加藤研「たゆたう」展示会レポート! デザイン部・山本さん(環3)の案内で【前半】
加藤文俊研究室の「フィールドワーク展XIX たゆたう」が2月23日(木)から26日(日)にかけて渋谷のギャラリー・ルデコの3-4階で行われた。対面での活動が本格的に戻ってきたという本展示を2回に分けてリポートする。前半では本展示から初めて発足した「デザイン部」に所属する山本凛さん(環3)に4階を紹介してもらった。
【2023/5/1 お名前を訂正しました】
学部2、3年生のグループワークを展示した4階
4階では、学部2、3年生が行っている半期ごとに変わるテーマにそってグループワークの展示が主となっていた。今期のテーマは「渋谷のプリズム」。時間地理学のモデルに基づいた時間と空間を簡略的に示した概念「プリズム」という共通言語を、渋谷というフィールドで行ったという。
研究会内4-5人ずつで構成されたグループでテーマを解釈し、さまざまな形として行っていた展示は「渋谷という街の見方がすこし変わるかもしれない展示物の数々」と銘打たれている。なお、感染症対策の観点から手指消毒、検温のほか、展示は全てマスクを着用してというルールが敷かれていた。
「フィールドワークと繋げるという意味で、現場とギャラリーが近いほうがいい」(加藤さん)と、本展示はフィールドワークが行われた渋谷で行われていた。今回はそんな「たゆたう」展示3階の展示をグループごとに紹介する。
「アッチャッタラ」 別れ際に着目
渋谷で人々が時間をどう過ごしているかを考えた「アッチャッタラ」のグループでは、人と人とが解散する瞬間、お互いの「バンドル」がほどける瞬間に着目していた。人と人とが解散する時の手や細かい足の動きには「帰りたい気持ち」や逆に「もう少し喋りたい」という名残惜しい気持ちが表れていることが伝えられていた。
この班では、各改札を収めた写真をポストカードにし、QRコードから音も楽しむことができた。また各改札の面白かった解散を、気まずさなどにも意識して表した動画も作成していた。
「ぽんさ←」ごみの定義について再考
モアイ像の前に毎回3-4つ、違う特定のものを置いて、渋谷の人がどのような反応を見せるかを観察した「ぽんさ←」。ゴミだと思って置いていたものを持ち帰る人が多くいたことから、必要なもの、ごみの定義を一概に決められないことを学んだという。
メンバーの池本次朗さん(環2)はフィールドワークを通して「置いているものによって反応が違ったことが面白かった」と話し、形にする段階では「美術が元々得意な方ではなかったので、班のメンバーで決まった時に『マジかぁ』と思いながら、クレヨンと画用紙を買いに行きました」と笑いながら当時を振り返っていた。
即興的に文章を書く「ちょいかわ」
渋谷で見つけた魅力的なものから即興的に文章を書くことを行っていた、「ちょいかわ」。ただの障害物と認識していた人も、ゆっくり歩くことで「人格を持った人」の存在に変わることなど、気づきが記録されていた。
自撮り棒を使って待ち合わせをした「かしこま」
渋谷で自撮り棒を使って自分たちの歩く様子を撮りながら待ち合わせをしたり、自分が歩いた道で撮影した内容を見ながら歩いたりということを実施。
展示では、地図上に棒で高さを出し、時間ごとに進んだ距離を示していた。「土地勘」をキーワードに、見ると道、ルートが見えてくる撮影した自撮りは「じどるーと」と呼んでいるという。
写真を重ねていく「きまま」
実際に歩く中ですれ違いがたくさん起きていることに着目し、活動した「きまま」では、#シブヤインピクチャという作品を展示していた。
ある地点を撮った写真を印刷し、印刷した写真を別の人が同じ地点に持っていって重ねて撮影。別の人がまた重ねてということを続けていくことで、前後の人で意図的に時間の違いを起こし、その場所自体が活動している人にとってのちいさなメディアになることを目的に活動していた。
これらグループでの展示のほか、個人での活動を「ミニプロジェクト」として展示しているスペースも見ることができた。
それぞれの気づきなどは冊子として販売もされていた。
来年、20回の節目での作品に期待
「ひとつには続けてきてよかった」と加藤さんもコメントを残す、今回の展示会は加藤研として19年目の開催だった。加藤先生は日々続けている300文字を今回の展示で『300moji』として冊子化。帯は「続けるコツは、やめないこと」。今回の展示でも言われていたことだが、すでに次回の20回の展示会が楽しみな展示だった。