SFC以外にも慶應義塾大学は複数のキャンパスを有する。SFCにいると、ついそれらの存在を忘れがちだが、それぞれのキャンパスにはそれぞれ独自性があっておもしろい。第一回目は数あるキャンパスの中でも異彩を放つ信濃町キャンパスを取材した。


 SFC以外にも慶應義塾大学は複数のキャンパスを有する。SFCにいると、ついそれらの存在を忘れがちだが、それぞれのキャンパスにはそれぞれ独自性があっておもしろい。第一回目は数あるキャンパスの中でも異彩を放つ信濃町キャンパスを取材した。
信濃町の新しいi顔「総合医学研究棟」
 6月にも関わらず、うだるような暑さ。最高気温29℃を記録した6月8日、SFC CLIP取材班は信濃町キャンパスを訪れた。JR信濃町駅から歩いて0分という好立地。SFCとは実に対照的だ。信濃町キャンパスは外来患者数東洋一を誇る慶應義塾大学病院を併設。この日も朝早くから来院者で病院のロビーはあふれていた。病院の入り口を入ってすぐのところで福沢諭吉先生像が我々を迎える。

オフィスのような新研究棟

我々は到着早々、病院内を迷いながら通り抜け、完成間もない総合医学研究棟に潜入した。平成13年3月に完成したばかりの研究棟は、産学協同で研究を行うリサーチパークや動物実験センターなどの施設がある。入り口脇にあるラウンジでは学生が医学書を広げたまま机に突っ伏して爆睡しており、研究の大変さが伝わってくる。エレベータの扉にはペンのマーク。何気ないこだわりを感じる。個々の研究室は、常時施錠されており、入室するには非接触式ICカードによる認証が必要。部外者は容易に立ち入ることができない。一見するとオフィスかと見間違うが、中では医療関連の研究が行われている。我々が訪れた時、多くの研究室はブラインドを降ろしており、取材班は研究室内部を外から見学することはできなかった。

昭和初期の重厚なたたずまい 医学メディアセンター

重厚な佇まいのメディアセンター
 次に取材班は、総合医学研究棟とは趣を異にする古い石造りのメディアセンターに潜入した。この建物は昭和12年に完成し、今でも医学部生をはじめ、OBの人にも利用されている。観音開きのドアを開け、館内に入るとひんやり冷たい空気が漂う。ホールの壁の色は焦げ茶色で重厚だ。一階には、PC端末と雑誌、新聞、書籍が並んでいる。奥に進むと、中二階へ行くための階段がある。その階段を登っていくと、ほこりをかぶった分厚い本が並んでいる。開けてみると、全て漢字。しかも虫が本を食べている。よく見てみると、古い辞典。虫食い辞典を所蔵しているメディアセンターはなかなかない。上の階へ行く階段の幅は狭く、一人が通るのがやっと。175cmの身長では、頭がぶつかる部分もある。

医学部生の友 信濃町生協

ここ信濃町キャンパスにも学生の心のオアシス、生協がある。しかし、ここで販売されている商品に取材班は衝撃を受けることになる。我々取材班は昭和初期に建てられたメディアセンターを後に、通りをまたいだ所にある信濃町生協へ向かった。信濃町生協は2階立て。入り口前のスペースには証明写真撮影機や数台の自動販売機が設置してあり、木陰のベンチで白衣の学生が一服しながらくつろいでいる。建物の1階は他の生協と変わらない様子で、パンや文房具が並んでいる…と思いきや、奥まで進むと白い棚が出現。白衣、ナースシューズが並んでいた。このような品揃えは信濃町ならではだろう。白衣だけでもその種類は十数種類もある。医学部生は白衣にもこだわりを持っているのだろうか?
 2階は書籍部。ここには一般書籍と共に分厚い医学書が並んでいる。教科書も1万円前後のものが多く、高いものでは数十万円するものまである。脇には、なんと!聴診器まで売られていた。いかにも医学部を擁するキャンパスの生協である。なぜ書籍部にあるのかは謎だが、これも値段は数千円のものから数十万円まで様々だ。雑誌にしても学生が読まないようなものまである。「月刊 血圧」は、書店でもまずお目にかかれないレア雑誌だ。

うまい! 医学生の腹を満たす学食

朝からキャンパス内を歩き回っていたため、取材班には空腹感が共有されてきた。13時を過ぎた頃、空腹感はピークに達し、我々取材班は学食で腹ごしらえしようということになった。信濃町の学食は、目立ちにくく、はじめてキャンパスを訪れた人がそこにたどり着くのは難しい。取材班も発見するのに若干の時間を要した。病院の並びに食堂棟がある。それ自体をみつけることが容易だが、入り口にたどり着くには、その棟の裏に回らないといけない。狭い階段を上って2 階に登ると、食堂がある。客は取材班以外は白衣のお医者さんや看護婦さん。異様な光景だ。取材した日の日替わりメニュー”鶏肉の竜田揚げ定食”は量は十分。ご飯、味噌汁、小鉢がついて\550でリーズナブル。特に、味噌汁の味は格別であった。
日替わりメニュー
 慶應義塾大学には様々なキャンパスがある。今回取り上げた、信濃町キャンパスは我々が一般的にイメージするキャンパスとは異なり、キャンパスというより病院のイメージが強かった。総合政策学部や環境情報学部の学生にとってはあまり縁がないキャンパスだが、メディアセンターやPCを利用(要登録)することができるので、一度足を運んでみてはいかがだろうか。
 次回の他キャンパス特集は、新川崎のケイスクエアタウンキャンパスを取り上げます。お楽しみに。