという不安に襲われているという。
 <<中島由貴さんの文章(原文は英語)>>
 街の道路は、救急車や救急トラック専用になっています。絶えず救急車が走っています。今日はなるべく近くに行ってみました。人々はウエストストリートを取り囲み、そこからパトカー・救急車は無残な現場に入っています。
 救急車・パトカー・軍隊のジープが次々とやって来ています。市民は、埃から出てくる救急隊員・消防士・医療隊員に絶えず賞賛を送っています。パニックに陥っているというよりは、みんなで勇気付けあっているという状況です。街は本当に静まっています。強盗が起きるような貧しい近隣地域でもとても静かです。
 「アラブ人ども!奴らが『我々』のタワーを破壊したんだ!」という人もいます。アメリカ市民とイスラム教徒との間に激しい衝突が起こらないことを祈っています。