7月末よりメディアセンター裏、福澤諭吉像前の広場で「カンガクセンター(仮称)」の建設が進められている。SFC-SBCの話し合いや学生の成果発表の場として使われる予定で、29日(火)の引き渡しを目指す。学生や教員、卒業生らも関わる同施設の建設現場を、SFC CLIP編集部が14日(月)に取材した。

足場が外され、全体像が見えてきた。(18日撮影)

足場が外され、全体像が見えてきた。(18日撮影)

SFC-SBCの拠点づくり 学生や教員も建設に参加

「カンガクセンター(仮称)」は、学生が主体となって未来創造塾の設計・使い方を考えるSFC-SBC(Students Build Campus)の一環として、7月31日に建設が始まった。毎週水曜日の話し合いの場「カンカンガクガク会議」に使用するなど、まずはSBCの拠点をつくるねらいだ。建設工事には、業者だけではなく、松川昌平研究会や一般募集された有志の学生をはじめ、教員や卒業生らも関わっている。その数は延べ130人にも及ぶという。
建物は木造平屋建てで、広さは66平米。縁側を含めると89平米になる。最大50人ほどの収容を見込んでいる。

14日の取材時にはまだ足場が組まれていた。

14日の取材時にはまだ足場が組まれていた。

誰もが通りがかりで議論できる空間に

カンガクセンターは何を目指して建設されるのだろうか。松川昌平環境情報学部准教授と土肥梨恵子さん(総4)に話を聞いた。
カンガクセンターは、学生同士がSFCの未来について議論し、さらに話し合いを通して交流が生まれていくような場にするという。例えば、偶然通りがかった初対面の学生らが、同じSFCの未来をテーマに話し合い、交流を深めていく。こういった場があることで、SFCはより開けたキャンパスになっていくだろう。
外観は木目が見えて、自然を感じられるようになっている。SFCのコンクリート建築群のなかに木造の建物を置くことによって建物自体を目立たせる。そうした工夫に加え、屋内の様子が見えるようにガラス張りにすることで、誰にでも入りやすい空間をつくり出し、身内だけの議論になることを避けるねらいだ。学生が授業でつくったダンボール椅子やランプシェードを設置するなど、雰囲気づくりにも力を入れるという。
そのほか、授業の教室やグループワークのスペースとして使うなど、その運用方法も学生たちによって話し合われていく。一例では、学生が授業で制作したメディアアートを展示する計画もあるようだ。

左から松川准教授、土肥さん

左から松川准教授、土肥さん

設計も学生の手で 膨大な資料をもとに計算を重ねる

設計を担当しているのは佐々木雅宏さん(政メ・修2)。授業で駅や図書館の設計図をつくることはよくあるが、実務に関わるのは初めてだ。雨水対策や柱の位置、太さ、形状など、授業で扱う設計とは比べ物にならないくらい細かい計算が求められる。大量の資料をもとに何度も計算を重ねて考えなければならず、「実務ならではの大変さを痛感したが、とても貴重な体験になった」と語った。佐々木さんはカンガクセンターに対して「学生の要望に応じた変化を受容していけるようなものになってほしい」と想いを込めた。

佐々木さんは「モデリングで予想していたよりも実際は小さかった」とも話した。

佐々木さんは「モデリングで予想していたよりも実際は小さかった」とも話した。

学生は取付や塗装などの安全な作業を担当

作業を統括する工事監督者の小泉和義さん(株式会社長谷萬カスタムホームズ事業本部建設部)にも話を聞くことができた。今回の工事は普段とは異なり、素人の学生が参加している。そのため、付きっきりで細かく指示を出さなければならないという大変な面もある。一方で、「SFCの学生は一度説明するだけで作業を覚えてくれるので指導しやすい」とも評価した。

学生らを指揮する小泉さん

学生らを指揮する小泉さん

学生には、主に器具の取付や塗装、運搬、片付けなど、安全な作業を任せている。高所での危険を伴う作業や、品質に関わる高度な作業は専門の職人が担当している。とはいえ、カンガクセンターの建設には人の手が必要な作業が多いため、「たくさんの学生が参加してくれて助かっている」という声もあった。

学生による塗装作業が行われていた。(14日撮影)

学生による塗装作業が行われていた。(14日撮影)

「愛着がわいて楽しい」自らの学びの場を自らの手で

実際に作業に参加している学生のうち、渡邉麗さん(政メ・修2)と八木進さん(環1)に声をかけてみた。
渡邉さんは松川研メンバーとして参加。学部時代に他大学で建築を勉強していたが、「キャンパスの一部をつくる機会は初めて。とてもよい経験になっている」と話す。設計の段階からこのプロジェクトを見てきた渡邉さんは「愛着がわいて、建物が少しずつできていく光景にとてもわくわくする」と楽しそうだ。
八木さんは、もともと建築に興味があり、「大学の施設を自分たちでつくるのは楽しそう」と感じ、一般募集で参加した。実際の現場では、自分たちが必死にこなしている作業を職人が軽々やってのける姿を見て、「職人はやっぱりすごい」と思うとともに「自分たちの無力感を思い知らされた」と振り返り、建物をつくる大変さを身をもって感じているようだった。

左から八木さん、渡邉さん

左から八木さん、渡邉さん

学生がキャンパスを本当に「つくる」プロジェクトが続々と

未来創造塾のうち、SBCの対象となるEAST街区の建設に携わる学生を募集するなど、文字通り学生が「キャンパスをつくる」プロジェクトが次々と始まっている。秋祭でSFCがにぎわう10月10日(土)には、SFC25周年イベントのひとつとして、未来創造塾SBCプロジェクトの上棟式が行われるなど、一気にSBCの活動が加速しそうだ。
一連のプロジェクトは、自らの頭でキャンパスの未来を考えるだけではなく、実際に自らの手でキャンパスをつくることができる大変珍しいチャンスだといえる。みんなでSFCを考えたい人も、建築やものづくりの現場に興味がある人も、一歩踏み出して参加してみてはいかがだろうか。

秋学期が待ち遠しい。(18日撮影)

秋学期が待ち遠しい。(18日撮影)

関連ページ

関連記事

コメントは承認後表示されます。