100号を迎えたSFC CLIP。これまで発行された各号の中には様々な記事がありました。インパクトのあった記事、取材が大変だった記事、読者に好評だった記事、内容が充実している記事などなど――100号という節目を機に、「もう一度読んで欲しい」と編集部が考える記事を6つピックアップして、紹介させていただきます。


 NEWS記事3つとSERIES記事3つ、それぞれに掲載当時のエピソードや編集者のコメントを掲載しております。

▼オススメNEWS記事

□掲載当時の裏話
 この記事は、大学に残留していた編集部メンバー2人に対し、別のメンバーから電話で事件の報告があったため、急遽取材を行い掲載したものです。記事全文掲載ページにはかなり詳細に渡って撮影されている写真が載せられているのですが、こちらは太田尚志さん(当時、環3)が撮影の上、CLIPに提供して下さいました。
 メールマガジンというメディアの持つ速報性を活かした事件直後の号外は注目度も高く、海外のサイトにCLIPの写真が転用されたりもしました。
□編集者コメント
 「この事件と同様の手口が当時神奈川県を中心に頻発しており、この事件についても1部新聞でも報道されました。SFC CLIPは、それと比しても最も早く報道したメディアだと思います。号外では強く速報性が要求されます。
 メールマガジン及びWEBによる速報は、紙メディアにはできないほどその要求を満たすことができることを実感した1件でした。」

□掲載当時の裏話
 2001年10月、AO入試を受ける際、高校が2学期制か3学期制かによって受験機会に変化が生じてしまうということが複数の受験生からの情報提供によって判明、取材を始めた記事でした。実際の掲載は情報提供して下さった方々の受験に悪影響が出ないよう配慮すべき状況だったこと、また大学側からも受験機会不平等の改善を既に検討中であるから憶測を生むような記事の掲載は避けてほしいとの要請があったことから、問題発覚から時間が経ってからとなってしまいました。ただ、受験機会不平等という問題があったこと、そしてそれが解消の方向へ向かうことが決まったことはニュースであるとして、1月の掲載が決まりました。
 デリケートな問題であるため、取材や取り上げ方に格段の注意を払った記事として、編集部の中では記憶に残っています。
□編集者コメント
 事務室の掲示板に張ってあったりする「公式情報」以外の情報を掘り起こして読者のみなさまにお伝えすることは、SFC CLIPの、メディアとして重要な役割 のひとつです。
 この記事はその一例で「自分の目の前にある事実の裏側に、何があるかを追う」 ということの大切さを教えてくれます。

□掲載当時の裏話
 体育授業内で発生した事故についての取材ということで、これもまたデリケートな内容ですから、下記の編集者のコメントで書かれている通り、シリアスな取材となりました。
 授業の担当教員、事務室、事故に合ってしまった学生の三者に取材を行い、お見舞いのために慶應義塾大学病院へ足を運ぶなど、奔走し書かれた記事という点で編集部内でもかなり印象に残っている記事です。また、学生ひとりひとりに起こり得る事件であるだけに、読者の皆様にとっても色々と考えさせられる話題ではないでしょうか。
□編集者コメント
 予期しない事故、まさか自分の身に起こってしまうなんて・・・。「もし、自分が授業時間中に事故にあったら?」と、自分に問いかけながら、正面からぶつかって事故の起きた背景・いきさつを取材しました。
  非常にシリアスな取材でしたので、緊張もし、自己嫌悪に陥ることもありましたが、編集部内でも十分に議論し合い、苦労して欠いた記事です。

