オンラインショッピング――クリックひとつで注文できるってとっても便利!その反面、個人情報の流失は気になるもの。ネットワーク上で私たちのプライバシーは、どう扱われているのだろうか。


 もちろん、サイトの運営者は、個人情報の取扱いの指針「Privacy Policy」をサイト内に掲げている。しかし、私たち消費者は、ショッピング前に、その説明を隈なく読み、その指針に同意する、という煩わしいプロセスは省略してしまっているというのが実状だろう。
 そこで、「サイト」-「消費者」相互のプライバシー保護に関する方針を、人工言語化し、スムーズで、安全なショッピングを可能にする、P3P(Platform for Privacy Preferences)という技術仕様が登場した。
 現在、サイトの運営者は、「Privacy Policy」という形で、個人情報の取り扱いの指針をサイトに掲げ、利用しているセキュリティ技術の説明や社内での倫理規約を明示するなどして、プライバシー保護の指針を公開している。
 しかし、中島研究室が、SFCの学生を対象に、2001年1月に実施した「個人情報に関するアンケート」によると「Privacy Policy」をいつも読んでいる消費者は全体のわずか15%にとどまっている。消費者の大半は、サイトの「Privacy Policy」を確認しないまま「同意」ボタンをクリックし、ショッピング を行っているわけだ。
 P3Pは、こういったオンラインショッピングの現状を踏まえ、ユーザーとサイトが個人情報をやり取りする際、両者の合意を得るための技術仕様である。
  ユーザーは、個人情報をサイトの運営者に引き渡すことで、購買履歴から自分に応じた情報を定期的に受けたり、ショッピングの手続きを自動化してくれたりする メリットが受けられる。   
 P3Pは、XML(Extensible Markup Language)を使って記述されているので、スムーズな情報交換が可能だ。マイクロソフトが今年出荷する次期OS「Windows XP」  に搭載するInternet Explorerに組み込まれることになっている。
 一律に法規制をするのでなく、個々のケースに応じてプライバシー情報のやりとりを行なうP3Pは、ユーザとサイト側の双方の合意に基づいている点で、個人の多様な価値観を尊重した情報社会の実現に、今後も重要な役割を果たしていきそうだ。