今回のORFでは、RFIDを使用した社会実験が行われた。実験に同意した来場者には、UHF帯とHF帯のRFIDが貸与された。実際のイベント会場でUHF帯のRFIDタグを来場者が携帯するケースは国内で初めてとなった。


 HF帯のRFIDはSuicaなどの非接触型のカードにも使用されているタグ。今回の実験では、各展示ブースに設置されているRFIDリーダーにHF帯のタグをかざすことで展示ブースへの来訪履歴を残すことができる。この来訪履歴は、(同意した来訪者のみ)後ほど各個人の名刺情報と結び付けられ、来訪者に研究情報が提供される。また、ORF Activity Scoreという、スクリーン上にブースの訪問数などを可視化するシステムも脇田研究室によって用意された。
 UHF帯のRFIDタグは、HF帯より電波が届く範囲が大きく、タグを携帯してアンテナの下を通るだけで、タグの情報が読み取られる。前述のORF Activity Scoreの前に用意されたアンテナの下を通ると個人の行動履歴がスクリーン上に表示された。
 
 今回の実験では、来場した際に、RFIDの社会実験の参加の有無を問う紙が配布された。参加のパターンには、2種類のタグを貸与し、後日名刺情報と来訪履歴を結びつけ、研究情報を連絡するパターン、2種類のタグだけ貸与し、名刺情報ととは結びつけず一部参加するパターン、全く参加しないパターンが用意された。
 また、RFID、関連するデータベースに蓄積された情報を消去したい場合は、AUTO-IDラボラトリ展示ブースで消去することができた。
 国内初のUHF帯のRFIDタグを使用したイベントであり、名刺情報も扱うものだったため、混乱も予想されたが、事前に取り組みについての周知を徹底したため、当日特に混乱は見られなかった。