29日(金)-8月30日(日)、東京・六本木の21_21 design sightにて、山中俊治政策・メディア研究科教授がディレクターを務める展覧会『「骨」展』が開催される。「骨」をテーマにした様々な作品の展示が行なわれ、山中研究室の作品「Flagella」も出展されている。

「骨」展

展示は「標本室」エリアと「実験室」エリアの2部構成となっている。「標本室」には様々な工業製品を分解したパーツや動物の骨格写真が展示されており、普段見ることのない、構造物の「骨」の美しさを感じることができる。山中研究室で研究が進められている「美しいスポーツ用義足」も、ここに展示されている。

「骨」展

「標本室」エリアに置かれた、アーロンチェアのパーツ
 「実験室」では、アートユニット明和電機や中村勇吾氏ら国内外のクリエイター10組による「骨」をモチーフとした作品が展示されている。山中教授は、これらの作品を通して、「骨」を生み出す楽しさを伝えたい、としている。

「骨」展 「骨」展

「実験室」には、クリエイター10組による作品が展示されている

Flagella

実験室に展示されている山中研の「Flagella」は、腕のような形をしたロボットが、5本それぞれにくねくねとした動きを見せるというもの。硬い素材で作られているにも関わらず、軟体生物のように見えるその動きは非常に美しく、またどこか「おどろおどろしい」雰囲気も醸し出していた。

Flagella

作品の解説を行う山中教授と、神山友輔さん(政・メ修士課程)、村松充さん(政・メ修士課程)
 この作品は、山中研の5人の学生が中心となって製作したもの。全員がロボティクスの知識を殆ど持っていない状態からのスタートだったという。作品のソフトウエア設計を担当した、山中研究室の村松充さん(政・メ修士課程)は「それぞれのアームがぶつからないようにプログラムを組むのが大変でした」と語った。
 山中教授は「カッコいいもの、美しいもの、機能的なものは、骨格・構造がしっかりしている。物の表面や形を考えることだけがデザインではなく、物事の『根本』、つまり骨格から考えていくのが大事だということが、意外と世間では理解されていないんです。そうすることで、デザイナーとエンジニアの垣根を越えたものづくりが可能になることを伝えたい」と本展覧会に込めた想いを語った。
 今回の展覧会は、山中教授の持つ「デザイン=科学とアートの接点」という理念を体感できるイベントとなっている。ぜひ会場に足を運んで、「骨の魅力」を味わってみてほしい。