シラバスだけではわからない研究会の実情をSFC CLIP編集部が実際に研究会に赴いて調査する「CLIP流研究会シラバス」。今回は上山信一研究会を紹介する。上山信一総合政策学部教授は、運輸省の官僚やマッキンゼーのコンサルタントを経てSFCに着任。その後は大阪府・市、東京都の特別顧問として、橋下徹氏や小池百合子氏のブレーンや企業のアドバイザーも務めてきた。そんな上山教授はSFCで、過去の文献から未来を洞察するパースペクティブ研究会と実際の企業のコンサルティングを行うビジネス研究会を開講している。今回はその2つの研究会のゼミ長を務める日森満さん(環4)と藤澤慶輔さん(総4)にインタビューを行った。
ビジネス研ゼミ長の藤澤さん(左)とパース研ゼミ長の日森さん(右) ビジネス研ゼミ長の藤澤さん(左)とパース研ゼミ長の日森さん(右)

過去の歴史を振り返ることで未来を洞察する パースペクティブ研究会

—— パースペクティブ研究会(以降「パース研」)ではどのようなことしているのですか?

(日森)パース研では、毎週1~2冊の輪読討議とグループワークの2つを主に行っています。輪読ではマックス・ウェーバーやルソーなどの古典思想書やその解説本を読んだり、実社会の営みという観点から都市やインフラ、技術の本質を語る本や未来洞察の名著などを読み、予め各人がレポートを作成してきます。授業では3人で1チームになり、グループと全体で討議をします。

パース研で鍛えられたという日森さん パース研で鍛えられたという日森さん

さらに、グループワークがあって、3~4人が1チームで班別に、テーマに沿った調査研究、そして学期末にプレゼンテーションを行います。テーマは、2017年度は「資本主義、民主主義、宗教」「東洋・西洋思想」など、18年度は「インフラ、技術、産業、金融、都市」などでした。19年度は「戦略、デザイン、財務、組織」などがテーマになります。研究会の正式名称は、「2050年パースペクティブ研究会」なのですが、かなり広い分野から未来を洞察する研究会だと言えます。

グループ発表の様子 ORF2018セッションにて グループ発表の様子 ORF2018セッションにて

ちなみにパース研は毎年11月に、ORFで発表をします。先生の方針で、発表は「著名人等のゲストは一切呼ばない」「学生主体で、それまでの研究の蓄積を自力で発表する」というスタイルを取っています。これが、なぜ恒例行事であるのかというと、準備始めと発表後では研究会のメンバーが別人のように成長するからです。9月末から11月末にかけての2ヶ月もの間、寝食を忘れてチームで準備に勤しみ、毎週、先生にその成果をぶつけます。初めは、ダメ出しばかり食らっていた学生も、終わるころには価値のある情報を見極め、質の高いチャートを作れるようになり、プレゼンテーションの論理構築能力も格段に成長します。実際に僕も、カラオケルームにフリータイムで入って、プレゼンを朝から晩まで練習したり、チャートを1日30枚と決めて作成したり、図書館の本を軒並み読んだりしていました(笑)。おかげで、得たものは大きかったように感じます。全員がそういった熱量で取り組むことが、高校生から社会人に及ぶ来場客からの4.7~4.9/5という高い評価に繋がっています。今年は一番大きな部屋でトリを飾り、満員にもできました。春学期のグルワのテーマに合わせて、各班長が班員を引っ張り、成果を上げます。ORFでは、全てのテーマを繋いで、リレーでプレゼンをします。ゼミ生15人ほどで力を合わせ、時には積み重ねたものを壊し、1つのアウトプットとして発表します。

—— 「戦略」や「財務」の未来も研究するのですか?

(日森)色々なものの歴史を手掛かりに社会の未来を見るのは、未来洞察の手法の一つです。去年は、「コンテナ」「保険」「家族」などの歴史から未来を考えました。今年の「財務」も、数字や計算手法を学ぶのではなく、財務の社会的な位置付けが過去はどうで、今はどうで、未来はどうなるのかという、本質的なところを研究していきます。年ごとにテーマは変わります。技術や金融などは扱いやすい。一方、宗教・社会哲学や制度などは掴み所がない。でも、それらを多岐に渡って見ていきます。

—— 未来洞察については、どのくらいの未来を想定しているんですか?

