「慶応大学」バス停のあるロータリーの目の前、SFC中高のテニスコートがあった土地に新しい建物が建ち始めている。建設が進められているのは、医療法人社団健育会「湘南藤沢記念病院(仮称)」。SFC CLIP編集部は建設現場を訪れ、担当者の方々に取材を行った。

新駅構想に伴った都市計画―SFC周辺の「健康と文化の森地区まちづくり」構想

湘南藤沢記念病院は、病床数230床(一般30床、療養200床)の総合病院。建設は今年3月から始まり、開院は来年の秋ごろを予定している。周辺の遠藤地区だけでなく、藤沢市西北部エリアの新しい医療拠点となる。

湘南藤沢記念病院 完成予想図(健育会提供)

湘南藤沢記念病院 完成予想図(健育会提供)

この病院の建設は、藤沢市の都市計画である「藤沢市都市マスタープラン」内の「健康と文化の森地区まちづくり」構想と関係している。

「健康と文化の森地区まちづくり」はSFC周辺である遠藤地区の地区別構想。遠藤地区の豊かな自然環境(=「森」)を保全しながら地区の「健康」と「文化」を推進し、相鉄いずみ野線の新駅設置構想にあわせてより利便性の高い都市環境を形成することを目標としている。具体的には、交通機能の強化やSFCを中心とした新しい都市拠点の形成、浸水・冠水予防のための雨水対策などが検討されている。

湘南藤沢記念病院はこのうちの「健康」をサポートする施設として建設されており、SFCと共に「健康と文化の森地区まちづくり」の中核施設となる。実はSFCはこの構想による開発許可制度や地区計画制度を活用して開設されており、総合政策・環境情報学部は「文化」面、看護医療学部は「健康」面の施設とされている。

SFCとも連携 高齢化の進む遠藤地区に新しい医療を

湘南藤沢記念病院は、外来診療をはじめ、回復期のリハビリテーションや慢性期の長期療養医療、訪問看護などを行う。近隣の介護施設や神奈川県内の同法人のクリニックとも連携して、救急外来などの急性期から退院後の在宅支援まで、罹患時に必要になる一通りの医療を提供する。

SFCや企業との連携できめ細やかな医療を提供する。(健育会提供)

SFCや企業との連携できめ細やかな医療を提供する。(健育会提供)

その中で、湘南藤沢記念病院はSFCとの連携も積極的に行っていく予定。建物内に「ヘルスサイエンスラボ(藤沢地域健康医療研究連携ラボ)」を設置し、連携の拠点とする。連携するのは、健康・高齢社会・抗加齢研究、漢方・東西統合医療に関するビッグデータの構築、そしてヘルスインフォマティクスの分野。湘南藤沢記念病院が診療データ収集・臨床応用・教育支援を、SFCが基礎研究・応用研究を行い、高齢化の進む遠藤地区に先駆的でよりきめ細やかな地域医療を提供することを目指す。民間病院の中に大学の研究施設が設置されるのは珍しいケースだ。

湘南藤沢記念病院では、ITを活用した地域住民の見守りシステムも構築していきたいという。バイオや情報技術での連携を中心としつつも、地域住民の健康長寿を実現すべく、まちづくりなどの文系分野での連携も検討されている。

来年秋の開院に向けて建設中 気になる建設状況は?

病院の建設が始まったのは今年の3月。新年度の始まりと同時に建設開始に気がついた人も多かったのではないだろうか。現在は1・2階部分の建設作業を行っており、来年の夏までにはすべての工事が終了する予定だ。

1階部分

1階部分

上の写真は、現在建設中の1階部分。1階には総合受付・会計、救急外来のほか、薬局やコンビニ、「地域住民健康マネジメント室」などが設置される。「地域住民健康マネジメント室」は、病院・病院間の連携窓口として多くの病院に設置されている「医療連携室」を、病院・地域住民間の交流窓口としても機能するように拡大した組織。地域交流イベントの企画や高齢者見守りサービスなどを通じて、病院と地域住民をつなげる。

2階部分・建物南側

2階部分・建物南側

こちらは2階部分。2階には外来診察室や各種検査室、手術室、リハビリテーション室などが設置される。患者は1階で受付を済ませたうえで2階に上がり、診察を受けるという流れになるようだ。これから建設される3階~5階は病棟になる予定。

2階部分・建物北側

2階部分・建物北側

建物の北側に行くと、すぐ近くに看護医療学部の建物が見える。湘南藤沢記念病院では、開院の翌年度(2018年度)以降の開始を目標に看護医療学部生の実習受け入れも検討しているそうだ。

お話を伺った、前田建設工業株式会社 湘南藤沢病院作業所所長 菅原光宏さんと湘南藤沢記念病院開設準備室 看護部長 片岡亮子さん

お話を伺った、前田建設工業株式会社 湘南藤沢病院作業所所長 菅原光宏さんと湘南藤沢記念病院開設準備室 看護部長 片岡亮子さん

「病気や怪我をした時でないと行かないことが多い『病院』という場所を、健康管理のためなど気軽に行ける場所にしたい」と、担当者の方々。地域医療×最新技術を軸に据え、地域の「健康」を手厚くサポートする――湘南藤沢記念病院のコンセプトが、そんな言葉からも伝わってきた。地域に新しい風を吹き込んでくれるであろうこの病院に、大きな期待が寄せられている。

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