第32回七夕祭が7月3日に行われた。「群青」をコンセプトとした本年度の七夕祭は、オンラインオフライン融合型という形で開催された。悪天候により、一部開催できなかった企画もあったものの、今年も盛り上がりを見せた。

今回は、開催の背景を含む本年度の七夕祭のついて、160人ほどの実行委員を取りまとめた七夕祭実行委員会委員長・代表の七条祐香さん(環3)、広報部長の羽賀優希さん(環3)、団体からのアート作品を展示する新企画Art Fightリーダーの松井七海さん(総2)の3人に取材し、さまざまなエピソードを語ってもらった。

"どうしてもこのテーマでやりたい!"という強い思いから再度採用されたテーマ「群青」

七条さん

大前提として、参加団体や私たちが企画を考える上でも「今年はこういうテーマだからこの歌を私たちのサークルで歌おう」と連想しやすいような、想像しやすいようなテーマを考えた上で、「統一感のあるひとつのお祭り」を作りたいと考えていました。

今年の「群青」というテーマには、漢字に「青」(※“晴”れ姿、“情”熱、“青”春)が入った言葉を使って「いろんな色の個性が詰まったお祭りにしたいね」という思いを込めました。

「さまざまな色の個性が詰まったお祭りにしたい」という願いが込められているという 「さまざまな色の個性が詰まったお祭りにしたい」という願いが込められているという

実は、昨年オフラインで七夕祭を開催するならこのテーマ(群青)と決めていたんです。ただ、オフラインが中止になってしまって、オンライン用に別の「繋ぐ」というテーマを昨年用意したんですけど、「どうしてもこのテーマでやりたい!」という思いが強くて、もう1回このテーマを今年に持ってきました。

—— 昨年度のオンライン開催決定はコロナ禍に入った4月だったと思います。今回の七夕祭はどの段階で方針が決まったのでしょうか?

七条さん

万が一のことを考えて、今年の初めからオンラインになる可能性も考慮して、先にオンラインの企画をある程度固めました。オンライン企画を決めた状態で、できそうであればオフライン企画を少し準備していました。

3月頃に考えていたものを一度大学側に提案したものの、今の状況的に厳しいとのことで4月に修正して、それからまた5月に変えて、という繰り返しでした。本当に今の形が決まったのは5月の中旬ぐらいで、そこからもうガーッて準備した感じですね。

もう何回も感染症対策資料を作り直しました。ここで緊急事態宣言が終わるから、この次から活動を始めるっていうプランで考えてたら「宣言を延長します」と発表されてまたプランを考え直して……、と結構振り回されましたね(笑)。

3秒のズレまで調整!?

キャンパスで行われたステージ企画の前撮りの様子 キャンパスで行われたステージ企画の前撮りの様子

準備期間中も撮影は行われた 準備期間中も撮影は行われた

ステージ企画を支えた七夕祭実行委員会のメンバー ステージ企画を支えた七夕祭実行委員会のメンバー

—— 本当に準備から開催までお疲れさまでした。終わった今感じていることなどをお話いただきたいです。

七条さん

通常は1月から準備するものを、本年度は昨年9-10月から始めたので、準備期間が延びたという意味では「活動が長かったけれど、時間をかけた分、ようやくほっとした気持ち」です。

—— 今年は通常よりも準備を早く始めたんですね!

そうですね。多分来年もきっと今年よりもっと早く準備を始めるんじゃないかと思います。

—— 私は逆にオフラインで開催する時の方が準備に時間がかかるのかなと思っていたのですが、オンラインでもかなり長い期間、準備が必要なんですね。

そうですね。「何か新しいことやろう」とすると、やっぱりどんな企画を行おうか、目的を考える段階でもかなり時間がかかるので。例年のキャンパスでの開催だと、昨年を継承してそのまま行えばいいやっていう感じが多い分、時間が短く済むことが多いんですけど、やっぱり初めてとなると全部1からなので結構時間はかかりますね。

新企画Art Fightの特設ウェブサイト 新企画Art Fightの特設ウェブサイト

—— 特に大変だったことはありましたか?

