29日(月)、明治神宮球場にて東京六大学野球春季リーグ最終週・早慶戦第3試合が行われた。第3試合は早稲田大学(以下、早稲田)にW3-4Kで勝利して、勝ち点を4に。勝率で立教大学を下回り惜しくも優勝は逃したものの、今大会を準優勝で終えた。

義塾 早稲田
位置 選手名 学部学年 打順 位置 選手名 学年
天野康大 環4 1 三倉進 4
瀬尾翼 理4 2 檜村篤史 2
柳町達 商2 3 佐藤晋甫 4
岩見雅紀 総4 4 加藤雅樹 2
郡司裕也 環2 5 宇都口滉 4
清水翔太 総4 6 長谷川寛 4
倉田直幸 法4 7 小藤翼 2
照屋塁 環4 8 織原葵 4
菊地恭志郎 政3 9 早川隆久 1
1 2 3 4 5 6 7 8 9
早稲田 0 0 0 0 0 1 2 0 0 3
義塾 0 2 0 0 1 1 0 0 × 4

3連投の菊地投手と早稲田期待の新星の投げ合い

早慶戦最終日も昨日、一昨日と登板した菊地投手が先発を務めた 早慶戦最終日も昨日、一昨日と登板した菊地投手が先発を務めた

義塾の先発は菊地恭志郎投手(政3)。力のある速球と落差の大きなフォークを駆使して三振の山を築く本格派右腕。今季の早慶戦では1試合目は救援、2試合目は先発として登板したが、どちらの登板でも早稲田の打線を抑えることができなかった。三度目の正直で今試合こそ先発の責任を果たせるか。

早稲田の先発を務める注目のルーキー早川投手 早稲田の先発を務める注目のルーキー早川投手

対する早稲田の先発は1年生の早川隆久投手。最速140km/h台半ばの直球と変化球を操って、高校時代には甲子園で5勝を挙げた大型左腕。今リーグ戦でもすでに6試合に登板し勝ち星をマークしている。高校時代からの経験に裏打ちされた抜群のマウンド度胸で強力義塾打線に立ち向かう。

3試合連続の先制 幸先良い滑り出し

前日の悪夢を振り切り、今試合に快勝したい義塾。しかし初回、先頭打者にフォアボールで出塁を許すと、バントを挟んで一死二塁といきなりのピンチを迎える。3番佐藤晋選手のショートゴロは進塁打になり、二死三塁で迎える打者は今大会で首位打者に立つ4番加藤選手。右中間へ大きな当たりが飛ぶも、そこは柳町達選手(商2)の守備範囲。なんとか初回のピンチを凌ぐ。

2回裏に瀬尾選手が先制タイムリーを放つ 2回裏に瀬尾選手が先制タイムリーを放つ

2回裏の義塾の攻撃。6番清水翔太選手(総4)がフォアボール、7番倉田直幸選手(法4)がデッドボールで出塁すると、8番照屋塁選手(環4)のバントで一死二三塁の大チャンスに。9番菊地選手はファーストフライに討ち取られたものの、1番天野康大選手(環4)がフォアボールで二死満塁とさらにチャンスが広がる。そして、迎えた2番瀬尾翼選手(理4)の打球は、三遊間を抜けて2点先制のタイムリーヒットに。ここで早川投手は降板し、なおも二死一三塁のチャンスだが、3番柳町選手は代わった大竹投手にセカンドゴロに打ち取られて3アウト。しかし、W0-2Kと今試合も義塾が先制に成功する。

両軍チャンス生かせず スコアは一旦膠着状態に

檜村選手がバントを成功させる 檜村選手がバントを成功させる

3回表、早稲田の攻撃。9番大竹選手の内野安打と1番三倉選手へのフォアボール、そして2番檜村選手がバントを成功させて、一死二三塁のピンチを招くも、3番佐藤晋選手がサードフライ、4番加藤選手をファーストゴロに打ち取り、無失点で切り抜ける。

3回裏、郡司裕也選手(環2)が三遊間を破るヒットを放つも、6番清水翔選手の打球はピッチャー正面。走者が入れ替わり、二死一塁から7番倉田選手のバットがボールを捉えるも、サードゴロになり得点できず。

4回表、早稲田の攻撃。5番宇都口選手を遊撃手のエラーで出塁させるも、バント失敗で宙に浮いた打球を郡司選手がダイビングキャッチ。7番小藤選手のショートへの強い打球はグラブを弾き、ゲッツーは取れなかったものの、一塁への送球は間に合い、二死二塁。8番織原選手の打球はセカンドに地面を滑るような処理が難しい打球だったものの、倉田選手はしっかり捕球、一塁に送球して事なきを得る。

