これまでこの「湘南台ビジョン」の連載では、学生の手による地域への様々なアプローチについて取り上げてきました。しかし、湘南台での地域活動は学生だけで成り立っている訳ではありません。当然、湘南台を生活の場とされている多くの方々の主体的な取り組みによって、湘南台という地域は成り立っています。

去る2月17日、湘南台市民センターにて「湘南台くらしまちづくり会議全体集会」が開催されました。「くらし・まちづくり会議」とは、行政と市民のパートナーシップの確立を目指して、藤沢市内13地区に設置されている協働による地域の活性化を目指した枠組みです。その運営形態は、地域の自主性を反映し、それぞれ異なるのですが、湘南台では、主要な地域団体の代表と有志の地域住民の手で運営されています。その「湘南台くらし・まちづくり会議」が、広く住民から湘南台のまちに対する意見聞き、市に対して直接提言を行う場として年に一度開催しているのが「全体集会」です。
 この日も藤沢市の市長である山本捷雄氏をはじめとする市の関係者を前に、たくさんの地域住民の方々が集まり、自らの「まち」に対して感じることを語り合い、未来の湘南台を熱く語り合っていました。昨年、湘南台駅の地下広場にベンチが取り付けられましたが、実はそれもこの活動から生まれたものなのです。些細で小さいことかもしれませんが、そういう小さな一歩を通じて地域は「ふるさと」になっていきます。

 ところで、この集会、他の地区でも開催されるのですが、湘南台が非常に特徴的である点があります。参加者に「若者」が多いのです。今回もSFC生をはじめ、文教大学の大学生や、地元高校である湘南台高校、藤沢工科高校の学生も参加していました。
 実は湘南台は、統計的に見ても、他の地区に比べて高校生・大学生の比率が高い「若い」街なのです。(大学生の中には住民票を移さず湘南台に住んでいる人もかなり多いと思うので、実際は数字以上に若い街ともいえます。)普段通り過ぎるだけだと、そこに暮らす人がいて、必死に街のことを考え、そして実践しているなんて思いもつきませんが、一歩その中に入ってみると、その熱気が嫌というほど伝わってきます。それは、僕たちに刺激を与え活力を与えてくるはずです。
 大学という世界の中にいると、自分の勉強・学問の成果を世に問う手段が限られてきます。そんな僕たちに、地域は、湘南台は貴重なフィールドを提供してくれています。何より、「若い街」湘南台は、間違いなく僕たち若者たちのパワーを必要としてくれています。確かに普通に大学生活を送っている限りは、関わりのない場所なのかもしれません。ですが、街から得られるものは、間違いなく僕たちを成長させてくれるはずです。読者の皆さんも、街を、湘南台を通して自分の大学生活を世に問うてみませんか?

文責: 天笠邦一 
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 後期博士課程1年
群馬県出身。田畑を駆け回る幼少期を過ごす。慶應義塾大学総合政策学部入学後、イルミネーション湘南台の立ち上げに関わり、以来7年間、湘南台の地域活動に関わる。多くの地域の皆さんに支えられ湘南台は第二の故郷に。今後は研究としても地域活性化に取り組む予定。