「新入生歓迎の集い実行委員会」という組織をご存知だろうか。4月1日-8日に行われる新歓活動を統制する団体で、今年度は6人で運営された。私自身、その6人のうちの1人として運営に携わった。そして内部からこの組織を見ることで、そのずさんさ、権力志向な面をまじまじと感じた。先日の終了総会では会計などが公開された。よく見てほしい、これは、かなりひどい。

タクシー利用&通学費で125,000円

新歓実では交通費が支給される。それが当たり前のように出ていることも驚きだが、その額も予想以上に高額だ。終了総会で配布された支出一覧の交通費補助という項目では、新歓実メンバーに対しての支払額が21,450円、24,730円、36,060円と記載されており、3人の合計は85,420円出ている。(※1)
 また、タクシーの利用回数は26回で合計38,080円、3月28日-4月7日の短期間には18回も利用されている。一回の利用は1,500円程度で、恐らくすべて湘南台からSFC間で使われたものだと思われる。もちろんSFCから湘南台にはバスが通っている。(※2)
 終了総会では交通費に関して、パンフレットの協賛金を利用しているので問題ないとの説明がなされた。パンフレットとはサークル情報が載るパンフレットだ。そこから得たお金をなぜ、新歓実が自由に貰って良いことになっているのか。サークルに還元されて然るべきものを交通費という名目で新歓実内で分配されている現状は許されていいのだろうか。

サークル参加費が、クリーニング代に

疑問点はまだまだある。トランシーバー等の購入費で68,084円、腕章10個で34,650円、クリーニング代で15,000円、携帯代9,830円などなど。これらだけでも合計は127,564円。(※3)
 各サークルが新歓活動を行うには、新歓実に最低4,000円の参加費を支払わなければならず、これらの備品はこの参加費を使って購入されている。
 トランシーバー、腕章は来年以降も使われるからいいという説明があった。しかし、クリーニング代が出ていたことには驚きだった。私自身、当日運営に関わっていたが1度もクリーニングの必要に迫られたことはなかった。またクリーニングのお金が費用として落ちることも全く知らされていなかった。どこでこのお金が使われていたのだろうか。

誰も知らない、新歓実のメリット

今年、新入生に配布されたサークル案内パンフレットの印刷費は663,975円。これについて、相場に比べ3倍近く高いのではないかという指摘が終了総会でなされた。ネットで少し調べてみたところ、冊子印刷のイニュニックでは同様の質で1000部148ページで361,600円だった。(※4)
 この高すぎる印刷費には少し理由がある。あまり知られていないが、新歓実には、新入生全員に配られるパンフレットに自分の所属しているサークルのチラシを同封できるというメリットが設定されているのだ。今年はSFC霞会、秋祭実行委員会、ゲームサークルDICE、慶應OUTSIDERS、SFCウィンドオーケストラDolce、手話サークルI’m 手話のチラシが同封された。この印刷費も、サークル参加費から払われているのだ。
 終了総会配布資料の印刷費の項目に、この件について載っている。しかし、今年度から新歓実に参加した私も直前まで知ることは出来なかった。カラーで両面印刷、6サークル分、1000枚づつ。一体いくらかかったのかは会計報告からは知ることが出来ない。
 2009年度新歓実の立候補団体募集の際に配布された資料には、新歓実は新歓時のメリットとして「新入生を効率良く勧誘するための諸要素の決定権」を得る、と記載されている。しかし、実際には「決定権」だけでなく、各サークルが払った費用までもがメリットの名の下に使われているのだ。(※5)

自治会の謎

「慶應義塾大学湘南自治会」という組織がある。塾生全員が払っている自治会費750円をSFCに還元すべく組織された団体だ。自治会費100,000円が新歓実の会計に追加されている。一部の学生団体などの会計監査が主な仕事で、新歓実の会計監査もこの自治会が行っている。このずさんな会計にも自治会が許可を出した事になる。
 しかし、この新歓実と自治会、実はつながりが深い。そもそも昨年度の新歓実の代表が、今年の自治会の代表で、今年度の会計監査も行った。終了総会で配布された、自治会の会計監査報告が面白い。(※6)
 パンフレットやステージのミスが指摘されていたが、なぜか高額な交通費や、クリーニング代などには何の指摘もない。また、新歓実募集要項2009にも「必ず、第三者機関である湘南自治会において会計の監査を受けることを義務とする。」(※7)とあるが、新歓実OBが第三者に成り得るかは疑問だ。
 もちろん、責められるべきは新歓実だけではない。全てを新歓実に丸投げしてきたサークル側にも少なからず責任はあるはずだ。新歓活動はどのサークルにとっても大切なこと。もっと協力的であるべきだろう。だからといって、ずさんな会計や、私利私欲に走った行為は決して許されない。
※1,※2,※3 
新歓実支出一覧(PDF)
※4
冊子印刷のイニュニック:カラー表紙冊子印刷1
※5
2009新歓用 制度概要(Wordファイル)
※6
新歓実募集要項2009(Wordファイル)
※7
監査結果(PDF)
<おとこわり>
 当記事の本文の一部について、新歓実側の要望により、学外からアクセスに対して記述が変更されます。
 また、トランシーバーや腕章の購入を行った備品費114,329円は、自治会分担金の100,000円が充てられており、残りがサークルの参加費から拠出されています。
追記 2009.7.1
 当事者との話し合いの結果、当事者の実生活に配慮し、本文および添付資料(pdf)から実名部分を削除いたしました。