個展「チューニング」が問う「現代社会における豊かさ」とは
SFC内外で活躍する短編アニメーション・インスタレーション作家の小林颯さん(環4)が、6日(土)-10日(水)の4日間にわたり個展「チューニング」を開催した。テーマは「現代社会における豊かさ」で、SNSのあり方について考えさせられる作品が多く展示されていた。
個展は京王井の頭線・駒場東大前駅から徒歩8分の「NO.12 GALLERY」で開催された。会場内には2つの作品《Betweener》《レシートの滝》と《Betweener》の絵コンテが展示されていた。
「現代社会における豊かさ」を問う作品群
《Betweener》は、富裕層と貧困層の間に存在する”間の人”に潜む際限なき欲求とその構造を描いた短編アニメーション作品。複数の塔の上に1人ずつ人が立っており、互いに蹴落とし合うと、残った人の数値と高さが上がっていくというストーリーだ。セリフが一切ないため、鑑賞者によって感じ方や解釈が異なるところにこの作品の面白さがある。映像の隣にはこの短編アニメーションの絵コンテが置いてあり、3,465枚に及ぶ手書きの絵コンテとそのコマの役割や説明がびっしりと書かれていた。
《レシートの滝》は、ツイートの持つ価値を値段としてレシートに印字する作品だ。値段はフォロワー数などによって決まるが、ツイートが誰のものかは印字されていないため、鑑賞者は社会的地位がすべてフラットになった状況でツイートを見ることになる。そのような状況でツイートの価値の変化を捉える、いわば社会実験的な装置となっている。
作品を通してそれぞれが感じる「豊かさ」
今回の個展では、SNSや現代社会における豊かさについて小林さんと鑑賞者との間で様々な意見が交わされていたのが印象的であった。「現代社会における豊かさ」というテーマに対して鑑賞者ごとに思うことがあり、それを考えさせられる個展であったからだろう。小林さんも、「作品を展示して鑑賞者とコミュニケーションを取ることで、バイアスなしに自分の作品を見直すことができた」と語った。
今後の小林さんの活躍に期待が高まる。
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