10日(水)、SFC未来創造コンテストの予選大会が行われ、決勝大会に進出する4組が選ばれた。SFC未来創造コンテストは、SFC20周年を記念する各種イベントの総括で、20年後の社会を想定し10年後のSFCのあるべき姿について在学生・卒業生・教員等が提案を行う。決勝大会は23日(火・祝)のOpen Research Forum 2010(以下、ORF)で行われる。


 決勝に進出したのは4グループで、予選大会での発表者はそれぞれ義塾保健管理センターの藤井香さん、山本竜也さん(総4)、巳野聡央さん(05年総卒)、花崎智弘さん(07年総卒)となっている。審査員は國領二郎総合政策学部長、村井純環境情報学部長、徳田英幸政策・メディア研究科委員長らが務めた。
 藤井香さんのグループは、全員が看護医療学部の学生や教職員から成る。藤井氏らは、SFCに建設予定の未来創造塾に学生たちが暮らし、同時にそこにマンションや老人ホームのような学外の人向けの住環境も整備するというプランを発表した。これによって、学生たちが社会と接する機会を増やそうという試みだ。また、このプランではキャンパス内で学生がアルバイトをできる仕組みを提案した。
 
 山本竜也さんのグループは、次の20年を拓くためには研究におけるハードインフラやプロジェクト中心主義だけではなく、高度な研究能力を持った人を育て上げるべく、ソフトのインフラが必要だと述べた。そして、そのような人間をSFCで育てるため、研究者の相談に乗るリサーチマイスター制度の用意、研究のたこつぼ化を止めるためのコモンスペースの設置、SFC生の教育に関する活動を支援するためのコンペティションの開催という3つの提案を行った。
 巳野聡央さんのグループは、現在のSFCの様な自らが学際的手法を用いて問題を解決するのではなく、多様な専門家を問題解決に巻き込みそこで指揮者の役割を果たすべきだと主張した。そして、違うフィールドで活躍する多くの専門家をまとめあげるために、実務能力というよりもむしろ人間性に長けた有能なリーダーを育てることがSFCの今後の方向性だと提案した。
 花崎智弘さんのグループでは、SFC生同士のつながりを作り出すことに重点を置いていた。卒業生のデータベースを作成し、学生と卒業生や卒業生同士でのつながりを作りやすくすることが狙い。このデータベースを活用することによって学生は卒業生に研究活動などを援助してもらいやすくなり、大学のプログラムでは不十分な点を補うことにもなる。また、キラーコンテンツとしてこのデータベースを利用してお見合いパーティを行うというアイディアも披露され、会場は大いに盛り上がった。
 コンテスト終了後には、國領学部長が「非常に僅差で、選ぶのが心苦しかった」と発表者を労った。決勝大会では、どのグループが勝つのかわからないレベルの高い戦いになるのは必至だ。設立から20年が経ち、SFCは今大きな岐路に立たされている。これからどういった道を歩むべきか、今後の世界の中でSFCができることは何か、考えるためにもぜひ決勝大会会場に足を運んでみると良いだろう。