(日森)研究会名のとおり、2050年といってますが、実際には「もっと先の今はまだ見えない未来」のことを考えます。過去を振り返ってみると、ルターの宗教改革、産業革命、石油燃料の実用化など、社会が大きく転換する瞬間はたくさんありました。現代もそういった兆候(トランプ現象やBrexit等)が見られます。そんな時代にまさにパース研で、未来を洞察する重要性は高まっていると考えます。

—— 最近ではグループワークを積極的にするようになってきたって聞きましたが、どんな経緯でそうなったんですか?

(日森)僕が入った学期は輪読とグループ討議が中心でした。でも先年度の終わりになるときに僕は先生に「さらなる成長をしたい」という旨のメールを送ったんです。ビジネス研がチームで企業の人たちと本気で取り組んでいる姿勢をパース研でもやりたいと考えたんです。先生は、サバティカルにも関わらず、前向きにそれを聞き入れてくれて、輪読・討議以外に課外のグループワークが始まりました。グループで読む本も加わり、グルワの班長の責任も大きくなりました。ちなみにグルワは、マッキンゼーの手法でテーマについて、仮説を立てて、章立てを作って、どういったゴールを目指すかを決めるところから始まります。

ビジネス研は個別の企業向けにコンサルティングの成果を出すことが大義ですが、パース研は視野を広げていくことが重要なので、異なる視点の人と苦手な分野に取り組んだりします。グループとテーマは、ゼミ生に第3希望まで聞きますが、必ずそれに合わせるとも限りません。パース研にはおおまかに、「本質を突き詰めたい本好きの人」と「実社会を変革したい人」の2種類の人がいます。それぞれの人が協働して課題に取り組むことで、視野を広げられるよう工夫しています。

—— 古典などを読んで実社会を洞察するということの実感が持てないのですが、過去に遡ってから未来を洞察するってどうやるんですか?

(日森)「洞察」は実務スキルのように、すぐに身について新卒ですぐ使えるスキルではありません。古典思想や歴史を学ぶと社会や人類の流動的な変化や全体像が見えてきます。すると、変化を察知する力が身につきます。それが鋭い洞察に繋がっていくんです。社会に出るとやがて政治的な決定や会社の方向づけにも関わるようになる。その時に、周囲の社会の変化を察知できないと正しい判断を下せません。古典思想や歴史を学ぶことで、個々人の頭に「内なる世界感」や「座標軸」が築けます。これからの流動的な社会を先導していく上で、必要な素養が構築されます。こうした力が実社会で役に立ってくるのでしょう。

—— ちなみにさっきから洞察がキーワードとして挙げられてますが、洞察って何ですか?予測とは違いますよね?

(日森)洞察が予測と違うのは、俯瞰的な視点や本質を見抜いた上で、今後を見通すところでしょう。本質を見抜くこととは物事が元々持っている意味を理解することです。例えば「道路」一つとってみても、歴史を遡れば、統治や慣習維持のために敷かれていたときがある。自動車が通るためだけのものではなかったんです。歴史を振り返ることで本質に気づくことがあります。

また、洞察をするためには、俯瞰的な視野を持つことや時代を遡ることで視点を変化させることも必要です。いつもの自分とは別人のような立場に立って、広く物事を見るのです。

パース研のみなさん(日森さん提供) パース研のみなさん(日森さん提供)

—— 次は日森さん個人について、日森さんはどうして上山研に入ったんですか?

(日森)先生の言っていた言葉に「ゆでガエル現象」があります。水にカエルを入れて、だんだん温めていくと、気が付かないうちにゆでガエルになって死んじゃうっていう話です。人生でも、気が付かないうちに何かが失敗したり、崩れたりする瞬間があります。僕の体験では中学生の頃、水泳部の部長をやっていて、部員が2人やめちゃったんです。理由は練習についていけないということと影でいじめられていたことでした。ふとしたことがきっかけである時どこかにヒビが入ってしまう。そして、気づかないうちに割れてしまう。これが人生の問題意識としてありました。それは大学受験の時も同じで、高校が大学の付属校だったんで、周囲は大学受験を意識しないわけです。だから高3になった時でも大学受験の存在に気づかない。そのまま気づかずに進んでいたら、ゆでガエルになっていたのかもしれない。そして、現状も大きく違っていたと思います。そう考えると、「見えないもの」が社会や個人の人生にあって、そこにちゃんとアンテナを張っていきたい。そういう強い意志がありました。

