自動車にも、バイクにも、原動機付自転車にも免許があります。これらの乗り物で、免許なしに公道を走ることは許されません。しかし自転車には免許がありません。


 そもそも乗り物を運転するのになぜ免許が必要か、といえば、それは「知識や技術の不足によって引き起こされる危険の回避」そして「危険人物を公道から排することで安全を保つ」が主たる目的でしょう。交通ルールがわかって、ある程度までは運転が「上手い」状態にしてから、公道に走ることを許すことで、交通事故の発生を未然に防いでいるのです。であるならば、自転車に免許がないのはむしろ不自然、とも考えられるのです。
 勝手な推測ではありますが、自転車に免許がないのは以下の3つの理由があると思います。
1、走行スペースを歩行者と共有しており、自転車が「人力」で動くものであるということから、自転車ユーザーと歩行者を同一視している(もちろん、歩行に免許なんてないですからね)
2、操作が平易であるため、免許制度が整う前に広く普及してしまった。
3、自転車が関連する事故は、自動車対自動車のように死亡事故などの重大な事故になることが少なく、警察に報告されず統計として残らないため、自転車走行の危険性が認知されていない。(実際、自転車対自転車、自転車対歩行者の事故は、よほどの怪我でもない限り報告されません。怪我がなくても危険なものは危険なのですが…)
 理由はともあれ、自転車には免許がありません。したがって「危険人物を公道から排すること」はできません。交通ルールをまだ十分に理解していない幼児でも、信号無視など危険な走行をする者も、無条件に自転車で公道を走ることが許されています。
 しかし、「知識や技術の不足によって引き起こされる危険の回避」は可能なのではないでしょうか。東京都荒川区が実施している「自転車運転免許証制度」はそのような期待を持たせる取り組みです。
 荒川区では、自転車運転免許証制度を全国で始めて実施しています。免許がないからといって自転車に乗ることができなくなるわけではありませんが、免許を取得する過程で交通ルールや自転車の運転技術を学ぶことができるので、事故防止につながっています。この制度では、免許取得にあたって、まず交通ルールや自転車の乗り方に関する講義があり、その講義内容が理解できているかを問う筆記試験があります。その後実技指導を受けて技術的にも自転車の安全な走行を身につけ、晴れて免許取得なります。
 荒川区のように大きく活動している例は珍しいですが、似たような取り組みが学校や地区単位で行なわれている例は多くあるようです。みなさんの中にも、小学生のときには学校から与えられる「免許証」がないと、放課後の自転車利用が許されなかったというような人がいるのではないでしょうか?ヨーロッパでは、自転車の乗り方についての授業を、小学校のカリキュラムのなかに組み込んでいることも多く、それまでは単独での移動手段が歩行のみだった子供たちが自転車を運転する上で危険が無いよう配慮されています。歩いたことしかない人がいきなり車(自転車は法的にも立派な車両ですよ!)を運転するのは危険ですから、しっかりステップを踏んでから運転することが大切です。
 地域ごとの自転車免許制度は、危険人物への法的拘束力はありませんが、交通事故の防止には確実に効果のある取り組みです。このような取り組みが今後ますます広がっていくことで、交通安全、そして自転車に関係する社会問題の解決が図られることを期待したいですね。
 以上に紹介した免許制度では、残念ながら荒川区民でないと免許が取得できませんが、クイズ形式であなたの自転車マナーをチェックできるWebサイトがあります。あなたはどのくらい正解できますか?チャリ通SFC生はぜひ一度お試しあれ。
関連サイト:TOKYO BIKERS 内 「自転車免許試験場
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(総合政策学部3年 松田麻希)
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