第3回目となる今回は、TTCK(鶴岡タウンキャンパス)で行われる授業「山形文化論」「鶴岡体育」の様子を紹介します! また、食品メタボロームについての研究を行っている学生へのインタビューも行いました。

山形文化論

山形文化論は学期中の土曜日(不定期)に4回行われます。山形の様々な文化に触れることを目的としており、今回は酒と海の文化・絹の文化・農の文化・伝統芸能の文化といったテーマで酒蔵見学や製糸工場見学などが催されました。

こちらは6月6日(土)の第3回目(農の文化)に、合鴨と一緒に水田草取り体験を行った時の写真です。4回行われた授業の中でも最も楽しかったと好評の回です。合鴨は水掻きで水田をかき混ぜることで水草を生えにくくするため、化学肥料や農薬を使わず自然環境を守りながら米を生産することが出来ます。
 今回は合鴨さんの取り残した草を抜くという目的で、この写真の後には皆さん足をまくり、田んぼの中に入っていきました。合鴨さんは大変優秀で、ほとんど私達が抜く草はありませんでした。このように地元の文化に触れ、最後にはレポートをまとめるといった、社会見学のような授業です。

鶴岡体育

今回は「里山あるき」(名水の里! 長滝を訪ねて)というテーマで、地域交流を目的としたウォーキングでした。朝7時-11時まで14kmの道のりを歩き、お昼は地元のそばを食し、昼食後はフリスビーを使ったドッジボールで楽しみました。朝のウォーキングでは地元の人と交流する機会があり、植物に精通している人に植物について説明して頂いたり、木イチゴなど自然のものを頂きました。

また、写真の湧き水が道路脇にあるのをいくつか見かけ、途中の休憩ポイントでこの水を飲む機会がありました。とても美味しかったです。鶴岡体育は体育5回分の出席になるということもあり、今回は参加者の半分がSFCから来ていました。機会があれば、皆さんも一度参加してみてはいかがですか?

研究内容インタビュー

今回は食品メタボロームグループの飯野さん(環3)、占部さん(環2)、越智さん(環2)の3人にインタビューしました! メタボロームとは数百種類以上ある代謝産物の総称であり、これまでのゲノムやプロテオームの解析データを組み合わせ、今後の新規の代謝経路が明らかになることが期待される注目の分野です。
1.この研究グループについて詳しく教えてください。
 3年生1人と2年生2人の仲良し3姉妹のグループです。現在、葡萄ジュースやワイン、酸化ストレスに着目した研究を行っています。(他にも漢方なども取り扱っています)。TTCKで実験・測定を行い、得られたデータをSFCで解析しています。
2.この研究グループを選んだ理由は?
飯野さん:外から取り込んだものが体内に及ぼす影響に興味があり、漢方について研究し始めたことがきっかけです。そもそも食べることが大好きなので、食品の魅力を知ることができるのはとても面白いと感じます。
越智さん:高校生の時に生物の研究に興味をもち、冨田研究室のWEBサイトで食品の研究を知りました。その時に旨み成分の研究レポートを読み、食品の成分や機能性の面白さに惹かれ、このグループに入りました。(あと食べ物が大好きだからです。)
占部さん:食べることが好きで食品に興味を持ち、高校生の時に食品中に含まれている成分と体内環境との関係性について学びたいと思うようになりました。食品研究を出来る大学を選び、現在に至ります。
3.どういった研究を行っていますか?
越智さん:山形県の山葡萄をメインに調べています。山葡萄は滋養・強壮といった健康機能を含んでいるといわれていますが、科学的根拠はありません。そこで、私達が山葡萄のメタボローム研究を行い顕著な健康機能性成分について調べ、最終的に山形県の山葡萄に付加価値を付ることを目標としています。
占部さん:150年前(1858)の赤ワイン(シャトーラフィット)と13年前(1996)の赤ワイン(シャトームートン)の代謝物質の比較を行っています。たとえば、味に関与するアミノ酸の比較を行い、150年前と近代とのワインにどのような差があるのか科学的に調べ、また健康機能性を有することで話題のフラボノイドについても調査しています。
4.この研究のどんなところが楽しいと思いますか?
飯野さん:自然由来の食品や薬物は何千もの未知の物質を含んでおり、私たちが普段目にするものはほんの一握りです。私たちのメソッドであるメタボロームでは、この何千という未知の物質を網羅的に探索することができます。食品の安全性や健康機能性が着目されている今、この新しい技術を用いて、食品の味や機能性成分について独自の新しい評価に挑戦できるところが、この研究の非常にやりがいのあるところだと思います。
越智さん:自分が食品についてあまり知識が無かったことを知り、食品について深く知ることができるのがとても面白く感じます。具体的には、山葡萄に含まれるフラボノイドやアミノ酸を調べ、その物質の持つ抗酸化や甘味などの特徴を知りました。そこから普段の食事にもどのような物質が含まれていて、どのような健康的な効果があるのかわかるようになり、食品の奥深さを感じています。
占部さん:熟成期間の違いによって成分の差がはっきり分かれるところや、
150年前の赤ワインではビンによって味に差があり、その差が代謝物質でも見られている点が、とても不思議で面白いと感じます。
5.現在の研究の、今後の展望を教えてください。
山葡萄と葡萄を比較して、山葡萄の謎に迫りたいです。また山葡萄と葡萄の交配種とも比較し、交配の過程で代謝物質が変化しているかどうか検討していく予定です。
ワインに関しては、150年前のワインに、ビンによる味の差がありました。また、2本のビンから代謝物質の差も出ていることから、味に関与する物質である可能性が考えられています。
山葡萄・ワインの両方について、アミノ酸類・フラボノイド類・糖類などの味や健康への影響を追及し、新しいことを発表していけたらと考えています。
6.研究における目標などがあれば教えてください。
飯野さん:摂取物が細胞に与える影響を追う研究をしたいです。漢方のような天然薬物を細胞に振りかけた時の代謝変化や、摂取した栄養物の一部が腸内細菌によって変換、吸収される時の詳細なプロファイル作りなど、具体的な目標というより、やってみたいことですね。
越智さん:味とアミノ酸の関係性を軸にいろんな食品を研究してみたいです。主に、この研究会に入るきっかけとなった旨み成分に着目して、普段から摂っている食品(お茶、ヨーグルト、コーヒーなど)を調べていきたいと思います。
占部さん:サプリメントなどの健康食品について興味があります(冨田先生も愛用中)。特にアミノ酸とダイエットや、ビタミンと皮膚などの関係性について調べたいと考えています。
7.最後に一言お願いします。
飯野さん:現在、食品メタボロームグループはかわいい子ぞろいです(笑)
越智さん:グルメと研究の二本柱で美味しく楽しくがグループのモットーです。
占部さん:食べることが好きな人は是非一緒に研究しましょう!

どうもありがとうございました。
 次回は、冨田研内でもホットな研究である、古細菌とメタゲノムを扱っている学生にインタビューします。