走りながら自動的にタイヤに空気が充填される、自動空気充填装置「エアハブ」を搭載した自転車が1月25日より全国発売されます。開発したのは、(株)中野鉄工所とブリジストンサイクル株式会社で、このようなメカニズムは世界に類がないそうです。ハブ軸の回転によりシリンダー内で圧縮した空気をチューブに送るという仕組みで、常に適正空気圧が保つことができます。空気が減るとパンクしやすくなったり、漕ぐのが重くなったりしますが、この装置を搭載すれば、空気圧を気にすることなく快適な走行が出来ます。


 しかももともとある車輪の回転からのエネルギーを利用しているので、漕ぎ手の負担はまったく変わらずに画期的な機能が付くことになるわけです。
 思えば、「乗っている人間が車輪を回転させているエネルギーをいかに効率的に使うか」、「漕ぎ手の負担をいかに軽減するか」という命題を追究することで、自転車は発展・普及してきたとも言えるかもしれません。
 日本で自転車が普及し始めたのは、文明開化以後のことですが、その当時は自転車といっても今のような前後に並んだ2輪で安定した走行をするものではなく、 3輪のものや、2輪でも車軸の両側に車輪がついたようなタイプで、人力車に近いようなものも多かったようです。車輪を含め車体は重い金属製であったりして、漕ぎ手の負担は今とは比べ物にならないほど大きかったようです。
 前後2輪の自転車で昔のものというと、前輪が後輪の何倍もの大きさで非常に背の高い自転車を思い浮かべる人が多いと思います。あれは、オーディナリー型といって前車輪の軸にペダルがついています。スピードを出すためには一回転での移動距離を長くする、つまり車輪の口径を大きくしなければならず、オーディナリー型自転車の前輪はどんどん拡大していきました。このため乗車するのが非常に大変で、危険も伴いました。 19世紀後半になると、車体の中心付近にペダルとクランクを設け、後車輪とチェーンで連結することで動力を伝える現在の形(セーフティ型)のものが生まれました。この技術も先に述べた2つの命題を追究したものであると言えるでしょう。
 比較的最近の技術で、車輪の回転を利用したものとしては「発電ランプ」があります。今では当たり前になった装置ですが、開発したのは三共電器株式会社(現サンデン)という企業で戦後まもなくのことでした。今は洗濯機などの家電で有名な「三洋電機」も、もともとはこの自転車用の発電ランプから始めて、今の大きさまで成長したということです。
 「三洋電機」といえば、自転車に電動モーターを搭載して走行を補助する「電動補助自転車」も開発・販売しています。ただ電動モーターを搭載しただけでは単にエネルギーを加えているだけですから、漕ぎ手の負担を軽減することはできても元々の回転エネルギーの効率利用にはなりません。三洋電機の製品には回転を加えれば発電するダイナモーターの機能がついており、下り坂などでブレーキをかけながら走行すると、自動的に充電されるようになっています。電動補助自転車がなかなか普及しない理由のひとつとして、「充電が面倒。電池が長持ちしない」という点が大きかったので、以上のような充電機能が標準になれば、広く普及するかもしれませんね。
 自転車のスタイル自体はは、19世紀にセーフティ型が開発されて以降はほとんど変わっていないといえますが、同じスタイルの中でどれだけ快適・安全な走行ができるかということで技術革新が繰り返されてきました。今後の技術開発で、自転車がどのように成熟・発展していくものか楽しみですね。 
(文責:総合政策学部3年 松田麻希)
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