「SFCらしさ」を再発見し、激変する社会におけるSFCの役割を見出す「復刻! CLIP Agora」。今回は、3月に第44回全国かるた競技松山大会でA級初優勝、8月には第22回全日本大学かるた選手権大会(大学代表の部)で優勝を果たした、濱野希望さん(総2)に話を聞いた。

— 優勝おめでとうございます! 今回は「濱野さんとかるた」についていろいろな話を聞かせてください。

ありがとうございます。優勝できるとは思っていなかったので、自分が一番びっくりしています。かるたについて話そうと思えばいくらでも話せます、止まらないです。何から話せばいいんだろう(笑)。

— 「競技かるた」は、私たちが普段やるようなかるたとどう違うのですか?

お正月に家族でやるような、ばらばらに置かれた札を取るようなやり方は「ちらしどり」と呼ばれています。

一方、競技かるたは、自分と相手の場にそれぞれ25枚、きれいに整列して並べられています。最終的には、自分の場にある札が先になくなった方が勝ちというルールです。自分の場に置かれている札を取ったら、自分の場の札が1枚減る。相手の場に置かれている札を取っても、自分の選んだ札を相手の場に1枚送ることができるので、結果として自分の場の札が1枚減る。

最初に覚える時間が15分間あるので、どこにどの札があるのかを一通り覚えます。あとは試合中に札が動くのを覚える。最初の暗記時間で何がどこにあるのかが頭に入っているから、みんな読まれて2、3文字で取ります。

— すごい記憶力ですね。

うーん、慣れました。慣れないと(笑)。

— 濱野さんがかるたを始めたきっかけは何だったのですか?

小学生のころ、大学生が学校に教えにきてくれたことです。でも、そのころは野球をやっていたので、始めるまでには至りませんでした。中学生になって、野球を続けるような大きな体ではなかったので新しく何か始めようと思い、かるたを始めました。僕は京都出身ですが、おとなり滋賀県のかるた会に参加し、毎週、近江神宮(滋賀県大津市、かるたの聖地とされる)で練習していました。

大学に入ってからは、日吉のサークル「慶應かるた会」で活動しています。練習では、本番と同じように試合をしたり、アドバイスをしあったりします。SFCの事務長さんもかるたをやっておられるので、毎週一緒に練習しているんですよ。

競技かるたの様子(濱野さんより提供)

競技かるたの様子(濱野さんより提供)

— 大会にはよく参加するのですか?

はい、大学に入る前から今まで大会にはよく出ています。かるたの大会はすべて全国大会で、ほぼ毎週、日本のどこかで大会が開催されているんです。なので遠征も多いです。僕は、北は仙台、南は熊本の大会に参加しました。

— 3月には全国かるた競技大会でA級初優勝されたんですよね。かるたの「級」はどのような仕組みになっているんですか?

初めはみんな、誰でも大会に参加できるD級から始まります。大会で3位以内に入ったら、D級、C級、B級と昇級していきます。B級からA級だけは昇級の条件が違って、優勝1回するか、準優勝2回するかというようになっています。

— 今回8月に優勝した全日本大学かるた選手権大会は、どのような大会だったのですか?

日本全国の大学のナンバーワンを決める大会です。いろんな部があるなかで一つ大学代表の部というのがあって、さらに学年別に分かれています。各大学から1人出られるということで、僕は慶應義塾大学代表として出場しました。

— 大学代表…すごいですね! 実際の試合はうまく進みましたか?

実は、前日にあった団体戦のほうを頑張ろうと思っていたんです。正直、大学代表の部での優勝はきついかなと思っていたので…。ほとんどの大会は、当日、試合の直前に相手が決まります。ただ、大学選手権の大学代表の部は、トーナメント表が事前に決まっていて、勝ち進んだら誰と当たるかはだいたい予想がつくんです。それで、僕は厳しいブロックに入っちゃったんですよ。A級の人がいない大学もあるなかで、僕が入ったのは、どう勝ち進んでもA級の人としか当たらないブロックでした。それが前日の団体戦の時点で決まっていたので、もう団体戦のほうで頑張ろうって諦めかけていました。

— それでも、大学代表の部で優勝までのぼりつめたんですよね…!?

それが、最初に「3回戦が肝だな」と思っていた試合に無事に勝ったら、やっぱり一番上まで勝ちたくなってしまった(笑)。しかも、その大会の審判長さんが、僕が中高6年間入っていたかるた会の副会長。ずっと僕をみてくれていた人で、恩返しというか、いいところを見せられたらいいな、という想いもあって頑張れたんです。いつも全然褒めてくれないんですが、優勝したときは褒めてくれました。

— 何と言われたのですか?

僕よりもっと強い人たちがいるのですが、「もうちょっとでその人たちにも勝てるんじゃない。いい試合だったよ」と言ってくださいました。

— 大会に優勝して、うれしかったことは何ですか?

ずっとA級優勝が目標でした。3月の松山大会での優勝で目標自体は達成できました。でも、一発屋だとは思われたくなかったので、半年以内にもう一つ結果を残したいとずっと考えていました。なので、連続して成績を残せてよかったな、と今は一安心しています。

あとは、後輩にいいところを見せられたかな、と思っています。慶應かるた会には40名ほどの会員がいます。僕は、そんなに真面目ではなくて普段からちゃらんぽらんで、おちゃらけた人間で、しょうもないことばかり言っています。後輩にどう思われているのかなって正直思っていたんですよね。試合の前に、後輩に「決勝見とけよ」と言ったんです。僕が勝つか負けるかではなくて、トップレベルの試合だから何か学ぶものがあるだろうという意味です。それでも、決勝に勝ったことで、その後輩たちに示しがついたというか、かっこいいところを見せられたのが、素直にうれしかったです。本当、いつもしょうもないダジャレばかり言っているので(笑)。「試合になると人が変わるな」といろんな人から言われるくらいです。

— 濱野さんにとって、かるたの魅力とは何でしょうか?

いろんな人に出会えることです。かるたは、老若男女がやるスポーツです。下は幼稚園の子どもから、上は70-80代のお年寄りまで。社会人の方と知り合うことで視野が広がって、こういう仕事もあるんだなぁ、という気づきを自分の将来の参考にすることもできます。他大学の友だちもたくさんできました。友だちが増えるから人脈も広がるし、見える世界もぐっと広がります。

あとは、集中力、暗記力などのチカラが勉強ではないところでついていくのが魅力的です。絶対にどこかで生きてくることだと思います。

— 大学を卒業しても、かるたを続けたいと思いますか?

続けるつもりです。絶対。大学卒業と同時にやめる人も多いですが、僕にはやめる理由もありません。続ける理由があるわけでもないけど、これだけハマったらもう飽きないだろうと思います。中高のころからずっとかるたが生活の中心なので、僕からかるたをとったら何も残らないかもしれません。ここまできたら、いけるとこまでいってみたいんです。

かるたの魅力を本当に楽しそうに語ってくれた濱野さん。一つのことに打ち込むってすばらしい! とこちらが思わされました。今後の活躍も楽しみです。

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