SFC内外の人の寄稿文をお届けする「CLIP Agora」。今回は工藤博司さん(02年卒)に寄稿していただきました。

ORF2日目と同じ19日(土)に六本木・SuperDeluxeで開催されたホームカミングデー(HCD)。そこで村井学部長が発表した「温泉掘削構想」とは?

卒業生が集まるイベントでは学校側からの「寄付のお願い」が多いが、11月19日(土)に六本木・SuperDeluxeにて開かれた「ホームカミングデー(HCD)」で村井純環境情報学部長が呼びかけた内容は異色だった。

村井学部長が披露したのは、SFCに温泉を掘る構想。温泉は掘り当てると利益が出る可能性が高いが、そうでなければ掘削に投じた費用の分「大損」することになる。村井学部長は「温泉は体によさそう」と、SFC近くに完成する病院にも売り込みたい考えで、「山っ気のある、お金の余ってる人は、ぜひ掘りましょう!」と呼びかけていた。

村井学部長はスライドを使いながら温泉計画を説明した(筆者撮影) 村井学部長はスライドを使いながら温泉計画を説明した(筆者撮影)

「1キロ1億円ぐらいかかる」

この構想は、名付けて「SFC湯沸かしプロジェクト」。滞在型教育研究施設「未来創造塾」に露天風呂を建設しようという構想の延長線上に浮上した。村井学部長が調べたところ、温泉は「掘るとある」。「1キロ(掘るのに)1億円ぐらいかかる。それで何キロ掘れば出るかは、よく分かりません」というのが実情だが、企業経営層でつくる「SFCフォーラム」のつてで温泉ビジネス関係者に聞いたところ、「まんざらでもない」感触を得たという。

2017年10月には、SFCのすぐ前に「湘南藤沢記念病院(仮称)」が開設される。全230床のうち療養病床が200床を占めるため、高齢者の利用が見込めるのに加えて、「在宅医療もやるんで、温泉は健康に良さそうだから、何となくこの人たちは買ってくれるだろうなと思う」として、病院からの収入で維持費などを捻出したい考えだ。

「ブタと一緒に入る温泉」に観光客は来るのか

これに加えて、村井学部長が「みやじ豚」社長の宮治勇輔さん(01年卒)と話しているうちに浮上したのが「やっぱりサルが入る温泉だけで、ものすごいインバウンドの客がついてくる。ブタと一緒に入れる温泉は、もっと人が入るんじゃないか」という奇想天外なアイデア。それ以外の様々なアイデアが学生や卒業生から出ることを期待しながら「とりあえず、掘るか」となったといい、「山っ気のある、お金の余ってる人は、是非掘りましょう!」と呼びかけていた。

大学キャンパス内で温泉を掘ろうという試みはきわめて珍しい。数少ない例としては、立正大学(東京都品川区)が熊谷キャンパス(埼玉県熊谷市)で06年夏ごろから7000万円を投じて1500メートルも掘ったが、温泉が出ないまま07年に計画を断念したケースが知られている。

2015年のHCDは7期生(00年卒)を対象にSFCで行われたが、今回は会場を東京・六本木に移して開催。この日は近くの東京ミッドタウンで行われたOpen Research Forum 2016(ORF)の最終日で、ORF帰りの卒業生ら約150人がSFC時代を懐かしんだ。

HCDには約150人のOB/OGが集まった(筆者撮影) HCDには約150人のOB/OGが集まった(筆者撮影)

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