ORF2015では、情報通信技術分野のブースも多数出展している。そのなかのひとつ、W3C(World Wide Web Consortium)はウェブ技術の標準化を推進する国際的コミュニティであり、SFC研究所はホスト機関の一つだ。今回のORFでは、W3Cの会員である富士通株式会社、KDDI株式会社、一般社団法人音楽電子事業協会(AMEI)、インターネット・アカデミー、株式会社レイハウオリの5社が共同で出展している(A45)。

W3Cは、米MIT(マサチューセッツ工科大学)、仏ERCIM(欧州情報処理数学研究コンソーシアム)、慶應義塾大学SFC研究所、北京航空航天大学(Beihang University)をホスト機関とし、世界各地の400以上の会員がウェブの発展を先導し、その可能性を追求している。

ウェブと生活のコラボレーション

W3Cの展示はすべてがウェブに関わるものだ。

「Web and Art」音の可視化

音の可視化について語る末永和史さん(AMEI)。 音の可視化について語る末永和史さん(AMEI)。

一般社団法人音楽電子事業協会(AMEI)はWeb and Artと題して「ウェブを使って音楽をどのように表すことができるか」というテーマで展示をしている。楽器とコンピュータを使い、どのように音を扱えるか、可視化できるかを実演する。ギターを弾くと、音程に合わせて画面のなかのバブルがはじける。「今はメディアクリエイターと楽器演奏者とウェブ開発者をつなぐことは難しい。今後このような技術が発展することで、相互の理解が深まり、色んな人、分野でのコラボレーションが生まれればといいと思う」と末永和史さん(AMEI)。

「インターネット・アカデミー」日本初のウェブ専門学校

インターンシップ生募集中です! と須江彩花さん(インターネット・アカデミー)。 インターンシップ生募集中です! と須江彩花さん(インターネット・アカデミー)。

日本初のWeb専門スクールであるインターネット・アカデミーは、日本初のウェブ専門学校であり、スクール業界唯一のW3C会員だ。ウェブデザイナーコースなどのデザイン系コース、ウェブプロデューサーコース、ウェブディレクターコースなどのマネジメント系コース、ITエンジニアコースなどのエンジニア系コースなど、ウェブに関わるあらゆる講座を提供している。「今、当社では受講生だけではなくインターンシップ生も募集しています。興味がある方は、ぜひ連絡をください!」と須江彩花さん(インターネット・アカデミー)。

「CHIRIMEN」日本発の小型ボードコンピュータ

CHIRIMENについて語る高木悟さん(KDDI株式会社)。 CHIRIMENについて語る高木悟さん(KDDI株式会社)。
KDDI株式会社は、「CHIRIMEN」というFirefox OS搭載の小型ボードコンピュータの多彩な使用例を紹介する。CHIRIMENは「Make Real Things with Browser Technologies」(ブラウザ技術で現実のモノをつくろう)を理念に開発されており、これを介することで様々なモノ、デバイスをウェブアプリケーションから制御することが可能となる。「今までは、最近流行りの『Fab』や『電子工作』は、『ウェブ』とは関係のないものとされていました。しかし、あらゆるものを介して現実の世界とウェブの世界をつなげることができる今、ウェブでものづくりができる時代になってきているんです」と高木悟さん(KDDI株式会社)。

「Inspirium HTML」あらゆるものに組み込み可能なブラウザ

今ではあらゆるものにウェブブラウザが組み込まれています、と峯田祐貴さん(株式会社富士通北陸システムズ)。 今ではあらゆるものにウェブブラウザが組み込まれています、と峯田祐貴さん(株式会社富士通北陸システムズ)。

富士通株式会社は、Inspirium HTMLブラウザというさまざまな機器への組み込みが可能なHTML5対応のブラウザを紹介している。当日展示されていたのは車載機に組み込まれたInspirium HTMLブラウザだ。単にナビゲーションを行う、音楽が聴ける、気象情報や気温が確認できるだけでなく、ガソリン消費量などもグラフで確認できるようになっている。「展示されている車載機だけでなく、デジカメ、家電、ATM、プリンタなど、あらゆるものにウェブブラウザが組み込まれています」と峯田祐貴さん(株式会社富士通北陸システムズ)。

CSSのチェックツール

CSSのチェックツールを通して問題解決に努めたいと猪狩丈治さん(株式会社レイハウオリ)。 CSSのチェックツールを通して問題解決に努めたいと猪狩丈治さん(株式会社レイハウオリ)。

株式会社レイハウオリでは、自社で開発したCSSのチェックツールをアピールする。現在携帯端末は1万種以上存在している。すべてのプラットフォームで正しく表示され、動作するものをつくるには莫大な手間と時間がかかる。その手間と時間を、より精度の高いCSSチェックツールを開発し解決することを試みている。「実際にモノをつくっている時間より、それがあらゆるブラウザ、機種で正しく動作するかテストする時間の方が長くかかってしまうという現状があります。そのプロセスがすごくしんどいし、結果的にエンジニアの時間を取ることになってしまう。CSSのチェックツールを通して、そういう問題を解決していきたいと思っています」と猪狩丈治さん(株式会社レイハウオリ)。

ウェブはいつも私たちの隣にある

「少し前まで、ウェブは『パソコンを使って見るだけ』のものでした」と切り出すのは、吉澤直美さん(W3C)。「でも、今ではウェブが、センサーやアクチュエータを介して私たちの身近に存在しています。そのウェブを使って自分から何かができるようになり、生活をドラスティックに便利にすることができるようになってきました。そんな世の中を、ウェブに詳しくない人にもわかるような形で見せていきたい。ウェブはもう特別なものじゃない、いつも私たちの隣にある。そう捉えてもらえると嬉しいです」と続けて語った。

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