CLIP読者の皆さん、こんにちは。アクセンチュアの本好といいます。
 日経コミュニケーションの編集記者、高槻芳さん(2001年10月26日号)の紹介で当欄に寄稿することになりました。当欄は、タモリが司会を務める「笑っていいとも」の某コーナーと同じように、前回の寄稿者が次の寄稿者を紹介する仕組みになっていますが、私と高槻さんは、実は、SFC在学中は接点がなく、これまでに直接会ったことは、一度しかありません。しかも、それは「取材」の場だったのですが、インタビュアーは記者の高槻さんではなく、コンサルタントの私でした。


 この奇妙な出会いは、一つのプロジェクトに端を発しています。昨年の10月から翌2月まで、4ヶ月間にわたってアクセンチュアと国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)が実施した「第3世代(3G)および第4世代移動通信(4G)システムに関する共同研究」プロジェクトです。
(研究概要は以下のURL参照)
http://www.accenture.com/xd/xd.asp?it=jpWeb&xd=locat
ions\japan\news\newsarchive\02.01\news_020123.xml
■SFCパワー
 この共同研究プロジェクトでは、次々世代携帯電話(通称4G)の実用化が見込まれる2010年の移動通信業界の姿を4つのシナリオとしてまとめ、報道発表しました。一部の業界向けの特殊なテーマにしては反響を呼び、日経新聞を始めとした各種メディアで取り上げられ、一定の影響力を持ったと自負しています。
 このプロジェクトの成功は、表面的には、アクセンチュアとGLOCOMの協働の成果だとされています。しかし、研究概要をお読みになった方は気づくかと思いますが、実際には、その裏にSFC関係者の力が大きく働いているのです。
 コア・メンバーや協力者にSFC出身者が多かったためか、あるいはテーマがIT関連であるためか、おそらく、その両方の理由によるものでしょうが、いずれにせよ「SFCパワー」の大きさを改めて感じる機会となりました。
 まず、コア・メンバー。GLOCOM側の窓口であった中島洋教授は、皆さんご存知の通り、昨年度までSFCで教鞭をとられていました。(かく言う私自身、中島研究室の一期生です)アルバイトでプロジェクトに参画した瀧川牧子さんも中島研メンバーで、卒業前の貴重な時間を割いて、基礎調査やインタビューメモ作成に活躍してくれました。さらに、私とともにアクセンチュア側のコア・メンバーだった若下博章さんもSFCの卒業生です。
 次に、聞き取り調査。今回の研究では、移動通信/情報通信関連の有識者に対する聞き取り調査から得た知見をベースに仮説を立てたのですが、調査に協力いただいた有識者8人のうち、実に5人がSFC関係者です。(小檜山教授、中村助教授、高槻さん、そして院生の牧さん。Yahoo!の川邊さんは、SFC研究所にも所属しています)
■未来からの留学生?
 SFC在学中に良く耳にした標語「未来からの留学生」。ある意味、とても傲慢な標語だと思いますが、卒業して、社会人になってみて「確かにSFCは10 年ほど先を見据えていた」と感じることがあります。こと、インターネットやIT関連テーマについては、卒業後に、もっと在学中に勉強しておけば良かったと後悔するケースが多くありました。
 皆さんが、普段何気なく聞き流している(?)授業。よく考えると、すごく贅沢な時間だと思います。今回の聞き取り調査では、中島教授の仲介もあり、割とスムーズに取材を行うことが出来ましたが、SFCの教授陣は多忙な方が多く、普通に会おうと思っても、何のつてもない社会人だと、時間をとってもらうことさえ難しいでしょう。
 また、そうした一流の教授の下で学んだ「未来からの留学生」たちは、やはり、同期や先輩を見渡すと、皆社会で活躍しています。SFCでの数年間を如何に過ごすか。今一度、「未来」に戻る前に、学ぶべきこと、やるべきことを考えてみてください。
■やれば出来る!
 GLOCOMとアクセンチュアの共同研究プロジェクトは、私と中島洋教授との何気ない会話がきっかけとなり、始まりました。何事も、チャレンジ精神をもって、やってみることが大切です。やってみて、失敗することもあるかも知れません。つらいこと
もあります。
 それでも、果敢にチャレンジしてみる。前向きに、好奇心をもって、やりたいことには徹底的にこだわってみる。とにかく、実践してみる。こうした姿勢で臨めば、自ずと道が開けてくると思います。
 SFCで培った有形無形の資産は、必ず活きてきます。残りの学生生活を、大切に過ご してください。

■略歴
本好宏次(もとよし・こうじ)
[email protected]
1999年総合政策学部を卒業後、アクセンチュアに入社。
通信・ハイテク産業本部およびデジタル・コンバージェンスグループに所属。
官公庁、ベンチャー企業、通信会社、製造業などを顧客に、情報システムの導入、 業界/技術動向の調査分析などに従事。