秋学期が終わり、残すは単位の発表だけ。この発表に進級がかかっていることもあり、緊張している人も多いだろう。そんな中、SFC CLIP編集員である大長将之さん(環1)が「履修していたはずの授業が1ヶ月前にSFC-SFSのMY時間割から消えた」と発言。この件に関して、当事者である大長さん、慶應湘南藤沢事務室の両者に取材を行ったところ、SFC-SFSの位置づけの複雑さが明らかになった。聞き手:藤平直人(総3)

大長さんの主張

–授業が「SFC-SFSのMY時間割(以下MY時間割)から消えた」のですか?

 元々MY時間割にあったものが消えました。今年の1月はじめ、ちょうど試験の前でした。消えた授業は火曜日5・6限の山中俊治政策・メディア研究科教授担当「研究会A」です。履修申告後の「MY時間割(確定)」にもありました。2コマを占有していたので間違い無いです。

 はじめはバグかな、と思ったのですが、成績をつける段階になって授業担当者から「履修者名簿に載っていません」と言われ、事態が深刻であることに気づきました。

–「履修申告科目確認表」で確認しましたか?

 「履修申告科目確認表」が送られてきた時に確認しました。初めての研究会履修だったので慎重に確認しました。記載されていたことを覚えています。

 しかし、1月のはじめに研究会が「MY時間割」から消えました。その時に履修申告科目確認表を探したのですが、ありませんでした。年末の大掃除で捨ててしまったようです。

–「研究会A」の単位は来る予定でしたか?

 来る予定でした。今期は研究会の中で義足を扱うプロジェクト「バイオメカニクスプロジェクト」に参加していました。このプロジェクトで都内や埼玉まで行くなど精力的に活動していたので単位が来ないとなるとやるせないです。

 4単位がかかっており、さらには研究会であるため、あらゆる手を尽くしました。

–事務室にはどのような主張をされたのですか?

 授業「研究会A」の履修者名簿に載っていないみたいで、加えて「MY時間割」からも消えたので、これはどういうことですか、と聞きに行きました。

 すると「履修者名簿に載っていないということは、履修申告をしていないということなので、『履修申告科目確認表』を確認して下さい」と言われました。

 しかし、「履修申告科目確認表」は紛失してしまっていたので、確認することができませんでした。

 そこで、MY時間割には存在していた旨を伝えると、「MY時間割」と「学事webシステム」は別のシステムで、「MY時間割」にあるからといって、「学事webシステム」にあるとは限りませんと言われてしまい、履修は認められませんでした。

 普段「学事webシステム」なんて見ることがないのに、「MY時間割」が証拠にならないのは苦しいです。

–単位、進級はどうされるのですか?

 単位は諦めざるを得ないです。30単位ぴったりで進級こそできると思いますが、もうこれ以上1単位も落とせなくなってしましました。

 研究会は聴講扱いで成績を出していただけたので、継続履修できることになりました。

事務室側の主張

–大長さんは「MY時間割」にずっと登録されていた、と主張しています。

 まず、SFCガイドの55ページ、「履修科目の確認」のところを見ていただきたいです。

・履修申告で正しく登録された科目は、学事Webシステムを利用して再度確認することができます。ただし、春学期は 4月下旬、秋学期は10月中旬に本人宛に送付する「履修申告科目確認表」で必ず最終確認を行ってください。

 つまり、SFC-SFSとMY時間割は証拠にならないのです。

–SFC-SFSはオフィシャルではない、ということですか?

 履修申告に関してはそうなります。履修申告は全塾共通で行われているものです。したがってSFC生だけSFC-SFSで履修申告の確認が可能、とすることはできません。

 加えて、SFC-SFSに反映することができるのはSFC内の授業のみで、SFC所属の学生であっても、三田や日吉で履修した授業は反映されません。

 そのため、履修申告に関してはSFCガイドにある通り、「学事webシステム」と「履修申告科目確認表」が正式なもので、「MY時間割」は副次的なものでしかありません。

 ただし、SFC内の授業に関して、SFC-SFSを通じて提出された課題などは公式であると認められます。

–SFC-SFSはどこからデータを取ってきているのですか?

 「学事webシステム」の元となっている管理システムがあります。そこからデータを取ってきています。ただし、SFC内のデータしか取ってこない上に、タイムラグがあるため、確認の手段にはならないのです。

–大長さんは元々「MY時間割」にあったものが消えた、と主張しています。「MY時間割」にあった以上、「学事webシステム」にもあったのではないですか?

 「MY時間割」にあったから「学事webシステム」にもあったのではという主張に関してですが、事務側は「学事webシステム」のログをとっています。

 元々履修申告していたものが、ある時点で「学事webシステム」から消えた、という可能性はありません。

 それなりの証拠があれば、ログの開示に応じるかもしれませんが、「もしも」の話はできません。実際に証拠を持って窓口へ来てもらってから話になります。

–それなりの証拠、とは「学事webシステムのキャプチャ」もしくは「履修申告科目確認表」ということですか?

 これに関しても「もしも」の話はできません。実際に消えたと主張する本人が窓口まで来てからの話です。

–SFC-SFSが公式であると考えているSFC生は多いと思います。この点に関してどう思われますか?

 確かに、SFCにおいてSFC-SFSが徐々に大きなウエイトを占めるようになり、「学事webシステム」より身近な存在になっているとは思います。この点を考えて、これから広報や仕組みの面を改善していく必要はあるかもしれません。

 ただし、現状では「学事webシステム」と「履修申告科目確認表」のみが履修申告を確認できるものです。

敗着は「履修申告科目確認表」の紛失

大長将之さん確かに履修申告した、と語る大長さん

 大長さんの非がある点は保存しておくべき「履修申告科目確認表」を紛失してしまった点だ。履修する科目の証明となる「履修申告科目確認表」は命綱ともいうべきものなので、必ず保管しておかなければならない。

 「履修申告科目確認表」が郵送されてきたら、速やかに確認し、不備があれば事務室に行くようにしよう。また、単位が確定するまでかならず保管しておくようにしよう。

この事件の問題点 -SFC-SFSの落とし穴-

 この事件に関して、上記のように「履修申告科目確認表」を紛失した大長さん側に非があるということは間違いない。

 しかし、「MY時間割」に反映された時点で、履修申告が通っていた、とほっとする学生が多いことも間違いないだろう。SFC-SFSには「MY時間割-2011秋学期(確定)」と書いてある。「確定」という文字が踊るこの画面で履修申告が確認できたと考えても無理はない。誤解を招く表現は避けるべきだ。

 この問題はSFC-SFSが大きくなりすぎたことに起因しているだろう。課題の提出は公式、履修申告の確認は非公式となっているSFC-SFS。すべてのSFC生が使用しているSFC-SFSに、公式と非公式という異なるレイヤーの情報が混ざっていることに注意して使用している学生がどれだけいるだろうか。

 SFC-SFSのトップページには、「SFC-SFS とは、学生・教員・職員のためのコミュニケーション支援システム」と記載されている。しかし、単位や卒業に関わるやり取りが行われるこのシステムを「コミュニケーション支援システム」と呼ぶのは実情にそぐわないともいえる。大きくなりすぎたSFC-SFSの位置づけと扱い方を再検討をする時期に来ているのではないだろうか。