そんな経験もあり、大学時代は目の前のことに全力で取り組みながらも常に客観視する自分を持ちたい。常に内省を繰り返しながら生きたいという強い思いがありました。また特定の分野を学ぶよりも、人が捉えないことに対して、フレームを当てはめたり、論理的に考えることで解を出すことに魅力を感じました。そして、多種多彩な優秀な人が集まっていて厳しいゼミに入りたいと思って上山研を選びました。

企業の経営問題の分析から解決策を促す ビジネス研究会

—— ビジネス研究会ではどのようなことをしていますか?

(藤澤)ビジネス研は2013年から毎期3-5社ずつ実際のクライアントを相手とするコンサルティングを行っています。3人1組のグルワ形式で1社を担当します。上山先生曰く、マッキンゼーがお金をもらって企業向けに行う戦略コンサルティングと全く同じことを、授業なので経費だけ負担してもらって実質無償でしています。今までの6年間で合計48社とやっています。

ゼミ生は3人1組で1学期に1社、つまり1プロジェクトを担当します。節目は中間発表と最終発表の2回でクライアントの社長や役員などの経営陣も参加します。実際の動きとしては、中間発表までは企業の幹部や消費者インタビュー等を通して経営課題を多面的に現状評価をします。そこでは、クライアントが見えていない課題をあぶり出し、構造化してクライアントに提示します。後半は筋の良い課題に絞り込み、より具体的な課題解決に取り組みます。後半で実際の店舗改善を行う班もあれば、組織改革を行う班、はたまた新規事業の提案をして新しい戦略づくりを行う班もあり、動き方は様々です。

—— 他のビジネス系の研究会とはどう違うのですか?

(藤澤)ビジネス系の研究会はSFCにも商学部にも色々あり、私自身も他の経営系の研究会にも所属していますが、上山研ビジネスの大きな特徴としては、実際に企業の人と生の課題に取り組み実践的に経営戦略が学べる点だと思います。

他の研究会ではケース教材を通じて学んだり、論文などを読んで経営理論を学んだりします。もちろんそれらも非常に重要ですが、実際に目の前の経営戦略を考えていくに当たっては、個社の現状を自分の目で見て分析し、そこから本当の課題を見つけ出して企業の人と一緒に解決策を考えます。その間では本当に実行に移していけるかどうかを真剣に見極めて提言します。つまり、具体的な改革の処方箋を作っていく。このように、理論じゃなくて、個社別の実践的な経営戦略を学べる上山研の活動内容は、他と大きく違うポイントだと思っています。また、理論として学んだことを実践知として自分の中に落とし込むことができる、学生ではなかなか体験できない貴重な経験を積むことができる場所だと思っています。

ビジネス研のゼミ長を務める藤澤さん ビジネス研のゼミ長を務める藤澤さん

—— ビジネス研はクライアント企業が望むことに応えるだけでなく、本質的な経営問題にも厳しく指摘するというのは本当ですか?

(藤澤)クライアントがあまり言われたくない、耳を塞ぎたくなるようなことでも、伝え方を工夫した上できちんと伝えます。クライアントに新しい気づきを与えることが私達の価値だと思っているからです。特に日本では実際に経営に携わっている人の多くが何十年もその会社で働いてきた方々です。ゆでガエル現象じゃないけど、その会社に何十年もいると俯瞰的に会社の全体像を見たり、抽象と具体の思考の行き来をしたりすることが難しくなる。そういった人たちに対して私達が多面的な視点から現状分析をして、見えない課題を指摘することは大きな価値になります。

なお、コンサルタントは企業の課題を指摘して終わりというイメージを持つ方もいると思いますが、上山研ではその指摘した課題を解決する案はもちろん実行プロセスも含めた”出口”までクライアントにイメージしてもらった上でプロジェクトを終えます。戦略は往々として独り歩きしがちで、社員にそのまま伝えても社内政治や組織の問題などが障壁となって実行に結びつかない場合も多いです。私達はあるべき姿に向かってどうすれば近づけるのか考えてもらうためのコミュニケーションプロセスも含めて考えています。

ビジネス研のミーティング風景(左奥は筆者、藤澤さん提供) ビジネス研のミーティング風景(左奥は筆者、藤澤さん提供)

—— 藤澤さんはどうしてビジネス研に入ったんですか?

