SFCでは、学生や研究者が滞在しながら教育・研究を進めるための滞在型教育研究施設「未来創造塾」の建設が5年計画で進められている。3月下旬、最初の施設となる「滞在棟1」と「DFF-W (Digital Fabrication Factory – Wood)」が完成した。

SFC CLIP編集部は、9日(土)のお披露目会に参加。その全貌を取材した。今回は、その施設内を写真とともにお伝えする。

DFF-W(左)と滞在棟1(右) DFF-W(左)と滞在棟1(右)

研究と滞在の一体化 「滞在棟1」

「滞在棟1」と「DFF-W」が建てられたのは、未来創造塾のEAST街区だ。この地区は学生が主体となって未来創造塾の設計・使い方を考え、自らの手でつくるプロジェクト「SFC-SBC(Students Build Campus)」の対象となっている。

「滞在棟1」は、まさに学生が滞在するための施設。学生が寝食をともにして研究するための、キッチン、シャワー、ベッド、などが完備されている。この2016年度春学期は「試験期間」と位置づけられ、少しずつ利用がスタートしている。

学生が手作り 一つ一つが違う「2段ベッド」

木製のベッド。側面にはハンガーをかける穴があいている 木製のベッド。側面にはハンガーをかける穴があいている

「滞在棟1」でもっとも注目すべきは、学生自らが作った木製の「2段ベッド」だ。「滞在棟1」には32人分、16台が作られた。

ハンガーをかけるために穴があいているもの、女性目線で作られた鏡付きのベッド、寝ながらPC作業ができる机が付いたベッドなど。一つひとつに個性的な機能が備わっている。

ベッドの組み立ての様子(YouTubeより)

学びの場としてのキッチン

キッチンで料理の準備をする学生 キッチンで料理の準備をする学生

SBCは「食」にも力を入れている。みんなで料理をし、みんなで食べる。そこに「学びの場としてのキッチン」の可能性を考えている。そのため、「滞在棟1」にも大勢で作業をしやすいことが考慮されたゆとりのあるキッチンが備えられている。

料理は生活の場におけるもっとも身近な創造行為であり、キッチンにコミュニケーションの場としての意味を持たせたい、そんな思いからお披露目会では井庭崇研究会から出発したプロジェクト「Co Cooking」とのコラボが行われた。

お披露目会で行われたCo Cookingの様子 お披露目会で行われたCo Cookingの様子

シャワー室

シャワー室内 シャワー室内

「滞在棟1」の向かいにはシャワー室がある。近いうちに洗濯機も備えられる予定だ。これでリフレッシュした状態で研究に専念することができる。

写真左に洗濯機が設置予定 写真左に洗濯機が設置予定

アイデアをすぐ形に! ものづくりスペース「DFF-W」

「DFF-W」入り口 「DFF-W」入り口

「滞在棟1」に隣接されているのが、ものづくりスペース「DFF-W(Digital Fabrication Factory – Wood)」だ。「滞在棟1」で生まれたアイデアをすぐに実験・実践する場となる。まさに「自分たちで使うものは自分たちで作る」というSBCの理念を体現している施設だ。

今後、大型CNC加工機や大型レーザー加工機、大型ロボットアームといった機材が搬入予定だという。

「DFF-W」でベッドを製作するSBCメンバー 「DFF-W」でベッドを製作するSBCメンバー

SBC合同研究会も始動! 「未完のキャンパス」はつづく

当初からSBCに関わっている連勇太郎助教 当初からSBCに関わっている連勇太郎助教

今学期から「SBC合同研究会」として正式に研究会となったSBCプロジェクト。政策・メディア研究科特任助教の連勇太朗さんは「正式に大学の研究会として活動することにより、学生もより集中してプロジェクトに関わることができるようになる」と言う。

未来創造塾EAST街区は5年後に180人が滞在可能になることを目標としている。今回、「滞在棟1」の完成により32人の滞在が可能になった。「とはいってもゴールを定めずトライ&エラーを繰り返しながら実験的なことをしていくのがSBCの特徴。今回完成した施設の使い方に関するアイデアや、新しく協力してくれる人も随時募集している」と次を見据えて語った。

お披露目会の懇談会は夜まで続いた お披露目会の懇談会は夜まで続いた

今後も、SBCドーム(仮)や「滞在棟2」における「個室」案といった新しい施設の計画案。さらに建築関係だけでなく、「SBC多文化共生プロジェクト」や「SBC×食 プロジェクト」など新しいプロジェクトが始動している。

お披露目会には今年入学したばかりの1年生の姿もあった。福元明美さん(総1)は「とても居心地の良い空間だと感じた。今後もSBCと関わりを持ちたい」と笑顔をみせた。懇親会は、小林博人教授の「これは終わりではなく始まりに過ぎない。SBCはこれから先も学生のアイデアで変化し続けていく」との言葉で締めくくられた。

プロジェクトの企画・運営、建築・ランドスケープ、学習環境デザインやコミュニティ運営など多様なプレーヤーが活躍できるのがSBCのおもしろさだ。興味がある人は、ぜひSBCに参加してみてはいかがだろうか。

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