6月22日(水)、SFC生のマイ・プロジェクトの発表会、第2回「しぇあぷろ!」がSBCセンターで開催された。今回もSFC内外で活動する4名が登壇し、活発な議論が生まれた。

「やりたいことをやる」ための手助けを

「しぇあぷろ!」は、今回も主催者である鈴木寛研究会所属の門野力也さん(環3)の挨拶からスタート。門野さんは、「やりたいことをやっている人は笑顔で楽しんでいる。その『やりたいことをやる』ための手助けをしたい。また、研究会やサークルの枠組みを超えたつながりをSFCで作りたい」と開催の趣旨を説明した。

個性豊かな登壇者4名 それぞれのマイ・プロジェクトを語る

「SBC」で大学に"創造的な革命"を

SFCとSBCの社会に対する役割を語る上田椋也さん(総2) SFCとSBCの社会に対する役割を語る上田椋也さん(総2)

最初に登壇したのは、上田椋也さん(総2)。自身が所属するSBC研究会での活動を紹介した。「SFCは大学を再発明しようと発足したが、今では『SFCは新しくない』と言われ始めている」と、今後のSFCのあり方を考える必要性を訴える。上田さんは、タイムズ誌の世界大学ランキングで東京大学のアジア圏での順位が下がったことに触れながら、海外大学のように学生たち自身が大学を変えていかなければならないとした。

また、「SFCが大学であるため、大学の枠組みを超えられないのではないか」とも語った。その上で「境界なき学び」「共創」「学びの実験場」という3つのキーワードを挙げ、SFCにはまだ他大学にはない強みがあると指摘。SBCでは学生や教職員、外部の方々が関わって大学を変えていくための活動をしていることから、SFCで理論を学びSBCで実践をしていくことで、学生が積極的に大学づくりに参加していくことができるのではないかと提案した。

SBCでの活動を通して、学生運動のような「破壊的な革命」ではなく学生主体でアイデアを形にしていく「創造的な革命」を起こしたいと語った。

ロボットで新しい生きものを 「TRYBOTS」

「新しい生きもの」を作りたいと語る近藤那央さん(環3) 「新しい生きもの」を作りたいと語る近藤那央さん(環3)

続いて登壇したのは近藤那央さん(環3)。自らがペンギン型ロボット「もるペン!」を開発しているTRYBOTSでの活動を紹介した。現在、徳田研究室や體育会航空部に所属し、秋葉原のものづくり施設DMM.make AKIBAで製作活動をしているという。工業高校に入学したことがきっかけでロボット製作に出会ったそうだ。生きものとしてのペンギンにも興味を持っている近藤さんは、本物と区別がつかないものを作りたいとの思いから、町工場や企業からの協力を得つつ「もるペン!」を開発している。

TRYBOTSでは、簡単なペンギン型ロボットを子どもたちと一緒に作るなどの教育活動も行っている。「ロボットを見て子どもたちが喜ぶ姿を見るのがやりがいになっています」と近藤さんは話す。

近藤さんは、TRYBOTSでの活動を通して、ロボットや工学をより身近に、よりポップにしたいという。将来的には、単にロボットを作ることに留まらず「新しい生きもの」を作りたいと語った。TRYBOTSは、7月16日(土)から浜松科学館でペンギン型ロボットの水中展示を行うそうだ。

「アート」とは何か? 「アート」は社会を変えられるか?

アートを通じて日常を探求しているという新造真人さん(環2) アートを通じて日常を探求しているという新造真人さん(環2)

新造真人さん(環2)は、自身の「太陽の塔の前で髪を切る行為」などを取り上げて、「アーティスト」としての活動を語った。新造さんは、「拡張するSBC」というテーマで、SFCの本館前で散髪を行ったり、キャンバスに描いた絵を持って街中を歩くなどのアーティスト活動を行っている。「『写真を撮る』と言っても、何を目的にして撮っているのかによって意味合いが変わる」と話した新造さん。「アート」とは何か、「アート」は社会を変えられるかについて語った。

新造さんは、様々なアーティスト活動をする中で共通するのは「日常の探求」だとした。「ただ風景を撮っても人によって意味が異なる」などと話し、日常に埋もれた意味付けを再認識させることができるのが「アート」ではないかと指摘。後の質疑応答では参加者と「アート」とは何かについて議論を行うなど、活発な話し合いが行われた。新造さんは、「やりたいという『心の瞬発力』を活かしていかなければならない」とも話し、SFC生を鼓舞した。

「ドローン」で「空」をみんなのものに

ドローンのイメージをより良くしたいと話す高宮悠太郎さん(環4) ドローンのイメージをより良くしたいと話す高宮悠太郎さん(環4)

高宮悠太郎さん(環4)は、ドバイで行われた世界大会にも出場したドローンのスポーツチーム「KART」での活動を紹介した。KARTは、世界大会にも出場する日本初・日本最大の学生ドローンレースチーム。高宮さんがドローンレースを始めたのは、「未来創造塾入門」の授業がきっかけだったという。授業内でドローンを使ったビジネスを創ることになり、ドローンと親しんでいるうちにレースに参加しようという気持ちが強まったそうだ。そしてドローンレースに出場するために無線に関する資格を取得し、大会に出場する準備を整えた。

高宮さんは、KARTを通して、今後のドローンを前提とした社会を考える。「空の産業革命」とも言われるドローンの登場は、個人が容易には使えなかった空を、人々のものにすることに繋がると話す。ドローンレースでは、ヘッドマウントディスプレイをつけてドローン目線で空を飛ぶように操縦する。実際のレース時に操縦者が見ている映像を見せながら、その魅力を語った。

しかし、一時期ドローンに関連した事件の報道が相次いだこともあり、一般的にドローンのイメージはネガティブなものが多い。そのようなイメージについて、高宮さんは「自動車のF1やラリーのように、ドローンもスポーツを通じてポジティブで夢のあるものに変えていきたい」と話す。そんな高宮さんは、今年の10月にはハワイの大会にも出場予定とのこと。

活発な議論が生まれた「しぇあぷろ!」

会場のSBCセンターには約20名が集まった。(門野さん提供) 会場のSBCセンターには約20名が集まった。(門野さん提供)

登壇者への質問も盛り上がりを見せるなど賑やかに進行した「しぇあぷろ!」は、門野さんの「今後も新しい出会いを生む場として『しぇあぷろ!』を続けていければ良い」との言葉で締められた。閉会後も各々話し合いをするグループがいくつもできるなど、「新しい出会い、つながりを生む」という趣旨のとおり成功裡に終わった。

「しぇあぷろ!」は、これからも定期的に開催する予定だという。見学者や登壇者として参加すれば、刺激的な新しい出会いがあるに違いない。積極的に参加してみよう。

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