4回裏の義塾の攻撃を三者凡退に抑えられるも、こちらも負けじと菊地投手が5回表を三者凡退で回を終わらせる。

待望の追加点 早稲田も即反撃

暴投の間に生還する瀬尾選手 暴投の間に生還する瀬尾選手

5回裏、義塾の攻撃。先制打の瀬尾選手がライトの頭を超える打球を放ち二塁まで進むと、柳町選手の快速を飛ばしたバントヒットで無死一三塁の大チャンスを迎える。4番岩見雅紀選手(総4)の打席で大竹投手の暴投の間に瀬尾選手が生還、1点を追加すると、一塁の柳町選手が二塁に進み、なおも無死二塁でチャンスは続く。しかし岩見選手はサードゴロ、郡司選手と清水翔選手はともにライトフライで点差を広げることはできない。とはいえ膠着状態に陥りそうな流れから得点し、リードを3点にすることに成功する。

ソロホームランを打つ佐藤選手 ソロホームランを打つ佐藤選手

6回表、早稲田の攻撃。先頭打者の3番佐藤晋選手の高く上がった打球は、柳町選手の頭上を超えてセンターへのホームランに。義塾は前の回で得たリードをすぐさま取り返されてしまう。4番加藤選手にフォアボールを出すと、バント成功を挟んで一死二塁。代打の熊田選手の打席で暴投の間に三塁まで進まれるも、三振でピンチを凌いで切り抜ける。

投手自らもぎ取った追加点

抜け目のない走塁で自ら追加点を獲得した菊地投手 抜け目のない走塁で自ら追加点を獲得した菊地投手

6回裏、早稲田はピッチャーを小島選手へ交代する。菊地選手のライト方向へ上がった打球はライトとセカンドがお見合いをして、落球。菊地選手は二塁まで進み、1番からの好打順でチャンスを迎える。河合選手の放った打球はアウトになるかと思われたものの、二塁付近でバウンドして二遊間を抜ける。その間に菊地選手が必死の走塁を見せて生還し、追加点を得た。河合選手は守備の乱れの間に二塁まで進み、チャンスはなおも続くが、フルカウントまでもつれた打席は三振に打ち取られて、それ以上リードを広げることはできない。しかし、W1-4Kと再びリードを3点差にする。

歓喜も束の間 すぐさまリード吐き出す

7回表、早稲田の攻撃。2番檜村選手にタイムリーヒットを打たれて、バックホームの間に3塁まで進み、なおも二死三塁のピンチ。デッドボールでさらに二死一三塁とピンチを広げると、暴投の間に生還を許して、W3-4Kと1点差に詰め寄られる。しかし、この場面で4番加藤選手が放った打球はセンター柳町選手の正面。なんとか同点に追いつかれることなくこの回を終える。

接戦を制して早稲田に勝ち越し

スライディングを決める河合選手 スライディングを決める河合選手

7回裏の義塾の攻撃は三者凡退に終わり、8回表の早稲田の攻撃。ここまで7回3失点と試合を作った菊地投手はお役御免で津留﨑大成投手(商2)が登板。一死一塁の状況を作るも、救援の高橋佑樹投手(環2)がピンチに立ち向かい、きっちりと無失点でこの回を終える。

8回裏、義塾の攻撃。早稲田は投手を小島投手から前日に先発した柳澤投手へ交代。照屋選手の打球がセンターへ抜けて出塁すると、二死一二塁のチャンスを迎えるも生かせない。そして、ついに試合も最終盤、ここを抑えれば勝ちという9回表に突入する。2者連続の三振のあと、セカンドゴロと最後はあっさりと抑えてゲームセット。最終スコア、W3-4Kの接戦を制して、2勝1敗で早慶戦勝ち越し、そして春季リーグ準優勝を決めた。

勝利の喜びを噛みしめる高橋佑投手 勝利の喜びを噛みしめる高橋佑投手

0.025差の準優勝 来秋こそは優勝を

宿敵早稲田に勝ち越して、勝ち点では首位の立教大学に並んだものの、勝率わずか0.025差で優勝を逃してしまった義塾。とはいえ今春を勝利で終えたこと、そして今大会で準優勝を果たしたことは、秋に向けた自信に繋がるに違いない。来季のリーグ戦優勝を期待しつつ、まずは全力で戦った選手らを労いたい。

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