23日(月)-26日(木)、カスケード横の階段に花が散りばめられていた。その中に、地雷の写真があったことに気が付いただろうか。実は、これはPOM2というSFCの地雷除去支援団体が実施している「Mine stairs」プロジェクトである。今回は、その企画者の中野えみりさん(総3)に話を伺った。


POM2はどのような団体なのですか



 POM2(the Problems Of Mines is the Problems Of Mine: 「地雷問題は私たちの問題だ」)は、1枚300円でステッカーを販売し、売上をPROというタイの地雷除去団体へ寄付する活動をしています。各種イベントでのブース出展、チャリティーコンサートの開催などを通じて、現在13,000人程の寄付者を抱えるSFC発の活動団体です。



「Mine Stairs」とはどのようなプロジェクトなのですか



 階段に装飾を施すことで、そこを通るひとに地雷について少しでも知ってもらおうというプロジェクトです。

 具体的には、階段の蹴上げと踏み面の二面性を利用して、視覚的に訴えるパネルを貼る、というものです。階段の前に立ったときにはじめに見える蹴上げには、地中に地雷が埋まっている様子を描いたパネルを貼り、地中の断面を見せています。一方、踏み面には、花(紙にビニールをかぶせたもの)を貼っています。

 こうして、一面お花畑が広がっているという、蹴上げでは想像もしなかった光景を見せることができるのです。

 また、プロジェクトの実施中にそこを通る人々の様子を撮影し、その動画をYouTubeにアップすることで、外部への拡散も期待しています。


コンセプトはどのようなものなのですか



 コンセプトは、「日本で豊かな生活を送っている私たちは、その豊かさばかりに目が行きがちで、世界中に埋まっている無数の地雷になんて、見向きもしない」です。

 「Mine Stairs」によって、世界にはまだまだ地雷が埋まっていて、実は私たちの知らないところで、今も地雷の被害に苦しむ人々や、地雷撤去を必死に続けている人々がいるということに、人々が気付くきっかけになることを目指します。


このような企画をしたきっかけはなんですか



 POM2は今まで、これまで先輩がやってきたことをただそのままやり続けるだけでした。

 でもそれだけでなく、地雷のことを知ってもらうのなら、今までのやり方とは違うもっと面白い企画をしてみたいと思ったことがきっかけです。このような企画は今回が初めてではなく、今年の4月に「SFCで地雷原を体感しよう! プロジェクト」というものを行っていました。また、今年の8月24日にも都内で「歩くPOM2」というPOM2のTシャツを着てステッカーを販売するイベントを開催する予定です。





「Mine Stairs」というタイトルにはなにか由来はあるのですか



 「Piano stairs」という、階段に設置された仕掛けの名称からヒントを得ました。この「Piano stairs」は、階段を踏むとピアノの音が出るようにして、人々がエスカレーターよりも階段を使いたくなるようにしよう、という仕掛けです。「The Fun Theory(楽しみ論)」というサイトで紹介されています。遊びのような単純な仕掛けが人々の動きを改善するのに一番簡単な方法で、それによって自分自身や環境などがより良く変えられるという「The Fun Theory(楽しみ論)」の考え方を、私たちも参考にしました。



 今回のような特別企画は、すべて中野さんが企画したものだそうだ。これからも、既存の枠組みにとらわれないおもしろい企画を打ち出していくという。POM2の今後の活躍に期待したい。