(藤澤)もともと上山研に入りたくてSFCに来たんですが、どうしてそう思ったかについては今までの自分の生き方や環境が影響してきたと思ってます。実は僕高校のときは単位落とすわ、実力テストでは学年でビリやら、めちゃくちゃ成績が悪かったんです。でも何を間違ったか共学のトップ校に来てしまった。周りには開成蹴ってうちの高校に来たり、教科書を一回見ただけで全部覚えたりする人もいるわけです。自分はそんな事はできないし、そんな人たちと同じ土俵で戦ったら勝てないと思いました。それでいわゆる”勉強”ではなく、自分で頭を動かして何かを実現していくってところに価値が発揮できるんじゃないかと考えました。それからは合唱祭の指揮者、文化祭委員会の幹部、軽音部部長など、課外活動に精力的に取り組む「イベント屋さん」になっていきました。例えば、学園祭のときにも高校の中庭のステージを、コンテンツを作って人が集まる場に作り変えました。そのための予算の確保、新しい部署の立ち上げから、実行に移すまでをやりきりました。それらを通して自分の頭を使って考えたことを形にしていくことが自分の価値を発揮できるポイントではないかと考えました。

そんな時に社会人の卒業生が来て講演する進路講演会があったのですが、そこにいたのがマッキンゼーで働かれている方でした。その方は、話の組み立て方もスライドの作り方も伝え方も全てが非常にわかりやすく、世の中にこんなに頭の切れる人がいるのかと衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。また、そこで初めて経営コンサルティングや経営のことに興味を持ちました。

このように高校時代に自分の限界を知って戦う場所を変えたことから、ビジネスや経営に対して興味を持ち始めました。これが転換点だったと思います。平均点を目指すのではなく、ある領域だけ突出していればいい。無理に勝てない場所で戦う必要はないと思ってます。

ビジネス研のみなさん(藤澤さん提供) ビジネス研のみなさん(藤澤さん提供)

—— 上山研に入ってからギャップはありましたか?

(藤澤)企業コンサルティングのグループワークですが、最初は自分が思ってたようなことができないなと感じることがありました。というのも新規生は情報収集とか資料作成などの基本的な”作業”を任され、全体の流れなどの”上流工程”を任せてもらえない。僕は思考力を高めたいのでギャップを感じました。そこで、班長が作った章立てに対して、自分で別の章立てを書いて突き出してみるなど、班長と同じ目線で俯瞰的に議論することを大切にしていました。上山先生はそういう積極性を受け入れてくれる人なので、言っていることが論理的に正しくて、実現性のあるものなら話を聞いてくれる。先生だけでなく班長も正しければそれを受け入れてくれる。ロジカルならそれが通る。そんな空気が上山研にはあると思ってます。

どちらの視点も欠落してはいけない 2人のゼミ長が考えること

—— ビジネス研はクライアントがいますが、パース研はどうやってアウトプットをしていくんですか?

(日森)それは2種類、ORFでの社会への提言と、そして卒業後の実態を伴う価値の創出です。実態を伴う価値というのは、説明するのが難しい。パース研でどんなに賢くなっても、すぐに社会に価値を出すことはできない。そして、社会に出たらまずは財務とかITとかを勉強しないと組織でやっていけない。でも、その実務スキルがパース研的な視点と交わり、リーダーシップや問題解決力に変わっていく。それが社会の変革のうねりを作り出し、その拡大に繋がるんだと考えています。

上山研の全体感について考える 上山研の全体感について考える

(藤澤)本当にそのとおりだと思っていて、やっぱりベースには実務スキル、ビジネス的な腕力がなければいけません。でもそれをやってくると戦略を考えるときにどういう切り口から考えるかを決めないといけなくなってくるんですよ。そういったときに多面的に考えるっていうパース的な視点が重要になるんです。だから、パース研は”体がないけど技だけ覚えたポケモン”みたいな状態だけど、ビジネス研は”レベル50まで上げたけど技を覚えていないポケモン”みたいな状態だと思ってます。「レベルは上げたけど技を覚えていなくて体当たりしかできません」みたいな感じです。

