今年のORFは、キャンパス内でのTwitter流行もあって、Twitterを利用した仕掛けや展示が多く見られた。Twitterという軸から、もう1度ORF2009を振り返ってみたい。

“つぶやき”5187件も、botの影

ORF2009と表裏一体の存在だったのが、ハッシュタグ「#orf2009」であろう。ORF関係のことをTwitterで呟く時に付加することで、普段フォローしているかどうかに関係なく、検索で一覧できる仕組みである。ORF公式サイト上の「ORF SIGHT」でも、このハッシュタグを駆使している。
 「ORF SIGHT」が公開された10月27日以降で、このハッシュタグをつけた"つぶやき"は全部で5187件、開催2日間では3037件だった。最も呟いたユーザーはORF_testで、続くgarden_bothanasakaGまでの上位3ユーザは全てbot(人間の入力ではなく、プログラムによって自動的に発言しているユーザー)であり、この合計だけで1745件と、実に全体の3割以上を占めていた。続いて、ORF実行委員でもあるwho_me(加藤文俊環境情報学部准教授)が4位となる134回呟いており、全体で見ると少なくとも1回は発言をしたユーザ数が685、平均の発言数は7.57件だった。
 また、「#G00」のようなタグが、ブースやセッションごとに設定されており、この数では200件以上呟いた「ネットワークスタイル」の「#C05」と「加藤文俊研究室」の「#G05」が群を抜いて多い。その他のタグは全て100件以下だったが、全てを合計すると2480件で、約半数の発言が出展内容と関連付けられたものだった。

ORFSIGHT 通称「おさわりガーデン」

公式アカウントから可視化まで

ORF実行委員会も公式アカウント「SFC_ORF」を開設して、情報発信に取り組んだ。580人がフォローしたものの、呟きの回数は182回に留まり、内容もRTが多かった。出展者向けの情報伝達は専らメールが利用され、ORF前の外部向けの情報発信のような内容も少なかった。
 当日の会場内でも「Twitter」を活用した展示が目立った。呟きによって「庭」に「草」が生える「ORF SIGHT」、無数のiPod Touchを使って会場内の発言を表示する「ORF-Navi」、名刺交換代わりにテーブルを囲んだ人のTwitterアカウントを表示するテーブル「Twittable」が会場入り口付近を彩った。

「Twittable」の説明 「Twittable」

みんなが呟く未来を垣間見た

結果として、Twitterの影響は確かに見られたものの、運営者・来場者・出展者の合計に対して呟きの絶対数は少なく、Twitter一色に染まるという程にはならなかった。しかし、Twitterが高度に浸透していく過程で発生する効果と課題を先取りしたのも事実だろう。ORF実行委員会への要望は「@sfc_orf」とつけるだけでダイレクトに届き、様々なアイディアが1つのサービスを共有しながら形になった。
 逆に、たとえ手軽であっても1つ1つの発言がWEB上で公開されるということへの配慮や、ハッシュタグが無意味なbotで埋め尽くされるとそれを防ぐ手立てがないことなど、これから解決していかなければならない問題が多く発見された。様々な立場の人々がリアルタイムにインターネット上で呟く、そんな時代のデザインという、SFCへの新たな宿題が課せられたのではないだろうか。