この特集の最後に紹介するのが、相鉄いずみ野線の延伸計画。湘南台からSFCを通りさらに西へ、相鉄の電車がそのまま乗り入れる計画である。これまで当たり前だったバスのあるSFCの風景が、変わるかもしれない。


 湘南台から二俣川・横浜へ繋がっているいずみ野線。前回紹介したJR・東急との乗り入れの開始で、さらに利便性が増すのは確実である。そのいずみ野線が、湘南台より西へ延伸するという計画の歴史は古い。
 そもそも1976年のいずみ野線部分開業の際に、相鉄が取得した免許は湘南台を経て平塚駅に至る経路で、これは現在も有効である。つまり、いずみ野線は現在も部分開業に過ぎないと言う事ができる。この予定経路上にSFCは位置しているものの、残念ながら平塚までの区間を全線開通させるという動きは既に殆どない。
 しかし新たに持ち上がったのが、この連載でも紹介したツインシティ方向への延伸計画である。神奈川県はこのルートでの延伸に向けて、04年10月から3年間に渡って自治体や相鉄等からなる「いずみ野線延伸研究会」を開催し、昨年5月に報告を取りまとめた。
 その中では、SFCの含まれる県央・湘南都市圏を「横浜市域と比べて鉄道利用が6割程度にとどまる鉄道の空白地帯」と位置づけ、「自動車交通に依存せざるを得ない状況」であると指摘している。その上で、採算性の高さや経済効果などの点で、路面電車方式や地下鉄方式などの複数のケースの試算を行っている。
 いずれの場合でも湘南台-倉見間の間に、南大山付近の新駅1、SFC北門付近の新駅2、さらに西側の新駅3と3つの途中駅が設定されている。その中でも最も高く評価されたのは、全区間をLRTと呼ばれる次世代型路面電車で整備する案で、湘南台-SFC間の所要時間はほぼ10分程。ピーク時には定員160名の列車が、毎時20本以上運行可能とされている。
 もちろんこれは全て検討の段階であり、はっきりと決まった予定は何もない。神奈川県はこの報告を受けた計画案の策定に向けて、2年程度の期間で取り組んでいくとしているに過ぎない。
 しかし、これまで紹介した全ての計画の中で、最もSFCへのアクセスを劇的に変化させる可能性を持っているものであるのは間違いない。横浜や渋谷から乗り換えなくSFCまで行くことが可能で、新幹線の駅まで僅か2駅といった環境が、未来のSFCには現れているのかもしれない。