私の管轄ではなかったんですけど、配信関係とかは、その担当はすごい苦労してたかなっていう感じで……。

ただ動画を流すことは昨年も行いましたが、Twitterライブでの生配信をどうやるかはかなり大変でした。雨天で中止になってしまいましたが、屋外企画では鬼ごっこや逃走中のようなものをリアルタイムで企画していたので、配信もかなり凝って作っていましたね。

あとは花火の配信に関しても、映像とともに音を流さなきゃいけなくて、そのタイミングのズレが「3.2秒だ」など、細かく調整していました。

clusterで配信されたバーチャルキャンパス① clusterで配信されたバーチャルキャンパス①

clusterで配信されたバーチャルキャンパス② clusterで配信されたバーチャルキャンパス②

TwitterLIVEで配信されたバーチャルキャンパス TwitterLIVEで配信されたバーチャルキャンパス

オフライン時代にはなかった「システム局」と「デザイン局」の設立

—— 何かの映像とかを作る担当の方、もしくは部署のようなのがあるのですか?

七条さん

配信等のシステムはシステム局が、動画で使うちょっとしたイラストのデザインであったり、動画の作成は広報部の中にあるデザイン局が担当しています。

—— 私(高橋)がいた頃はなかったと思うのですが、システム局とデザイン局っていう新しい局が今はあるんですね!

そうなんです。結構組織も変わりました。

—— 組織編成も軽く聞いてもいいですか? 今、どういう感じの組織図になっていて、どのように運営しているのか。

羽賀さん

今までキャンパスで開催していた頃は代表、副代表と会計がいて、その下が全部、局長が並んでた感じだったんです。ですが、昨年度のオンライン七夕祭を通じて活動内容がガラッと変わり、局が横並びの状態だと兼任が発生したり、どの局が受け持つのか複雑になっていたので、今年は代表・副代表の下に執行部と広報部と会計部を作りました。

お金関係は会計部、内部統括は執行部、外部統括は広報部という形で分担をしていました。さらに執行部の中には総務局・ステージ局・装飾局・システム局、広報部の中にはデザイン局・渉外局が含まれています。いわゆるお祭りの中の準備を行うのが執行部で、外向けの広報や渉外等を広報部が担当しました。

また、企画リーダーという役職も作りました。それぞれに2年生のリーダーをつけ、他の委員は局を超えてそれぞれが関わりたい企画のチームに入ってもらっていました。そのため、企画リーダーを含む幹部は3年生だけでなく2年生も含まれています。

自分たちの力で立ち上げたクラウドファンディング、目標金額達成までの道のりとは

—— 次に、何か予想外だったことはありますか? ここはちょっと大変だったなあとか、予想できなかったなあとか。

羽賀さん

そうですね、そもそもオンラインでの活動という制限があったことは結構いろんな場面で苦労しました。
予想外と言えば予想外ではなかったかもしれないですが、渉外局の仕事も携わるなかで、例年地域からの協賛で成り立っているお祭りだということもあり、地域に足を運んで対面で渉外活動ができないとなるとやはり協賛を断られてしまうことは多かったです。

—— クラウドファンディングなど外部とのやりとりも多いと思うのですが、これは皆さん学生だけではなく外部の方も関わったりしていたのですか?

羽賀さん

今回のクラウドファンディングに関しては本当に私たちだけで立ち上げました。

募金活動は、例年キャンパスの生協前等で花火を打ち上げるために集めていましたし、過去に何回かクラウドファンディングもやったことがあります。大々的に取り上げていただいたのは今年が初めてなんじゃないかなと思います。

—— 目標金額よりもかなり多く集まっていた印象がありますが、その目標金額を達成するまでの道のりはどうでしたか?

羽賀さん

そうですね。スタート時点でやっぱりなかなか例年通りのお金がもらえないということがあったので、その分結構赤字が大変っていう話があったので。昨年の完全オンライン型だったら特にそこまでお金を使う必要がなかったものの、今年はキャンパスからも配信する企画があったので「クラウドファンディングで集めないと」ということになりました。

最初は知り合いに送ろうということで始めましたが、今までの活動では繋がることのなかったOG・OBの方からの支援が沢山あったのですごくうれしかったですね。支援者の方々に書いていただいている応援コメントに「OG・OBです。頑張ってください」というものが多くて励まされました。

—— では最初はSNSとかじゃなくて、まずは知り合いに情報を広げてから、オフィシャルのSNSで拡散っていう感じでしたか?

