10日(日)、SFCにて次世代モビリティに関するフォーラム「Next Generation Mobility Forum 自動運転技術が変える新たなモビリティとは~自動運転バスがキャンパスを走る~」が開催された。主催の小田急電鉄株式会社、神奈川中央交通株式会社(以下、神奈中)と慶應義塾大学は2017年12月の協定締結以降、自動運転技術やITS(高度道路交通システム)などの最先端モビリティに関する研究を共同で実施。今回のフォーラムもその協定に基づき、自動運転技術や次世代モビリティについての理解を促進するべく行われた。

県内で行われた各種実験を黒岩知事が解説

フォーラムでは濱田庸子環境情報学部長、鈴木恒夫藤沢市長の挨拶に続いて黒岩祐治神奈川県知事が特別講演。2013年の相模縦貫道での自動運転実験など、現在までの神奈川県内での自動運転に関する取り組み、2020年のオリンピックでセーリング競技会場となる江ノ島で運転手の乗らない「レベル4」の自動運転バスを走らせる「江の島プロジェクト」などを解説した。

黒岩祐治神奈川県知事 黒岩祐治神奈川県知事

SFC教員による研究についての紹介

続いて大学院政策・メディア研究科の大前学教授、佐藤雅明特任准教授が講演。大前教授は、自動運転の研究室での学生と自動運転の関わりについて講演。学生による研究活動やこれまでに行ってきた自動運転デモ等を紹介。人口減少、少子高齢化が進展していく中で持続可能な「いつでも、だれでも、どこへでも行ける」社会を実現するための自動運転を目指すとした。

大前学教授 大前学教授

続いて佐藤特任准教授は「インターネットと自動車の融合」という題目で、これまでに行ってきた、日本やシンガポールにおける自動車からの情報を集める「プローブ情報システム」に関する数多くの研究を紹介。一方で、自動運転車が今後社会に受け入れられるためには従来のITSや自動車技術からの飛躍が求められるとした。

佐藤雅明特任准教授 佐藤雅明特任准教授

各企業からの講演

後半の講演では神奈中、いすゞ自動車、SBドライブの3社が講演を実施。神奈中はより安全な運転や高齢社会での路線維持、運転手不足への解決策として自動運転バスに期待を示した。続くいすゞは、バスやトラックのメーカーとして安全運行や人手不足を支えるためのコネクテッドテクノロジー、隊列走行技術を紹介した。SBドライブは自動運転技術を専門とするベンチャーとして、自動運転の実用化に向けた研究のイメージや実際に各地で行った実験などを紹介。また、自動運転バスがもたらす社会をイメージさせる動画も披露した。

また、講演と同時にSBドライブの日野ポンチョ型の自動運転実験車(試乗レポート)、大前研究室のエスティマHVベースの自動運転実験車の試乗会も開催。雨でエスティマ試乗が一時中断する場面もあったものの、大盛況となった。また同時にいすゞやセグウェイ、WHILLによる次世代モビリティの紹介ブースも多くの人を集めた。

鴨池前を走行する日野ポンチョ型自動運転実験車 鴨池前を走行する日野ポンチョ型自動運転実験車

今回のフォーラムでは現在までの各種研究を展望し、来場者に自動運転技術の現状についての理解を促す機会になっただろう。現在、電気自動車企業テスラのイーロン・マスクCEOがテスラ車で完全自動運転が利用できるようにするソフトウェアの配布を発表するなど、自動運転に関する開発競争はますます加熱しそうな勢いがある。SFCでも引き続き今回のような実証実験が実施されることで、到来しつつある自動運転社会をリードするような新たな技術開発につながることを期待したい。

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