SFCで最も有名なイラストレーターとも言えるchamooiさん。スプレーアートのパフォーマーとしても活躍しているハーミットこと大長将之さん(環1)。今回は2人に、SFCにおけるアートや、自身の絵に対する考え方など、いろいろ話してもらいました。聞き手:藤澤伸(環3)

「考えながら描く」

大長:
chamooiさんは、いつから絵を描いているんですか?
chamooi:
ずっと前から。生まれたときから描いてます。パソコンで絵を描き始めたのは高校のときだったけれど、すぐ受験が入っちゃってやめちゃったのですが、大学でもう一回やり直しました。
大長:
イラストレーターとかですか?
chamooi:
主にPhotoshopで描きます。
大長:
Photoshopか〜。使えないんだよな……。
(そのときの作品を見せるchamooiさん)
大長:
いまと作風ちょっと違いますね。
—-chamooiさんの絵の魅力のひとつは、幅が広いところだと思います。塗り方も絵によって違いますよね。
chamooi:
いろんなのタッチの絵を描きたいと思ってます。厚塗りだとか、普通にアニメ塗りだとか……。
大長:
すごい「わっさー!」としてるイメージがあるんですけどね(笑)。
—-例えば七夕祭のときの絵などは、たくさんのモチーフでつくられていますが、全体の構成を最初から考えて描いているんですか?

chamooi:
めっちゃ、考えながら描いてます。
—-描きながら、「ここにこれおいてみるか…」という感じなんですね。
chamooi:
最初にイメージがわくときもあるんですけど、わかないときが多いんでいろいろ適当に……。
大長:
このへんとかもう、何を描いてるかわからないぐらい……。
chamooi:
もう細かすぎてみえないですね。原図を見せた方がいいですかね?
大長:
描くのに何分ぐらいかかるんですか? 1枚あたり。
chamooi:
ものによって全然違います。例えば、「インターネット」の選抜で描いた絵は40分で描きましたし。

—-この絵を見たときは本当に驚きました! このクオリティでかつ描くのも早いんですね。
chamooi:
みんな何がそんなにびっくりしたのかなっていう……早さなのかな?
大長:
いや、履修選抜とクオリティのギャップに驚いたんじゃないですかね。
chamooi:
その日中に、カラーのもしあげちゃって。
大長:
スキャンして、Photoshopでって感じですか。
chamooi:
でももっと描くものが多いやつは…2日くらいかかっちゃいますね。
—-下絵は1日で仕上げるんですか?
chamooi:
だめこれと思って、何回も書き直してて、それだけで2日とかかかっちゃうときもあります。

スプレーアートの世界へ

chamooi:
「スプレーアート」を始めたのは、どういうきっかけだったのですか?
大長:
いわゆる有名なスプレーアートはワンミニッツアートっていって、1分で描くってやつなんですけど。

これでなんか一気にスプレーアートが有名になりました。
chamooi:
えー! すごーい!
大長:
Youtubeでこの絵を見て、僕もやろうと思いました。
—-ハーミットくんも1分で描いたりするんですか?
大長:
やりますね。バラの絵は5分かかってますけど。
chamooi:
うますぎて……
大長:
いやいや、何をおっしゃるんですか。でも、普通の絵は全然描けないんですよ。
chamooi:
ええー! すごすぎる。
—-普通の絵は描けないのに、スプレーだと逆にここまでできるというのもすごいですね。
大長:
そうですねー、多分全然普通の絵とスプレーアートじゃ違うんだと思います。筆を使わないので。
chamooi:
スプレーアートやってるのって、日本に2人だけ、とかでしたっけ?
大長:
僕と師匠筋の方が2人だけしかいないんですよ、パフォーマーはファイターっていう人なんですけど、格闘家やってて。
chamooi:
ん?(笑)
大長:
スプレーアート関係のマイミク6人しかいないんですよ(笑)。原画を描いて、手順だけ考えて描いてみるっていう。
chamooi:
ハーミット君、めっちゃすごいです…
—-おふたりともとても謙遜するし、とてもお互いをほめますね(笑)。
chamooi:
本当にすごいと思ってます(笑)。どうやって勉強したのですか?
大長:
Youtubeで見ただけです。いわゆるYoutube先生。さっきみたいにYoutubeいっぱい出して、この人達うめー! と思って1年ぐらいやってました。
chamooi:
えー! いつからですか?
大長:
3年前? ですかね。中三の時に定額給付金があったのですが使い道がなくて、スプレーを何本か買ったんです。
chamooi:
なつかしーそれ(笑)!
大長:
そのあと文化祭で予算を落としてもらって、やりました。
chamooi:
超一生懸命やったのですか?
大長:
超一生懸命やりましたよ(笑)。授業とかさぼって、10時間ぐらいずーっとやってて、四六時中考えてて。

ハーミットの描き方

大長:
原画かかないんすよね、僕。
chamooi:
そうなんですか、え、天才!
—-スプレーアートって、あんまり計算しないで描くものなんですか?
大長:
あたまからさーっと。
—-なるほど、すごいですね。
大長:
だから完成図が絶対頭にないと描けないので、描きながらってきつい…。下絵かけるのってすごいなぁ。
chamooi:
下絵かかないほうがすごすぎる!

ハーミットの作品のひとつ

大長:
いやいやいや、ほんと下絵なんて描いてられないです。
どうやってかいてるんだろうなぁ。ぼくも基本的にフォトショップのレイヤーみたいなもので、まず下にまず赤いの塗って、緑塗って黒塗ってけずっていく、下の色を出していくていう感じなんですよね。
—-パフォーマンスだから、描いてる過程でも楽しませなきゃならないんですね。
大長:
そうですね。
—-濃淡はどうやってつけるんですか? カッターでうすく削るとか、ですか?
大長:
チラシとかをくしゃくしゃにしたものを、色を重ねたところにつけてベッとはがすと、そういうテクスチャが付くんですね。
イラストよりは油絵に近いかもしれないです。
—-なるほど。やり方もスタイルも全く違うんですね。
(第2回に続きます。次回はSFCとアートの関わりについて!)