慶應義塾大学の中でも比較的新しいキャンパスであるSFC。インターネットに関しては日本でも最高レベルの環境が整備されているにも関わらず、温水洗浄便座が付いたトイレを見た事が無い…。そこで今回は、SFCでの事情を探るべく、まずは事務室の管財担当職員にお話を伺った。

SFCにも温水洗浄便座がある!

 職員によると、なんとSFCにもたった一カ所だけ温水洗浄便座が設置された場所があるという。その場所とは「セミナーゲストハウス」だ。
 夜遅くまで残っている研究者や、学外から招聘した研究者やゲストスピーカーなどが泊まるための施設で、基本的に学生は立ち入り禁止。つまりSFCの中に温水洗浄便座付きトイレはあるが、”SFC生が使える温水洗浄便座” は存在しないのだ。

a5ゲストセミナーハウス


早慶のしがらみ?

 なぜ無いのか。調べていくと、ある噂を耳にした。「TOTOとINAX(現LIXIL)の社長が早稲田出身だから」。
 そう、慶應義塾の永遠のライバル、早稲田大学。そこの出身者が経営してる会社からは絶対に買わないという意地があるのだという。もしこれが本当なら、SFCに温水洗浄便座が来る日は永遠に来ないのだろうか。
 いやいや、そんな事は無い。実は、日吉キャンパスにも、三田キャンパスにも、矢上キャンパスにも温水洗浄便座はあるのだ。この噂は、偶然の一致から生まれたユーモアだろう。だとすると、最新のキャンパスであるSFCにはなぜ温水洗浄便座が無いのだろうか?

a3一部のトイレには電源もあり、設置できないわけではない


SFCは “新しいから” 温水洗浄便座が無い!?

 管財担当者によると、SFCに温水洗浄便座が無いのは、”SFCが新しいキャンパスだから” だという。
 SFCが開設されたのは1990年。当時の温水洗浄便座普及率は12%前後であり、一般的に大学のトイレに温水洗浄便座を設置するということは無かった。だからSFCに温水洗浄便座を付けなかったのも当たり前なのである。
 SFCはまだ施設が比較的新しいため、トイレの改装を行った事が無い。従って温水洗浄便座も導入されていないのだ。

 他の歴史あるキャンパスには温水洗浄便座がある。三田キャンパスなどは施設の老朽化のために、改修する必要があった。その際、最新型の便器の方が旧式の便器よりも節水率が高いなどの理由により採用されたという。

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SFCに温水洗浄便座が来る日はあるのか

 職員によると、施設の改修の目安となるのが25-30年だという。SFCは1990年に開設したので、ちょうど2015年-2020年ということになる。つまり、現在「そろそろ改修するかもしれない」状態にあるのだ。
 ただ、正確にその時期に改装するとは限らないので、もしかしたら今の学生が在籍している間に完備される日が来るかもしれないし、東京オリンピックまで待つ羽目になる可能性もある。

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それでも欲しい場合は…

 SFCには温水洗浄便座が無いと困るという学生が一定数いるようで、わざわざ多目的トイレに入りトイレットペーパーを水道で濡らして使うという学生もいる。
 管財担当の職員によると「もしも、絶対に温水洗浄便座が必要だという学生の要望があれば、可能な限りは応える」とのこと。真っ当な理由がある学生は、事務室に相談に行くといいだろう。
【6月19日(木) 編集部追記】文中で表記されていた「ウォシュレット」は株式会社TOTOの商標登録となりますので、表記を温水洗浄便座と訂正致しました。また、文中のINAXは現在は株式会社LIXILとなっております。訂正しお詫び申し上げます。