MITメディアラボは25日(月)、伊藤穰一SFC研究所上席所員(訪問)を第4代所長に選出した。「MITメディアラボ」は世界的に有名なデジタル技術の教育・研究機関の1つ。


(写真: Mizuka Ito / 提供: MIT)

MITメディアラボは、マサチューセッツ工科大学の機関で新たな技術が社会に与える影響について研究している。SFC関係者では、メディアデザイン研究科(KMD)の稲蔭正彦委員長(前環境情報学部教授)と中村伊知哉教授(政策・メディア研究科博士号取得)が、それぞれ研究助手と客員教授を過去に務めていた。
 伊藤氏は、Twitterの日本展開を支援しているデジタルガレージの共同創業者であるとともに、クリエイティブ・コモンズ理事長やMozilla Foundation理事などを務めている。また塾内では、KMD非常勤講師を務めているほか、SFC研究所インターネットと社会・ラボの構成メンバーとしてインターネットのグローバルガバナンスに関する検討を担当している。
 SFC CLIP編集部では、インターネットと社会・ラボのラボラトリリーダである村井純環境情報学部長と、サブリーダである國領二郎総合政策学部長に取材し、次のようなコメントが寄せられた。

村井学部長からのコメント

Joiこと伊藤穣一さんがMITのメディアラボの所長になりました。

私がJoiと出会ったのはPalo Altoのホテルでした。

SFCができた90年前後だと思います。

そのころ私はシリコンバレーにしょっちゅう行っていて、Joiはその度に私と会うチャンスを狙っていたようです。

ご家族と一緒のアメリカ生活で、アメリカ文化を体一杯表現しますが、調布のインターナショナルスクールの卒業生でもあり、日本の文化もよくわかり、日本語も上手です。

根っからの、インターネット文化(体制や権威を意識しないイノベーションが人の力で生まれるという意味で)のリーダーであり、一緒にいろいろ取り組んでいる20年余りの間に、彼のその立ち位置が一度もぶれたことがないと思います。

類は友を呼ぶ。

彼の周りには面白い奴が必ず一緒です。

そういえば、「面白い」ということばは、彼の口からしょっちゅう聞きます。

常に面白いヤツと面白いことをやっているという印象がある。

ニューヨーク・タイムズを含む内外のジャーナリストとの交友も広く、社会的な問題意識とグローバル社会・国際社会に対するはっきりした意見も持っています。

つまり極めてSFC的な人だと思います。

彼もものすごくSFCが好きです。

だから、いつでも日本の大学としてはSFCが彼の頭にあるでしょう。

MITメディアラボとSFCは、まぁこれで兄弟のような近さもできたのではないかしら?

一方では、メディアラボのリーダーとして、SFCに厳しい批評もされちゃうかもしれない。

いずれにせよ楽しみですね。



忙しいポジションをつとめることになり、ただでさえ忙しいJoiが心配ではあるが、SFCにとっては、これを機会にメディアラボとも、アメリカとも新しい関係の可能性が大きく広がるのは間違いない。

とりあえず、教員や学生の皆さんと一緒になって、お祝いと、応援をしましょう!


國領学部長からのコメント

お付き合い始めて15年以上たちますが、Joiの先見性には驚かされ続けてきました。

技術的な感度だけでなくて、それが社会やビジネスにどんな意味を持っているか、常に先鋭的な視点で探ってきたビジョナリーです。

今回メディアラボの所長になったと聞いて、MITが先鋭的であり続けることを選んだのだな、と感じました。

優しくて、人懐っこくて、周りを楽しくさせてくれる人物で、メディアラボがますます楽しいところになるのではないかと思います。