朝日新聞社主筆を務めた、船橋洋一氏が2011年度秋学期よりSFCにて「グローバルガバナンス」の授業を担当することが決まった。船橋氏は記者としての経験を活かし、国内外から見た日本のガバナンスに斬り込む。授業では学生との議論を盛り込み、世界を舞台に活躍する素地を養う。今後の展望を聞くため、お話を伺った。

船橋氏

来学期の「グローバルガバナンス」は月曜日の5限を予定。履修選抜は実施予定だが、受入予定学生数は現在未定。
 船橋氏は問題意識として、日本のコンセンサスの危うさを掲げる。日本は統一社会であり、それぞれの違った観点が議論もなしに退けられ、消されていく環境にある。船橋氏は、研究者やジャーナリストは日本のことを論じる上でも多様な観点を持つべきと考え、記者時代にはその実践として外国人への取材を積極的に行っていた。この考え方は、授業でも積極的に反映していくという。
 来学期の授業では、福島第一原発の問題からみた日本のガバナンスの課題について扱う予定。賠償スキームやエネルギー政策について議論を深める。
 来年度以降は、民主党政権の総括や、冷戦以降のデフレ、少子化への日本政府の取り組みなどを論じていく予定だ。
 履修希望の学生には、例えば英字紙を読むなど、日本語以外の言語空間で世界を見てやろうという意欲を期待している。
【船橋洋一氏・略歴】
1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒業。法学博士(慶應義塾大学)。
大学卒業後、朝日新聞社に入社。北京支局、ワシントン支局に勤務。経済部編集委員、アメリカ総局長を歴任。
2007年、朝日新聞社主筆に就任。