なぜSFCの卒業生はすぐ転職すると言われるのだろう。その真偽を確かめるのは難しいが、火のないところに煙は立たぬ。転職に対する抵抗が少ないのは確かなのかもしれない。今回は社会人1年目の卒業生に今の心境を交えて、SFCらしさを語ってもらった。

「真っ直ぐ伸びずに、弾けて曲がれぃ!」 川○将◎さん(08年卒、某大手IT企業N社)

SFCという学び舎で、政治・経済ばっかり勉強しているやつがいる。
SFCという学び舎で、イカチーかっこしてDQNオーラを噴かしているやつがいる。
SFCという学び舎で、鴨池で当たり障りのない正論ばっか吐いてるやつがいる。
騙されるなよ、そいつらはみんなエセSFC生だ!
アッー! ジェノサイ!
SFC生は思考が偏ってなくてはいけない。
SFC生は好きなものをとことん食い散らかさなくてはいけない。
SFC生は目標を達成する為ならば、不眠不休だ! どんどん残留汁!
SFC生は常に分野が多彩なマルチタスクを抱えていなくてはいけない。
SFC生はスイーツ(笑)脳になっていはいけない。それをあざ笑う側になるのだ!
SFC生は常に本質だけを追い求めていなくてはならない。
SFC生は世間から「ちょっと痛い子」と思われるくらいでなくてはいけない。中2病なくらいで丁度イイ! お前の中の暗黒よ! ザメハ!
SFC生は慶應生ではない! あくまで慶應製のSFC生だ! つけ上がるなよ!
SFC生は4年間の中で、2ヶ月以上は鬱病気味にならなくてはいけない。なれない奴は、なるまで停学だ! どうだ、鬱になるだろう!
SFC。
我思うに、素晴らしい環境である。何せ田舎に建っているのだ。社会で食い尽くされた無駄遣いばかりの娯楽施設など、ありはしない。おかげさまで生徒は馬鹿にはなれど、アホにはならずに済んでいる。俺は馬鹿とアホのW役満だったが、入学前からそうなんだからどうしようもない。SFCに罪は無い。代わりにキャンパス中に無線LANが張り巡らされているのだ。耳を澄ませなさい。「ネトゲでもやれ」という声が聞こえてくるだろう。ひきこもりなさい。さらに授業は授業名と直感だけで選びなさい。そして思い、悩み、学期末という危機を乗り越えるのです。そうやっているうちに、何も頑張らなかったら、単位がびっくりドンキーな結果になることが分かってくるから。単位は一時期くらいやばくなった方が丁度良い。単位を余裕にしてそこそこに学ぶより、留年間際のギリギリのところで必死こいて学んだ方が身になる。幸いSFCは半年留年しても、その後単位数さえ頑張って稼げば、後から本来の学年に追いつけるのだ。計算づくでやっているとしか思えない。
恐らくこのSFCという環境を創造した人は、とんでもない鬼才であると私は思う。ちなみに卒業した今でも、それが誰なのか知らない。大学院に進む時にでも人に聞こう。人に聞く前に調べよう。調べる前に考えよう。

さて、SFC生が就職したらどうなるだろう。残念ながら私は大企業に勤めてしまっている。これはSFC的には真に残念なことだ。できたら、もっとヤンチャなベンチャーに勤めて大暴れするなり、起業して良くも悪くも有名になるなり、実家に帰ってひきこもるなりされた方が、SFCにとってはよっぽど有益なんじゃないかって思う。さらに残念なことに、私自身も大企業に勤めてしまったことを残念に思っている。兎角、つまらんのです。日々が暇すぎてやばすぎて漏れちゃう。さっさと辞めてNEET DAYSに洒落込むのも悪くはないが、まだ何かできそうな気がするので辞めていない中途半端過ぎ。が、やはりSFC生。腐ってもSFC生の触覚は社内ベンチャーというところにまで伸びたのだった。ここで暴れて爆死するなり、弾かれるなりしたらちゃっちゃか辞めて、進学するなりベンチャー行くなり起業するなりしようと目論んでいる。ああSFC。
( ´_ゝ`)…
サンプルが私だけでは信憑性がないでしょう。会社の同期の元SFC生(♀)を例に挙げましょう。彼女は悩んでおりました。
「現場の先輩とうまく行かないの…」
ああ、可哀想に。という私はシンパシー。丁度その頃(むしろ今でも)、ぶっちゃけ現場の先輩さっさと出ていってくれないかなーって思っておりました。そのことで話は弾む弾む。
「私ね、将来ソーシャル・ベンチャーをやりたいの」
でた! SFC生らしい発言!
「でもその前にね、いくつかの大企業でキャリアを積みたいな。楽●とかいってみたい」
あああああ! もうSFC生! ユーアーSFC! 「好きなものを好きなだけ」というバイキング方式! 人生にかかる選択も、履修申告さながらの扱いだぁー!
人生はショッピング・ウィークの繰り返しである!
「俺も今度社内ベンチャー申し込もうと思ってんだ!」
SFC生同士だからこそ、高確率で共感できる空間でした。
分かって頂けましたかな? これこそがSFC生!
In Hard Times, Fear Can Impair
Decision-Making…Huh? って感じです。
(参照:http://www.nytimes.com/2008/12/07/jobs/07pre.html)
数週間後。彼女と再び出会いました。そこで私は言いました。
「社内ベンチャーの応募に出すビジネスプラン、もう少しでできそうなんだ!」
彼女は目を点にして言いました。
「えー? やだ、冗談だと思ってた!」
今や彼女は現場でうまくやっているそうです。
( ^ω^)…
お前なんか履修申告不履行で今学期オールD評価だ! ヴォケええ!
つまるところ、SFC生は「自分の居心地の良い場所」を探し求める魚の様な存在なのかもしれません。
もっと過激に素敵な活躍な場を! という人はそういう場所へ。
安息で揺るぎない日々を…という人もまた、そういう場所へ行くのかもしれません。
つまりSFCには無限の可能性が詰まっている、ということなのでした。