2001年4月の創刊号から7年半の歳月が経ち、SFCはもちろんSFC CLIPにも実に色々な出来事がありました。そこで歴代の総勢6名の編集長が、1つずつ思い出深い記事を(ほぼ300字で)紹介します。

■初代編集長 千原 啓

膨大な情報量のデータベースから、いくらでもコピーしてレポートを作れてしまう環境において、起こるべくして起きた事件である。
 本記事の掲載にあたっては、単に事実を伝えるだけでなく、当該処分を受けた学生の視点から情報を伝える必要があると考えた。
 SFC CLIPは開設時より、大学内において知るべき情報を共有すること、多様な立場から情報発信できる機会を提供することを目的としていた。この点から、処分を受けた学生による生のコメントが入手できたことは、極めて重要であった。
 当該の処分を受けた学生には、私の知り合いもいる。
 彼は、無事4年で卒業し、現在は立派に社会人生活を送っている。
 人間万事塞翁が馬。

■第2代編集長 眞貝源太

テレビも新聞もインターネットも、それぞれ長所や短所があるが、我々はそれらを器用に使い分けているとは言えるだろうか。情報が多すぎて、むしろ注意散漫のまま、山積された断片情報の前に呆然と立ち尽くしているではないだろうか。だからこそ、SFCに対してフックのある記事はSFC CLIPが発信してほしい。というわけで、わたくしがレコメンドする記事は「[SFC CLIP独占インタビュー]一青窈さん(00年環卒)」。
 当時、一青窈さんは既に有名になっていたため、所謂一般の方に取材するよりはスケジューリングなどの点で多少の苦労を必要とした。それでも記事にもあるように、後輩として話して下さったのか、非常に気さくに、部活かサークルの後輩に話すような雰囲気でインタビューに対応して頂いた。今でこそ当たり前の、SFC CLIPにおける映像配信もこの記事がSFC CLIPにて初の試みだったはずだ。大がかりな人数でおしかけ、取材した方が、今さらにビッグになられているのは感慨深い。

■第3代編集長 永野 孝

テレビも新聞もインターネットも、それぞれ長所や短所があって、私たちはそれを器用に使い分けている。だから、SFCに役立つ情報はSFC CLIPが発信してほしい。というわけで、わたくしがレコメンドする記事は「豚菜の定食が一律100円値上げへ -1975年の開店以来初めて-」。
 個人的にも足しげく通った名物食堂が値上げするなんて!超ローカルだけど、SFC生にとってはビッグニュースに違いない、と当時も今も思っている。誰もSFC CLIPに世界情勢の解説を求めていない。SFC CLIPはこれまでもこれからも、泥臭いSFCや周辺地域のローカルニュースを発信するのが役割のはず。今後の活躍に期待しています。

■第4代編集長 渡辺裕作

「なぜキャンパスが臭うのか」…実はCLIPでは既に解答となる記事を掲載している。それにも関わらず、学生から「この臭いって何?」という疑問の声が消えることはなく、私はこの記事を通じて情報共有の難しさを考えさせられた。
 特に大学は、(おおむね)4年間で卒業する人材が集まる流動的な場所であり、その中で学生は効率的に先人の知恵を獲得し、活用していかなければならない。同じ事を調べたり、同じ失敗を繰り返すのは時間の無駄なのである。
 私はCLIPの良質なアーカイブが、きっとSFC生の機動力に貢献できるはずと考えている。そのためには購読者の拡大など沢山の課題があると思うが、今日もドコモハウスで出前を頬張りながら記事を書いているであろう後輩達にその思いを託したいと思う。

■第5代編集長 桂山奈緒子

紹介する記事は、キャンパス前に新しいコンビニができていた、という極めて淡白な話題を取り上げている。
 正直、淡白な話題の割には手間をかけて取材をしており、「だから何なんだ」と突っ込まれそうな内容である。ところが、こういった細かい話題の積み重ねがやがて価値のある「記録資料」になるから面白い。実際、SFC CLIP創刊当時の記事はすでに歴史的価値を帯びており、この記事も10年後には「へぇ」と驚嘆される事実を語っているかもしれないのである。
 週刊メールマガジンという速報メディアの顔と、キャンパスのリアルな日常を未来に伝えるアーカイブの顔と。両方の面をこれからも発揮し、ますますSFCにとってなくてはならないメディアに育っていってほしいと願う。

■第6代編集長 伊藤可久

入学当初にこの事実を知ったとき、都内からSFCが近くなるという、考えたこともなかった可能性に衝撃を受けた。キャンパスが移動することはなくとも、便利になる望みがある。湘南台からSFCに向けての相鉄延伸の噂もあり、大きく期待が膨らんだ。
 後にSFC周辺で計画されている道路や電車の特集をすることになったのも、この記事の影響が大きい。調べてみれば新幹線新駅、圏央道などの計画がSFCの周りには存在していた。冒頭の乗り入れ計画も2010年よりは大きく遅れてはいるものの、既に着工済み。
 SFC CLIPが1000号を迎えるころには、「SFC前駅開業」の一報が載るのを密かに期待している。