世界に星の数ほどあるワイン。種類も多ければ、好みもわからない、相場もよくわからない。あまりに広い世界に、あまりに多い不安要素。ワインにいまいち踏み込めないという躊躇、抱えている人は多いのではないでしょうか。


 今回ご紹介するのは、藤沢駅前にある「恋するピカソ」。ワイン好きからお勉強派までおすすめできるワインバーです。毎週月曜日と土曜日には、ワイン三種ティスティングセットを1,575円で振舞ってくれます。三種といわず、一杯のグラスとじっくり対峙するのも、またかけがえのないもの。いざワインに立ち向かう勇士に送る連載第4回も、平野雄大さん(総3)の執筆でお送りします。
■ワインどうでしょう
 ワイン、飲んでますか?
 大学生になると、いろんな場面でいろんなお酒を飲むようになると思います。その中でもワインはパーティーに行ったときや、レストランで食事をするときなど、オールラウンドで付き合えるお酒だと思います。ただ人と話したり、食事をするためだけの用事なら特に飲む必要もないかもしれません。でも、相手との会話を楽しんだり、食事をより思い出深いものにしようと思うのなら、一杯のワインは欠かせません。
 ぐびぐびと飲み干すビールや、何杯か飲むと呂律が怪しくなってくるようなハードリカーとは違って、ワインは相手との会話が深くなってくるのに応じて、徐々に体に沁(し)みこんでいきます。しかしこのワインという飲み物、この世に星の数ほどあるのでなかなか厄介です。
 この食事にはどんなワインが合うんだろう? 今の気分にぴったりのワインって何なんだろう? ワインメニューのリストを見せられても、まったくわからないし、ウエイターにお任せしても学生には少々苦しい値段のワインを勧められても困るし、うーん、それなら頼まないでおこう……。
 概して私が見たところ、ワインに対する興味はあるものの、先立つ知識がないために、いつまでもワインを飲みたいときになかなか飲めない人が多いように思います。そんな方は、こんなお店でワインのいろはを教わってみてはいかがでしょうか。
 湘南藤沢のワインバー「恋するピカソ」は、藤沢駅南口のファミリー通りを入ってすぐの場所にある、ベストハウスビルの5階にあります。ワインエキスパートの資格を持つオーナー以下、従業員はみんな女性。店内は明るくて見通しもよく、壁2面に渡って続く開放的な窓の手前には、磨きこまれたグラスが配されており、夜景に重なるクリスタルの輝きがロマンチックな雰囲気を醸し出しています。バーというと薄暗い店内にタバコの煙が充満して…というイメージを持っていて、それを敬遠している人もいるかと思いますが、こちらのお店はそんなイメージとは無縁。サイトの紹介文には「女性が一人でも気軽にワインとチーズを楽しめてホッとくつろげる空間です」とありますが、男女を問わず、いろんなシチュエーションで利用できるお店だと思います。
 ワインは赤白ともに10種類くらい、シャンパンはドラモットという銘柄が4種類あります。学生だと気になるのがお値段ですが、ここのワインは赤白とも5種類程度がグラス単位で注文できて、一杯あたり約700円1,500円程度。更に毎週月曜日と土曜日はワイン三種ティスティングセットを1,575円で注文できるので、ワイン初学者には嬉しい価格設定だと思います。
 とりあえず何を飲んだらいいかわからないという人がほとんどだと思いますが、そんな方はまずオーナーの由美子さんに相談してみましょう。あなたの好みや気分と相談しながら、きっとぴったりのワインと、おつまみを選んでくれますよ。
■バーで待ち合わせするのもよし
 先ほど男女問わずいろんなシチュエーションで利用できると書きました。一人で飲んでもデートで使ってもグループで行っても対応できる便利なお店です。加えて、この店の開店は17時半。バーにしてはちょっと早めの開店時間なのですから、待ち合わせに使ってみるというのも、乙かもしれません。しかもこのお店、17時半から18時半までに来店したお客さんには、ワインを一杯サービスしているんです。おつまみなんかをひとつ頼んだとしても、殆どお金かかりませんよね。
 私はバーでのこんな時間帯を待ち合わせに使いたいんです。
 行きたかったお店へ、会いたかった人との楽しみにしていた食事の約束。こんな場面で待ち合わせをする場合、直接レストランの前で落ち合うのは、いろんなことを考えると決してかしこい選択肢だといえませんね。
(*)詳しくはほぼ日の『おいしい店との付き合い方』コラムに書いてあります。

待ち合わせ場所としては、喫茶店や本屋さんもいいけれども、たまにはバーでちょっと一杯引っ掛けてリラックスするのはどうでしょう。その一杯がアペリティフになって味覚は冴えてくるし、軽く気分がよくなって相手と会ったときにもスムーズに話せそうです。
 また、この時間帯はお客さんが少ない時間帯でもあります。バーテンダーの方もゆとりを持ってお客さんとの会話を楽しむ余裕があります。たとえばこのお店で「今日はおいしい鶏肉が食べたくってあのイタリア料理店に行くんです」と話してみるとどうでしょう。思わぬ鶏肉料理についてのエピソードや、合わせるべきワインのヒント、そこから派生した話でお店の人と盛り上がることが出来て、なおかつその後の食事で「そういえばさっきのお店でね」と話の種に出来たり、ワインの選択の助けになるかもしれません。
 バーで働く人というのは、おいしいお酒を出す技量とともに、お酒に関する専門知識を駆使してお客さんに満足してもらえるようなサービスをしています。この時間帯はそんな方とゆっくりとお話が出来るチャンスでもあり、待ち合わせに必要な暇つぶし、話題仕込み、リラックスの要素を揃って味わえる贅沢な時間帯でもあるのかもしれません。
「恋するピカソ」
TEL:0466-50-5517
住所:藤沢市南藤沢20-21 ベストハウスビル5F-A
営業時間:17:30 24:00 日曜、祭日定休
予算:1,500-4,000円(一人当たり)

–平野雄大 略歴–
総合政策学部3年
学内での活動:学生ガイド、クラブ「D」メンバー、KEIO SFC REVIEW編集委員。
・1984年
 長崎県諌早市生まれ 現在20歳。
・2003年
 福岡県 筑紫台高校を卒業。
 卒業記念に友人にコーヒーミルをもらう。コーヒーに凝り始める。
 SFCに進学のため藤沢市に転居。辻堂在住。酒類量販店までチャリで5分。
 藤沢駅周辺のレストランやカフェなどを巡り始める。
・2004年
 ウイスキーに開眼。藤沢駅周辺のバーに通いつめる。
 夏に銀座の某社にてアルバイト。帰り道に東京-横浜周辺ホテルのバーを探索。
 友人にレストランやバーのアドバイスを求められるようになる。
現在、「ウイスキーエキスパート」取得に向け勉強中。