最近、何かと話題になることが多いドローン。落下事故が相次ぎ規制の流れが強まるものの、さまざまな分野での活用が期待されている。そんななか、「SFCでドローンが届け制になった」という噂が飛び交う。研究会でドローンを扱うことも増えているが、SFCは規制なのか、推進なのか。SFC CLIP編集部は大学側に取材した。

空飛ぶピザ!? SFCでも続々と

小型の無人飛行機、ドローン。通販大手Amazonが発表したようなドローンを使った配達、プロスポーツの審判や撮影、報道ヘリの代替、警備、災害救助など、さまざまな場面での活躍が見込まれている。

SFCでもドローンの活用が進んでおり、10日(土)の未来創造塾SBC上棟式では、ドローンによる上空からの記念撮影が行われた。キャンパスを上空から撮影する試みは日々行われ、動画投稿サイトYouTubeにも多数アップロードされている。

また、13日(火)に武藤佳恭研究室(電子ガジェット応用)と株式会社ストロベリーコーンズ(宅配ピザ)が協力し、ドローンによるピザ宅配の実用化実験が行われた。コストダウンのほか、宅配ピザを過疎地や遠方にスピーディーに運ぶのがねらいで、次世代型デリバリーの形を模索する。鴨池の上空を飛んでいき、対岸まで届けるという実験は見事成功。今後も飛行時間を伸ばすなどの改良を目指して実験が続けられるという。

武田圭史研究室によるSFCキャンパスのドローン空撮(YouTubeより)

安全性など問題も…

しかし、ドローンは安全性やプライバシー保護といった点でのデメリットも指摘されている。首相官邸の屋上にドローンが落下した事件などは記憶に新しい。ドローン規制に関する法律も今国会で成立しており、年内の施行が目指されている。

SFCドローン 安全な活用を目指し、ルール化に向けた動きも

SFCでもドローンの使用が学事への届け出制になったという噂が広まっている。SFC CLIP編集部は、本当にSFCでのドローンの使用が届け出制になったのか、大学側はドローンに対してどのような姿勢なのかを総務の管財担当の方に聞いた。

—— 噂のとおり、SFCでのドローンの使用は学事への届け出制になったのでしょうか?

結論から言うと、特に届出制になったわけではありません。

実は、矢上キャンパスで深夜にドローンが新幹線の線路上に落下したということがあり、事故には繋がらなかったものの非常に大きな問題となりました。その結果、新幹線が近くを通っている矢上キャンパスと日吉キャンパスではドローンの使用が禁止となりました。

それを受けて、さあSFCではどうしようかと。まず、ドローン界隈自体が過渡期であり、厳しくし過ぎるのはよくない。

とりあえず先月までは、原則として平日の環状道路内では使用を禁止し、祝日や授業期間外であっても十分気をつけること、そして使用に際して教員が立ち会うこと、保険をかけておくことを呼びかけました。まずはこの程度の大まかな対応にしておいて、どんなリクエストがくるのか様子を見ていたのです。

—— 学生や教員の反応はどうでしょうか?

実際、世間の動きもあり、ドローンを使うようなコミュニティの方からドローンの扱いについて相談を受けることがありました。教員の方々も世間で言われているリスクに関しては把握しており、協力してくださっています。

—— 今後、正式にルール化する予定はありますか?

やはり、SFCは日吉キャンパスや矢上キャンパスとは違った事情や環境があります。SFCの近くには鉄道は通っていませんし、なによりもSFCは実験的なキャンパスです。

そうとはいっても、何か起これば管理責任が問われます。危険性があるのも事実なので、SFCでもきちんとルール化しようと動いています。しかし、事務方だけで決めて良いことではありません。教員側からも意見をいただきながら施設委員会で話し合うことになっています。

世間ではどんどん規制する方向で進んでいますが、きちんと具体的な安全策を備えた上での使用であれば、ドローンの活用は推進していくべきではないでしょうか。

自由には責任 リスクマネジメントにも自主性を

SFCは学生の自主性、自由を重んじるキャンパスである。とはいえ、それは他人への配慮をせずに好き勝手にして良いというわけではない。なにがダメでなにが良いのか、このドローンの議論においても、学生側からも自主的に考えていくことも必要だろう。