(日森)お互い自分の研究会を全力でやってきて、藤澤も”レベル50”まで行くと“技”が必要だと思いますし、僕も“技”だけ覚えたら実態が必要だって思うしで、極めると自分に足りない物が見えてくるんだなと思いました。

(藤澤)だから僕も4年の春にパース研に行こうとしたんですけどね。結局そのことを先生に言ったらビジネス研に残るよう言われて止められたんですけど。(笑)

(日森)パース研の内容は、先生が米国にいた時に参加していたASPEN財団(エグゼクティブセミナー)やマッキンゼー時代に何度も出ていた世界幹部研修、プリンストン大学の大学院のメソッドを参考にアレンジしたものなんです。だから「この能力は腕力があることが前提」ということを表していると思います。

(藤澤)パース研の難しいところはそこだと思います。腕力がまだない学生がそれをどうやって学べるのか。腕力のポテンシャルがある人がやるのはすごくいいと思いますが、腕力が全くなくて学びたいだけの人にとってはあまりその価値は伝えられないと思います。

(日森)実感できるレベルに達するには、お互い相当の労力と時間が必要だと思いますが、パース研の場合は、道筋は見えるけど、実際に動かすことができないという”もどかしさ”はありますね。

—— ビジネスとパースで点と点を結びつけることが共通してますね

(藤澤)両方とも多面的な視野を手に入れることでは共通していて、ビジネスの場合は主語が企業、パースの場合は主語が人類と社会になります。ビジネス研ではビジネス・ケースを積み重ねることで多面的な視野で物事を見られるようになってきます。

(日森)パース研は歴史を学んだり、有識者の知見を得ることで、その力を養っています。人間は60年から100年しか生きられない。その間に学べることには限界がある。しかし、過去の人の知見の蓄積を吸収したり、歴史上の出来事について考えると、時空を超えて、点と点がつながる。そのことで多面的な視野が形成できます。

そこの共通点の認識が先生にはあって、この2つの研究会は実はセットなんです。でも学生はすぐには気づかない。卒業近くなってくると、それに気づくようになるというのが、上山研の面白さでもあります。

矛盾していてそこが魅力に 上山教授について

学生にフィードバックをする上山教授。パースペクティブ研究会の最終授業にて 学生にフィードバックをする上山教授。パースペクティブ研究会の最終授業にて

—— 最後に、お二人の上山教授に対する印象を教えてください

(日森)2012年の記事には「大阪生まれのアメリカ人」って書いてあって、そこは間違いないと思います。それ以外には、「陰と陽」が先生の良さとしてあると思います。自分のポジションをとって自信に溢れているように見えるけど、謙虚さもある。組織をまとめる上での温かさもあるけど、組織を動かす冷徹さもある。情熱と冷静さもそうです。陰と陽の両輪が生み出す客観性が先生の力の根底にあると思ってます。

(藤澤)厳しいながらも人間的なチャームさを兼ね備えた先生ですね(笑)。大阪ご出身だからかもしれませんが。

上山教授について話す両ゼミ長 上山教授について話す両ゼミ長

(日森)でもプライベートでは愛情深いし、自分が育てた生徒に対して息子のように接し、親身に相談に乗ってくれるし、くだらない話も聞いてくれます。「コスモポリタン」という言葉がありますが、まさに民族・思想や年齢・性格にとらわれずにフラットなコミュニケーションをとってくださる方だと思ってます。

(藤澤)大抵の先生って自分の研究がある上で余力の範囲内で面倒を見てくれますが、上山先生は学生にたくさんの時間を割いてくれていて本当にすごいと思います。

(日森)まさに愛と厳しさですね。そういう矛盾する2つの要素という両輪、それを兼ね備えた方が「上山教授」です。

—— ありがとうございました。

自分が気づかないものを洞察する。日森さんが言っていた言葉にもあるとおり「自分にとって必要な情報が何だかわからない」といった時に何をするべきかを学べるのがこの研究会の魅力の一つだろう。情報やデータに溢れかえり、多くの物事にアクセスできるようになってきているが、必要な情報を取ってくることが簡単になった分、自分にどんな情報が必要か考えることの難しさが露呈する時代になっているとも考えられる。そういった状況でも、クライアントが企業であれ人類であれ、未知のものに対して必要な情報を明確にし、将来像を洞察する訓練はきっと意味があることだと思う。

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