慶早戦直前!! 「今年は新しい應援に注目!」元應援指導部三将の齋藤さん(総4)インタビュー!
慶早戦まであと3日。マスク解禁や応援席復活など、初めて観戦する人も多いであろう慶早戦を楽しむために、12月に引退したばかりの元應援指導部三将(*)の齋藤英里伽さん(総4)に魅力や應援指導部の裏側での準備について伺った。
(*)三将: 應援指導部全体統括の3人を指していた役割名(2020-2022)。昨年度より2部門体制へと変更し、現在は代表・副代表という名義が使われている。
「慶早戦の空気を吸わずに卒業しちゃうのは、勿体無い!」
—— 齋藤さんにとって、慶早戦の魅力はどんなところにありますか?
1つはやはり「慶應を感じられる場所」だと思います。近年のコロナ禍で、慶早戦に行けないだけでなく、そもそも学生にとっても"キャンパス"ライフがなかった時期がありました。SFCは元々、慶應要素が強いところではないけれど、慶早戦は自分が「慶應生なんだ」ということを感じられる瞬間が一番大きいイベントだと思います。
野球に詳しくなくても、まずはクラスメイトやサークルの友達と気軽に行って、もらったメガホンで応援したり、慶應グッズを買ったりするだけでも思い出になると思います。とにかく楽しんでほしいです。
もう1つ、應援指導部目線としては、応援席で球場全体が一緒に盛り上がれることです。都内でも有数の大きさを誇る神宮球場に行けることだけでなく、きっと知らない応援曲もいっぱい流れると思いますが、友達とその空気を共にしたり、知らない隣の人とも繋がれたりする瞬間は、推しポイントです。
慶應生になったら、1回は慶早戦に行ってほしいです。行って後悔はしないと思うし「慶應生になって慶早戦の空気を吸わずに卒業しちゃうのは、勿体無い!」と、應援指導部OG目線で思います。
—— 慶早戦の中でも、野球部は特に盛り上がる気がしますが、理由はありますか?
もちろん、私たちも各体育会の慶早戦での勝利を願っていて、野球だけを特別視していないという前提がある上で、元々應援指導部の前身である應援部が立ち上がったきっかけが野球だったため、伝統があります。
また、他競技の慶早戦とは異なり、ずっと変わらない会場で行えることで「神宮球場」という場所にも愛着があり、野球応援独自の応援スタイルがあるという点でも気合いが入る試合ではあります。もう私は引退しましたが、当時は自分がその伝統を守り、繋げていくことが應援指導部としての一つの役割だと思うくらい力が入る部分でした。
3ヶ月かけての企画
—— 應援指導部の皆さんは、何月ごろから慶早戦の準備をしているのですか?
実は、神宮球場への掛け合いや、当日応援席にいらっしゃる方々をどんな流れで入れるかといった裏は全て應援指導部が担当しています。應援指導部内に野球の応援担当とは別に、野球の「慶早戦担当」という役職があり、早いと1月中旬から3ヶ月かけて企画作りやチケット手配、団体や野球部との連絡をしています。
私も3年生の春に慶早戦担当になり、当時(2021年)はコロナの観点から應援指導部は外野の応援のみで、内野の人たちと接触できず内輪な企画でしたが、毎日寝ずにZoomミーティングをしていました。
体育会自動車部とともに「メイン台」を人力で設置
—— 実際に、神宮球場ではどんな準備をしていますか?
神宮球場に足を踏み入れるのは前日の金曜で、内/外野に2台ある「メイン台」の設置準備などを、三田キャンパスが開く朝9時から神宮球場が閉まる21時まで準備しています。
これがものすごく重いのですが、体育会自動車部が車を出してくれて、三田のキャンパスに置いてある器材などを2回くらいに分けてトラックに積んで神宮球場に持って行っています。他にも次の日のメガホン整理やグッズ準備、当日どう観戦する人たちを中に入れるかの誘導など裏方準備を進めています。
—— となると、当日も早くから準備されていますか……?
