横浜ドリームランド(YDL)の閉園日、筆者らメンバー4人は初めてYDLを訪れた。 湘南台周辺からも見える観覧車『ワンダーホイール』や巨大な五重塔のような 『エンパイアホテル(閉鎖中)』、いつも気になってはいながらも訪れる機会を逸 してしまっていた。


 最初にして最後のYDLは実に新鮮であった。幼い頃に訪れた『遊園地』がそこにはあった。子供達はもちろん、大人も無邪気に笑っていた。あんなに無邪気に笑う大人達を見るのは実に久しぶりな気がした。
 現代的なアトラクションももちろん楽しめたが、現在となっては貴重(でありそう)なアトラクションやオブジェなどは、かえって新鮮だった。特にその名もズバリな『潜水艦』はわずか数分間で7つの海を巡ってしまうという実にファンタスティックなアトラクションだった。無表情な動物達、何かにくくりつけられたような不思議な動きをする魚達、ナビゲーターのお兄さんの
 「は~い、ここは大西洋で~す」
 「さ~あ、ついに南極に着きましたよ~」
 「このセイウチはこんな所でどうやって大きくなったんでしょうね~?」
という素敵なナレーション。そして何よりも漏水を思わせる「ぴちゃぴちゃぴちゃ」という絶妙な効果音(?)がハーモニーとなって脳を刺激する。CGや特殊効果を駆使したアトラクションにはない魅力がそこにはあった。
 目くるめく様な“夢”の時間はあっという間に過ぎていった。
 長引く不況、少子化等の理由により全国の遊園地、テーマパークが相次いで経営破綻に追い込まれているという。
http://www.interq.or.jp/tokyo/ohata/yuuenchi/01guide/parknavi/close.htm
  “昭和の明かりがまた一つ消えてしまったね”このコラムを書くにあたり訪れた掲示板にあった書き込みである。訪れた人の多くがそんな切ない気持ちを抱いたのではないか。News記事にコメントを寄せてくれた加藤氏をはじめとして職員達の表情、涙、そしてなかなか立ち去ろうとしない来場者達、目頭が熱くなるのを感じた。
 閉園が決まってから、閉園日だから多くの来場者が訪れる(我々もその口では あるのだが)というのは皮肉なものである。“失って初めて気づくもの”という言葉を改めて噛み締めた。
 夜になっても降り止まない雨は37年間で醸成された歴史を包み込むような優しい雨だった。人々の笑顔と思い出と、そしてそれぞれが抱く切なさをも包み込むよな暖かい雨だった。