▼オススメSERIES記事

□掲載当時の裏話など
 知っておくといいと思われる情報社会用語をやさしく解説するコラム、「日進月歩」。これまで16回掲載されている当連載の中でも内容が充実しているといわれ、メールマガジン掲載時のアクセス数もなかなかのものだったのが、この「2ちゃんねる閉鎖騒動」の回です。
 有名な騒動とはいえ、2ちゃんねるに普段それほど触れていらっしゃらない方の場合は「そんなことあったっけ?」と思われることもあるでしょう。そんな方も、また2ちゃんねるをかなり頻繁に利用されている方も、このコラムは必見です。編集者・推薦者のコメントとともに、ぜひお読み下さい。
□編集者/推薦者コメント
・編集者より
 これを見て下さい。そして…泣いて下さい。僕らの遊び場が無くなりかけた「あの夏の日」を思い出して…
 Flash「ある騒動の記録」
  (当時の状況がとてもよく伝わってくるのでリンクを貼らせていただきました。)
・推薦者より
 望む望まざるにかかわらず、SFC生にとって身近な存在の「2ちゃんねる」。…ですが、その成り立ちなどについて知っているコアな「2ちゃんねらー」は多くないと思います。
 2001年8月、2ちゃんねるが閉鎖の危機に瀕したときに、2ちゃんねるの概要などを、2ちゃんねらーな編集委員が「普通の」日本語で分かりやすく解説したのが、この記事です。熟読汁。

□掲載当時の裏話など
 普段から「何でだろう?」と思っていても、あえて調べたりはしない。湘南台(や遠藤)について皆が抱く、そんな疑問をSFC CLIPが調査するこの連載。好評シリーズなのですが、なかでもこの「臭いを解明!」の回は、特に反響が大きかった記事といえるでしょう。 編集メンバー自身も知りたくてたまらない、そして何より面白そうと思える話題を突撃取材する連載ですから、取材・記事編集をしている当人もとても楽しそうに作業を進めていました。
 この連載をまだご覧になったことがない皆様は、SFCの独特の臭いの原因がどこにあるか、ご存知でしょうか?豚?牛?それとも、もっと別の臭い?
 「臭いに関する調査をしている学生がいるらしい」という情報と、SFC CLIP編集メンバーの好奇心が合わさって実現した2回に渡る力作です。
□編集者コメント
 この特集記事は、SFCにいれば誰もが一度は不快感を覚えるであろうあの「臭い」は何に起因するものなのかを当時の総合4年、菊池浩さんと共同で取材してまとめたものです。
 憶測で、あれは豚の臭いだとか牛糞の臭いだと決めつけるのではなく、本当は何の臭いか。この記事を読んでいただければそのあたりの憶測を排することができると思われます。またこの記事が地域の産業に関心を持っていただくひとつのきっかけになれば幸いです。

□掲載当時の裏話など
 8月上旬-中旬といえば、テレビなどでも戦争や原爆に関する特集が多く取りあげられる時期です。とはいうものの、そういった番組に対する関心が、最近は薄れてきてしまっているのではないでしょうか。
 編集メンバーの一人である永野君は、故郷の長崎を愛する21歳。そんな彼が、「被爆二世」という立場から訴えかけるこのエディターコラムは、ぜひ「もう一度読んで欲しい」と編集部一同が考える記事です。むしろ8月ではない時期に読むからこそ、戦争について考えるきっかけとして重要な意味を持ってくると言えるとでしょう。
 また、ニュース記事においては記者の名前を明示することのないSFC CLIPにおいて、編集メンバーたちが一体どういった考えを持っているのかを垣間見ることの出来るエディターコラムというコーナーにも関心を持っていただければと思います。
 
□編集者コメント
 この夏休みに、長野県で両親と同じ年頃のおばさんと話をする機会があったのですが、そのときに「終戦って昭和18年だっけ?」などととんちんかんな話になりまして、唖然としました。別に若いひとばかりでなくて、自分に関係ないひとは年配の方でも、イイクニつくろう鎌倉幕府と同じような感じなんだろうなあとつくづく思いました。ハワイでは幼稚園児も真珠湾攻撃の日を知ってると言います。半世紀昔を風化させないためにも、夏の一日についてみなさんも考えてほしいと思い、この文章を書きました。本当は、もっといっぱい書きたいことはあったんですけどね。