六本木・東京ミッドタウンで22日-23日の2日間にわたり開催された、ORF2019。SFCでの研究や活動の発表が多数集結し、会場は連日賑わいを見せた。

ブース会場の様子 ブース会場の様子

現地の様子をレポートで紹介!

東京ミッドタウン地下1階の会場では、各分野の研究・活動内容を発表するブース展示やポスター展示が行われた。また同階では、約15分ごとに登壇者が入れ替わり、連続して発表をきくことができるPitch会場も設けられた。4階の会場では各種テーマのセッションが行われ、興味のある分野の話を掘り下げることができた。

本記事では実際に会場へ足を運んだ編集部員のレポートを、ブース、Pitch、セッションの3つに分けて紹介する。

【ブース】池田靖史研究室 建築情報学による環境の未来

新木場駅周辺のAR模型 新木場駅周辺のAR模型

池田靖史研究室のブース展示では、ORFの為に用意したという65インチ4K液晶モニターを使用した研究室の紹介動画の上映と、AR技術を用いた建築物の展示が行われた。

なかでも来場者の目をひいたのが、新木場駅のAR展示だ。iPadやiPhone、HoloLensなどのデバイスを通して、新木場駅周囲をARで見ることができ、ArUcoマーカーを動かしてバーチャル空間内のビルを移動させるという体験ができた。

また、ARで建築物を見せながら説明をおこなっている様子が見受けられたのも特徴的であった。

【Pitch】22日(金) 気象学研究会

気象学研究会のPitchでは、ゼミ生の田中優梨子さん(総4)が、海面上昇や“温暖化型台風”による豪雨被害など、地球温暖化によって実際に発生した被害を紹介。なぜ地球温暖化が進んでいるのかについてもポイントを整理した。

続いて黒田啓太さん(環4)は、SDGs13番目の目標である「気候変動に具体的な対策を」の実現に向けた、世界全体および日本国内の取り組みを紹介。個人レベルの活動に関しても、温室効果ガスを減らす「緩和策」はもちろん、防ぎきれず実際に起きてしまうであろう災害に備える「適応策」も重要だと締めくくった。

【セッション】22日(金) 音楽の未来2019

このセッションでは「音楽の未来 -The Future of Music-」をテーマに、5名のパネリスト(藤井進也環境情報学部准教授、サベジパトリック環境情報学部特任准教授、徳井直生環境情報学部准教授、ソニーコンピューターサイエンス研究所リサーチャーの古屋晋一さん、ヤマハ株式会社研究開発統括部第1研究開発部部長の棚瀬廉人さん、ゴスペラーズでもある北山陽一環境情報学部特別招聘講師)がそれぞれの視点から考察した音楽の未来についての提言を発表・議論した。その中でも特に「AIと創造性」について議論が白熱した。

AI研究が専門である徳井准教授は、「音楽業界でのクリエイターやアーティストがAIを利用する=AIとの共創 という未来」を主張した。対して、棚瀬さんは、技術者の中にはAIに対して不安感や危機感、慎重に扱わなければならないという意識の芽生えがあることを指摘した。ちなみに、今年度SFCにはx-Music Laboratory(エクス・ミュージック・ラボ)が開設された。同ラボの研究が、社会にどのような影響を与えていくのか目が離せない。

【セッション】23日(土) AI社会論:SFの創造力と社会デザイン

セッション会場の様子 セッション会場の様子

AI社会共創・ラボによるセッションでは、5名のパネリストが各々の分野から見たAIとSFを絡めた今後の社会に関して語った。

パネリストの1人であるSF作家の長谷敏司さんは、SFの未来ビジョンに対する類似の性質を持っているなど世界観の傾向を示した。水戸芸術館現代美術センター学芸員の山峰潤也さんは、メディアがAIに関して発信する情報の影響力と本テーマである「SF」と実社会の間にいる存在が現代アートだと主張。また、AIと人間とが等価で語り合う世界をモチーフとした作品や展示の紹介もされた。

研究の融合 ORFという可能性

会場入り口 会場入り口

会場には研究関係者のほか、SFCの研究に興味がある多くの人々が訪れた。今年も様々な研究が集まり、それぞれが融合したORF。自分の専門外の研究にも触れ、アイデアを得ることで、新たな社会形成の方法を見出していきたい。

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