14日(金)4限、iモードを立ち上げたことで知られる松永真理氏と、デジタルプロジェクトデザイナーの千葉麗子氏が「ポップメディア史」でゲスト講演を行った講演では、松永氏のiモード開発秘話、また千葉氏のネット経験が語られ、女性の立場から見たデジタル社会を、両者の経験を交えながら語られた。


 松永氏は20年間勤めたリクルート社での雑誌編集の仕事からNTTドコモに移籍について「編集者からITにと驚かれるけど、自分が扱っていたものは情報誌。情報出版から情報通信に行っただけ。情報という自分の強みは生かせた」と語る。自らアナログ人間と称する松永氏だが、「デジタル機器に関して、分からないことは分からないと言うから、周りがサポートしてくれた」と話す。iモードに関して「電車を待つ少しの間などの"隙間の時間"マーケットがものすごくあった。PCを立ち上げる時間はないけど、携帯ならパッと思いついて今できる。PCインターネットマーケットとモバイルインターネットマーケットは、競合せずに補完関係にある。TPOに合わせて好きなメディアを選ぶことができるのが豊かな時代である」と語る。
 一方千葉氏は元アイドル、現在マルチメディア・デジタルメディアにおける"総合プロデュース会社"であるチェリーベイブの社長である。ネットと紙媒体両方で販売している写真集の制作動機に関して「父の死からの精神不安定からネットで出会った、同じ悩みを持つ人たちとのコミュニケーションで立ち直れたという経験を通して、自分自身を表現したくなった」と語る。
 ITの社会的影響に関して、松永氏は「女性で家から出られない時に、ITと繋がれることは大きい。以前は地縁血縁関係で結ばれていたが、今は知縁と結縁がITにより繋がれる社会」と語り、千葉氏は「出産し、子どもの夜鳴きのストレスが、ネットでのコミュニケーションで癒された」と語る。
 最後に学生に対して、「メディアを研究すると面白い。今の時代のディアの変化と人間の関係を考えてほしい」と松永氏。「デジタルはツールとしてみんな使いこなせる時代。アナログなこと、感覚や感性を大切にしてほしい」と千葉氏からもメッセージが送られた。
【松永真理氏のプロフィール】
 1977年:日本リクルートセンター(現リクルート)入社
 1988年:「とらばーゆ」編集長、1995年に「とらばーゆ」統括編集長に就任
 1997年:NTT移動通信網㈱ゲートウェイビジネス部企画室長に就任
     iモードのコンテンツの企画立案に携わる。政府税調委員
 2000年:女性サイトを立ち上げる http://www.ewoman.co.jp/
【千葉麗子氏のプロフィール】
 元ネットアイドル
 1995年株式会社チェリーベイブ設立、代表取締役
 デジタルコンテンツ&プロジェクトデザイナー
 http://www.cherrybabe.co.jp/