11月22日(木)-23日(金・祝)に六本木・東京ミッドタウンで開催された「SFC Open Research Forum 2018」(以下、ORF)。今年もさまざまな研究室が日頃の活動の成果を発表したが、出展団体の中で特に異彩を放っていたのがNetwork Operation Center、通称ORF-NOCだ。今回SFC CLIP編集部は、NOCチームの活動を取材した。

あえて"SFCを経由する"ネットワーク

NOCはSFCの有志学生で結成された組織であり、ORF会場に用意される出展者・来場者等向けのネットワークの設計・構築・運用を一貫して行っている。日ごろからITに慣れ親しんでいるSFC生にとって、ORF会場においても無線LANなどネットワークの利用は欠かせないだろう。そんな会場内ネットワークを提供しているのがこのNOCチームである。

学部1年生から博士課程まで様々な学生の参加するNOCチームの活動開始は5月にまで遡り、機材の機種、台数の選定や配置計画などの準備をしていたという。さらに11月に入ってからはSBC滞在棟で本番と同じ機材をすべてセットアップし、ミッドタウンでも本番2日前の火曜日から準備を行っていたという。

SBCでは4日間泊まり込みでセットアップ作業を行った(NOC提供) SBCでは4日間泊まり込みでセットアップ作業を行った(NOC提供)

ORFで提供されるネットワークの特徴のひとつが、インターネットに関する研究・運用を行っている学術ISPのWIDEプロジェクトのバックボーンネットワークを経由してSFCのデータセンターへと接続されていることだ。これにより、出展者はいつもSFC内で使っているのと同じように、CNS上のリソースにアクセスできる。

なお、今回のNOCが使用した機材は無線LANのアクセスポイントだけで40台にも上り、さらにネットワークスイッチ類やファイアウォールなどについても例年より特に充実した装備になっている。これらのはすべて、シスコシステムズ合同会社から貸与・技術サポートを受けているという。

シスコジャパン合同会社 デイヴ・ウェスト代表執行役員社長らもブースを訪れた シスコジャパン合同会社 デイヴ・ウェスト代表執行役員社長らもブースを訪れた

サービスの充実、そしてゼロダウンタイムを実現

今年のORF会期中は新たな取り組みとして、2つのサービスが提供された。1つは出展団体からの問い合わせに対応するチャットボットのサービス、もう1つは来場者のVisitorカードについたQRコードを活用した、来場者の訪問記録を蓄積・可視化するサービスだ。とくに後者は、どこのブースが注目されているかをリアルタイムで表示したり、来場者は帰宅後にQRコードを読み取れば自分の訪問歴を見返すことができたりと様々な使い方が用意され、好評だったようだ。

また、ネットワーク長を務めた豊田安信さん(政・メ1)によると、過去には会期中にネットワークが使えなくなる事態が発生することもあったというが、今回のNOCではネットワークがダウンせず、会期中常に安定した通信が提供できたという。

この他にもNOCのブースでは、ネットワークの利用状況や正常性、無線LANの接続状況のデータを利用した人流可視化や、ハニーポッドと呼ばれるインターネット上からの攻撃を分析する装置を利用した攻撃の分析などが展示されていたほか、実際に稼働中の機材も展示。一見難しそうな機材にも丁寧な解説がされていた。

ネットワーク利用状況などをわかりやすく可視化し展示していた(表示例, NOC提供) ネットワーク利用状況などをわかりやすく可視化し展示していた(表示例, NOC提供)

毎年様々な挑戦により快適なネットワークを提供してくれるORF-NOC。来年以降も新たな挑戦と活躍に期待したい。

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