14日(月)、AO入試4月入学2期の2次選考結果通知が行われる。AO入試に全てをかけている受験生も少なくないだろう。しかし、今年のSFCのAO入試は14日(月)が最後の発表となる。
 もし一般入試の対策をしていないにもかかわらず、AO入試で合格することができなかったら、SFCに入ることを諦めなくてはいけないのだろうか。決してそんなことはない。今回SFCを志す受験生のために、私自身のAO入試不合格体験記と一般入試合格体験記をお届けする。

私は2004年のAO入試9月入学で2次の面接審査まで進み、不合格となった。なぜ合格をもらうことが出来なかったのか。確かなことは言えないが、面接審査の中で言われた「君は優しすぎる」という言葉が印象に残っている。私はそのとき、政治家になって難民問題に取り組みたいと言ったのだが、政治家に求められる積極性だけでなく、AO入試を受ける者としての積極性、貪欲さに欠けていたのではないかと考えている。
 AO入試の準備を始めたのは2004年の3月からである。志願者評価書を書いて戴いた先生に書類を見てもらい、予備校で個別指導の対策も受けた。添付した資料は30ページ程の論文に、高校時代にとった写真コンテストの賞などである。一次審査を無事に通過した私は、2次面接は最終確認のようなもので、落ちることはまずないという根拠のない自信を持っていた。そのため、面接では無難な返答に終始してしまい、面接官につまらない人間だと思われてしまったのではと考えている。私がSFC WELCOME CLIPでAO入試の記事を担当していたのは、同じ間違いをしてもらいたくなかったからである。受験生には最後の最後まで、合格を勝ち取ろうとする貪欲さを失って欲しくない。
 私はただでさえ大変な夏休みを、不合格という形で迎えた。今までの人生の中でおそらく一番苦悩した時期だったと思うが、AO入試は8月の終わりから4月入学1期の出願が始まる。自分が本当に入りたいと思う大学を探すために始めた浪人であったが、SFCが揺るぎない第一志望となっていた私にとって、次のチャンスを逃すはずもなかった。しかしながら、9月入学での不合格以後、私がSFCのAO入試で一次選考も含め、合格をもらうことは二度となかった。その原因が書類の問題にあったのか、面接での不合格にあったのかは未だにわからない。
 AO入試は準備に相当の労力を要する。そのため、AO入試であっても滑り止めは受けるべきである。私は成蹊大学のAO入試を受験し、合格を戴いた。これが一般入試を受ける上で、不安を和らげる存在となったのは言うまでもない。ここ数年でAO入試を導入する大学・学部は増えている。滑り止めとしてだけではなく、面接対策としても受ける価値はある。皮肉なことだが、SFCの面接を受けたことで、成蹊大学の面接は何の物怖じもすることなく言いたいことを言うことが出来た。
 SFCのAO入試で合格することが出来なかった私は、当然ながら一般入試でSFCを受験することを決めた。AO入試で不合格をもらうことは、人格を否定されることと同じだと言う人もいたが、所詮は書類とちょっとした面接だけの試験である。面接官との相性や、タイミングの問題で結果はいくらでも変わってくる。面接官の目が節穴だったことを証明するためにも、私は一般入試で受かってみせる決意をした。
 余談になるが、私は9月入学の面接で「君はジャーナリストになるべきだ」と言われた。いまこのようにしてSFC CLIPの編集委員をやっていることを考えると、つい苦笑してしまう。私は面接官に言われたその言葉がきっかけとなり、政治家志望からジャーナリスト志望になったのである。そのことを考えると、私はAO入試を受けたことが多分な意味を持っていたと考えている。
 SFCの一般入試対策を始めたのは12月も末になってからである。代ゼミの木原太郎先生が担当する冬季SFC対策講座で初めて、英語の超長文を目にした。そのような状況からもわかる通り、AO入試で入ることだけを受験勉強としていた私は、英語の実力は皆無だったのである。実際、大晦日に受けたSFC模試では200点中37点というどうしようもないものであった。センター英語に至っては全国平均にも満たない115点である。文法を一つも覚えていなかった私は、ただひたすらに英単語を頭に叩き込んだ。
 私がSFCの英語対策としてやったことは、単語カードに書いた単語をひたすら覚えるということである。名刺サイズの単語カードに4つ知らない単語を書き、覚えたカードは破り捨てていた。SFCの英文は市販の単語帳では完璧な対策が出来ない。私は知らない単語を覚えることに徹し、他大学の試験でも、英語試験の後は世界史や国語があろうと、SFCに受かるため、ひたすら単語カードを作っていた。それが功を奏し、併願校としては明治大学の政治経済学部や早稲田大学の国際教養学部にも合格することが出来た。
 そして、本命である総合政策学部の英語試験は自己採点で6割であった。2つの長文のうち、前半は手応えがあったものの、後半は理解に苦しんだ。ちなみに、採点したところ、皮肉にも前半より後半のほうが良い点数であった。一方、小論文は模試で満足できる成績を出していたこともあり、問題なく書くことが出来た。小論文に自信を持てたのはAO入試の対策をしていたことが大きい。SFCに限っては、AO入試の経験が一般でも活かされると言える。SFCは英語の超長文が有名であるため、小論文を軽視してしまいがちであるが、CLIP編集委員として受験に関する話を聞く機会を持つことにより英語や数学以上に小論文が合否を左右していると感じた。
 私はAO入試での不合格も、一般入試での合格もすべてに意味があったと考えている。そして何よりもまず、SFCに入れたことを幸せに思っている。だからこそ、SFCを目指す受験生には、一度や二度や三度の失敗くらいでSFCを諦めてもらいたくはない。SFCはそれだけの価値を持った場だと自信を持って言うことが出来る。