羽賀さん

最初にSNSにも出してましたね。TwitterやFacebookなどで宣伝しつつ各々が知り合いに拡散し、じわじわと広げていきました。

—— あとクラウドファンディングのウェブサイトに、ブログのような皆さんが頻繁に更新してたものを見たんですけど……。

活動報告ですね!

オンラインで活動が中々見えにくいこともあったので、どんな活動をしているのかを発信する機会として1年生の委員を中心に書いてもらいました。

準備段階からフル活用した「SNS」での発信

—— 主にTwitterでの発信が大きかったですか?

羽賀さん

Twitterがメインですが、今年はInstagramも2ヶ月ほど前から当日に向けての盛り上がりを意識して更新していました。

七夕祭開催中に七夕祭実行委員会Instagramページにて更新された「湘南deごはん」 七夕祭開催中に七夕祭実行委員会Instagramページにて更新された「湘南deごはん」

斬新すぎる企画、オンライン短冊の特設ウェブサイト! 斬新すぎる企画、オンライン短冊の特設ウェブサイト!

参加した団体が企画できる場 新企画「CIRCLE FES」

開催までの準備期間中に行われた撮影の様子 開催までの準備期間中に行われた撮影の様子

—— 昨年は本当に映像の配信中心っていう感じですかね。特にキャンパスからの中継とかはなかったですか?

七条さん

昨年は配信も全部もう各自の家からやってて、準備段階に関してももう本当に誰にも1回も会わずにっていう感じでした。

—— 結構その部分は昨年と比べると大きな変化になりますよね。

当日の配信を支えた七夕祭実行委員会メンバー① 当日の配信を支えた七夕祭実行委員会メンバー①

当日の配信を支えた七夕祭実行委員会メンバー② 当日の配信を支えた七夕祭実行委員会メンバー②

—— 今年は「檻織の星合い」というイベントが中止ということでしたが…

雨天のなか決行された今年の七夕祭 雨天のなか決行された今年の七夕祭

七条さん

当日は雨がすごくて。(キャンパス横の)郵便局の前が冠水していたので、幹部も学校に行けない状況でした。開始時間を少し遅らせることで対応しましたね。

—— CIRCLE FESでは多くのサークルから発表があったと思うんですけれども、どのようにサークルを集めたのですか?

七条さん

昨年のオンライン七夕祭についての学生向けのアンケート調査で、「(サークルなどの)団体はただ動画を提出しただけで終わってしまう」という声と「オンラインでも従来のように団体が場を借りて企画する場所が欲しい」という声もあり、教室での発表をオンラインで再現するためにこの企画を立ち上げました。

CIRCLE FESへの参加を呼びかけることで参加する団体を集めましたが、委員会側から企画を指定することはなく、参加した団体にやってみたい企画を提案してもらいました。一部の団体には自分たちでcluster(バーチャルSNS)のワールドを作ってもらい完全に自分たちで運営していただきました。一方で技術的に難しいという団体には装飾や流す動画などを聞いた上で委員会側である程度用意し、運営をお願いしました。

多くの名場面が誕生したステージ企画の様子 多くの名場面が誕生したステージ企画の様子

今年入部した新七夕祭実行委員は約120人!!

—— 委員会としての新歓はオンラインだったと思いますが影響はありましたか?

羽賀さん

オンラインでも新歓イベントの数を多くしたので今年に関しては例年よりも人が集まりました。120人くらい1年生が入ってきてくれました(笑)。

視聴者が楽しめ、そして出展者も参加しやすい「七夕祭」

—— 昨年も初めてのオンライン開催だったと思うのですが、もう当日の同時視聴者数や、視聴時間などは昨年からどのように変化しましたか。

羽賀さん

昨年はclusterが主で、それを一部Twitterライブで配信していました。今年はTwitterライブがメイン配信でclusterでも一部の企画を行うという形になりました。視聴者数としては、Twitterライブは結構昨年よりも多く、clusterは昨年よりは少ないかなと思います。具体的にはclusterの視聴者が3,500人くらいでした。昨年は8,000人くらいだったと思うのでかなり減ってはいますが、そもそも今年はclusterを使った時間が短かったのと、リアル花火の中継はTwitterライブでのみ行っていたのが理由かと思います。Twitterは今も増えているので厳密にはわかりませんが、配信の次の日の時点で9,000人くらいだったと思います。そうなると昨年よりはかなり増えています。