コロナ前の話ですが、5時の電車で来ていたり、企画担当者は神宮球場付近のホテルに前泊していた先輩もいました。
余談ですが、試合前の企画や行事も、應援指導部ならではの想い入れがあります。例えば、試合開始前に行われる塾旗入場の時間が、個人的に「やっと始まる」泣きそうな時間です。
無事に慶早戦を迎えられた喜び、今日までの野球部、應援指導部、慶早戦支援委員会や放送研究会などその他関係団体の努力の結晶、応援席にこんなにもたくさんの方々が詰め掛けて下さったこと……。「慶應讃歌」という塾旗入場中に演奏される大好きな曲とともに、色んな思いが込み上げてきて、毎試合泣いていました(笑)。
特に昨年は、内野応援席が復活したことや全部員が平等に不自由なく肩を並べて慶早戦に臨むことができた、大事な節目でした。要するに、應援指導部は慶早戦に対して、冗談抜きで命を懸けています(笑)。
—— 想像以上にハードですね……! 試合は15-16時ごろ終了だと思いますが、当日は何時まで残っているんですか?
土曜日は翌日準備のため18時に帰れたらいいなというくらいです。最近はコロナでむしろ「すぐに帰って」という風潮になっていますが、2-3時間は片付けなどをしています。
日曜は、次の日の月曜(予備日)があるかどうかでだいぶ違うのですが、日曜に終わる場合には東京六大学野球リーグ戦の閉幕式が終わり次第撤収します。ただ、例年月曜まで試合が伸びるケースが多く、そうなると「外野席」を開放するか、という判断も各所と相談しながら、應援指導部が行います。平日で大人のお客さんが来れない中、学生だけで埋まるのか、天気なども考慮して「外野のメイン台は日曜中に撤収」と、その場で判断していました。
90年の歴史における、変革期を乗り越えて
—— 昨年6月には2部門体制への変更、ツールの共有など、應援指導部にとっても大転換な年でしたね。
変革期を経て、時代に沿った日本の新しい応援席を作っているところが、慶應義塾大学應援指導部の強みです。私にとって應援部は日本の歴史、文化の一つだと思っていて、そんな日本の應援部という文化の新しい1ページを慶應が作っていると思います。新しい応援のスタイルを持つ、現役のみんなが頑張っている新しい應援指導部に注目してほしいし、期待しているところです。
—— 「新しい」應援指導部について、具体的に教えてください!
学年や性別、肩書きにとらわれずに応援席を創り上げるためのツールに関われることですね。その代名詞とも言えるのが塾旗掲揚や應援指揮ですが、それ以外にも、今チアリーディング部の部員も自分が踊らない回は吹奏楽団に混ざってチアの衣装のまま演奏していたり、逆に吹奏楽団の部員も席から動かないという従来の状態から応援席にいらっしゃる方々の側まで行って掛け声をしたり。部門の垣根を超えて、それぞれが自分の選択肢を増やしてみんなで応援に臨んでいます。
全部員での様々な話し合いを経て、変革期を乗り越えたと伝えてくれた
優勝争いでないからこその面白さ「打倒早稲田こそ慶應義塾!」
—— 最後に、今年の應援指導部にエールがあればお願いします!
私が12月に引退した時に、「今の4学年に應援指導部を託して何も問題がない」と話したように、世間一般の方々が思い浮かべる旧来の日本の伝統的な「応援部」「応援団」からアップデートを続けたこともあり、さまざまな𠮟咤激励のお言葉をいただくこともありましたが、今の時代を駆け抜ける應援指導部としては、最善の道を歩んできていると思っています。
今年もこうして無事に慶早戦を迎えられることは今の4学年の努力が詰まっています。いくら伝統がある試合や部活といっても学生団体だからこそ、残念ながらそれを途絶えさせようと思えば簡単に途絶えさせられます。特に、今の4年生の代は2020年に入部したとき、コロナで半年が潰れている中で、今となってはここまで部を再生して、いい應援指導部を新しい應援指導部を作り続けているのは、彼女らだからだなと思います。
今回は既に明治の優勝が決定していますが、優勝がかかっていない試合ほど、お互い失うものがなく、全力で戦いにくる面白い試合になると思うので、今の應援指導部ができる全力を早稲田に見せつけてきてほしいです。「早稲田に2連勝」と野球部のベンチに書かれているように早稲田に負けて優勝を逃した去年の雪辱も託したいです。「打倒早稲田こそ慶應義塾!」ですから(笑)。
—— ありがとうございました!
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