松井さん

私は2年生なので、開催前から来年を意識しながら取り組んできました。七夕祭が終わった後、先輩方が「もう俺らは引退だから」という空気感を感じて私たちの代になっちゃうんだな……と感じていました。七夕祭を無事終えられたことは、とてもうれしかったし達成感もありました。でもやはり、(来年を見据えて)次へ次へという意識が高まってきましたね。

—— 具体的に昨年との違いはありましたか?

松井さん

昨年は、1年生がどうやって委員会の活動にどう入ればいいか分かりづらいほど完全オンラインの活動になってしまっていたと思います。その分今年はオンラインでの活動でも工夫を凝らし、うまく委員全体を取り込んでいけたのではと感じています。また団体の皆さんにどのように活躍の場を与えるかについて先輩方が熱心に考えていたので、従来の大学祭のようにただステージ発表があるだけではなく、ステージ発表などができない団体も出展者として参加しやすい七夕祭になったんじゃないかと思います。

—— 私(比企野)は1年生なので今年が初めての七夕祭だったのですが、バーチャル花火に感動しました! 技術的な分野が得意な方のチームで作成したんですか?

多くの人が感動したバーチャル花火 多くの人が感動したバーチャル花火

七条さん

花火企画を担当してるメンバーが作っていました。初めてそのような技術を使うというようなメンバーも参加して作っていましたね。花火の製造業者さんが花火玉を作るためのシミュレーターがあるのですが、それをフル活用しつつエフェクトを足して本物のような花火を作ってました。1ヶ月ぐらいでガーッて作っていった感じですね。

最後に来年に向けてと、後輩に向けて

七条さん

まだ来年の開催形式が読めない中ですが、もし今年同様オンラインになった場合、3年連続オンラインの要素が強いと、企画も結構凝り固まってきちゃうと思います。でもやっぱり毎年オンラインだとしても「新しい何か」をみんなで考えてほしいなと思います。
また、七夕祭はSFCの開校当初からやってるお祭りなので伝統の恒例企画も結構あるので、もしオフラインで開催できた場合は「七夕祭といったらこれだよね」という企画をある程度継承しつつ、新しい自分たちらしさを、反映したお祭りを作っていってほしいです。

羽賀さん

ここ2年、今までの七夕祭からガラッと変えたので次の代はものすごいプレッシャーだと思います(笑)。でも、一緒にこの新しいものを作ってきたからこそ、来年度は後輩たちがやりたいように自分たちが楽しめる七夕祭を作ってほしいなと思っています。
また、七夕祭は歴史もあって結構地域の方との繋がりがあるお祭りだったのですが、昨年今年と、地域との繋がりがどうしても薄れてしまったので、来年度こそ地域の方の期待に応えて、この繋がりは大切にしてほしいなと思っています。

松井さん

私は来年の七夕祭を作っていく立場になりますが、私たち実行委員会2年生以下の実行委員は、誰も"普通のオンキャンパスの大学祭"を知らないんですよね。
だから何をどうしたらいいとか、ぶっちゃけ全然わからないんですけど(笑)。
でもそんな経験できていない私たちだからこそ大事にしたいもの、生まれる新しいものも絶対にあると思います。状況を鑑みながらにはなりますが、オンラインしか体験できなかった私たちらしく、新しく刺激を感じられるだけでなく、先輩方や地域の方々にもしっかり楽しんでいただけるような七夕祭を作っていきたいなと思っています。

—— ありがとうございました。

SFC設立当初から開催されている七夕祭。毎年進化をし続けながら、多くの人々に驚きと楽しみを届けてきた。来年の七夕祭ではどのような企画が発表され、そして、どのような変化を遂げるか期待される。

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